春の牝馬チャンピオン決定戦「ヴィクトリアマイル」。
このヴィクトリアマイルは2006年に創設されたレースで、第1回の覇者は名牝・ダンスインザムードでした。
その後もウオッカ、ブエナビスタ、アパパネと、数多くの名牝が力強く駆け抜け、勝利を飾ったレースです。
そのような華やかなヴィクトリアマイルに、今年は歴史的名牝アーモンドアイが出走してきました。
前走の有馬記念で9着と大敗し、その後のドバイ遠征も新型コロナウイルスの影響で中止と、決して順調とは言えない調整過程で、どのようなパフォーマンスを発揮するのかにレース前から大きな注目が集まります。
一方、アーモンドアイを迎え撃つのは、昨年のヴィクトリアマイルの覇者ノームコア、2着馬プリモシーン、そして重賞3連勝中と勢いに乗るサウンドキアラなど歴戦の牝馬達。
今年のヴィクトリアマイルは、歴代でもトップクラスの好メンバーが揃い、例年以上に華やかなレースとなりました。
レース概況
レースは、スタート後にトロワゼトワルが強く主張してハナを奪い、コントラチェックが2番手に続きます。大外枠となったサウンドキアラが4番手へ位置取り、アーモンドアイも好スタートを決めて6番手の好位へ。
前半800mのラップが45.6というハイペースでレースが流れる中で、アーモンドアイはサウンドキアラをマークするようにレースを進めます。
迎えた直線では、前残りの馬場傾向を活かしてトロワゼトワルが逃げ込みを図りますが、サウンドキアラが早めに仕掛け、トロワゼトワルを射程圏内に収めます。
その直後、サウンドキアラの外を馬なりでアーモンドアイが抜群の手応えで進出開始。
残り300メートルを切ったところで、サウンドキアラを捉え、あとは独走状態。
その後も持ったままの余裕のある走りで、後続に4馬身差をつけて楽々とゴールを駆け抜ける圧勝を見せつけました。
2着にはサウンドキアラ、そして3着には最後に逃げ粘るトロワゼトワルを差す形でノームコアが食い込みます。
各馬短評
1着 アーモンドアイ(1番人気)
終わってみれば、力が違いすぎた内容です。
心配された調整過程も、太め感なく仕上がり、パドックから落ち着いていました。
レースでは、好位からノーステッキで2着に4馬身差をつける圧勝。そのレース内容から、1600m~2000mの距離適性のレースであれば現役最強の名が相応しい名牝です。
2着サウンドキアラ(4番人気)
大外枠をうまく立ち回っての2着。
アーモンドアイには力の差を見せつけられましたが、ノームコアには先着。牝馬一線級に入っても能力は上位であることを示しました。
成長著しく、得意の京都コースで行われる秋のマイルチャンピオンシップが楽しみです。
3着ノームコア(5番人気)
パドックから好気配で状態が良く、前走高松宮記念からの変わり身を期待させました。
レースでは、スタートは今一つでしたが、その後挽回して好位から進め、直線では鋭い末脚を発揮。
高速馬場への適性が高く、改めて能力の高さを示しました。
4着トロワゼトワル(12番人気)
前残りの馬場傾向を活かして、積極的な逃げで4着に喰い込む好走を見せました。昨年の京成杯オータムハンデでも示したように、高速馬場で自分の形に持ち込むと強さを発揮する馬です。
今後も、この条件が揃った際には好走が期待できるでしょう。
5着ダノンファンタジー(6番人気)
前走の阪神牝馬ステークスから馬体重を20㎏絞り、勝負仕上げで臨んできました。
スタートも良く好位からレースを進め、直線では足を伸ばすも5着まで。
1400m~1600mでは崩れませんが、年齢とともに少しずつパフォーマンスを落としている印象も受けるため、今後、どこまで活躍できるでしょうか。復活に期待します。
7着ラヴズオンリーユー(3番人気)
スタート後に先行できず、厳しい競馬になりました。最後は強く追っていないため、力を発揮できずの7着と判断して良いでしょう。
マイルは忙しすぎた印象で、次走以降中距離戦で見直したい馬です。
エリザベス女王杯以来となるローテーションも響きました。
8着プリモシーン(2番人気)
鞍上のレーン騎手からは「パンパンの良馬場を気にしていた」とのコメントがあり、陣営からは馬場が合わなかったことが敗因としてあがっています。
ただし、昨年のヴィクトリアマイルは高速馬場で2着と好走しているため、別の敗因も考えられます。
2歳秋にデビューしたディープインパクト産駒の5歳馬で、ここまで16戦を消化している馬だけに、成長期におけるピークアウトの可能性も考慮しなければなりません。
15着スカーレットカラー(7番人気)
調教やパドックから状態の良さが伺えましたが、結果は15着の大敗。
鞍上が主戦の岩田騎手でなかったこともあり、この馬の気難しさを露呈してしまった印象です。
また高速馬場も合わなかったように感じられます。