著者の地元、浦和競馬場の秋の風物詩と言えばテレ玉杯オーバルスプリント。
秋の短距離チャンピオンに向けてのステップレースとして、強豪が集まります。

残念ながら今回の浦和競馬場は無観客開催でしたが、例年通り実力あるメンバーが集まりました。
昨日の白山大賞典は雨の不良馬場の中レースが行われましたが、今日の浦和は夏が戻ったかのような好天に恵まれ、良馬場での開催になりました。

JRA勢4頭、南関勢8頭が、左回り1周の1400mコースに挑みました。

レース概況

大きく出遅れる馬は無く、外から左海騎手の大きなアクションに応えてアランバローズが抜け出します。
追いかけるテイエムサウスダンが2番手、インコースのベストマッチョが3番手。ティーズダンクは前を見ながら4番手に控えます。
ラプタスは包まれて逃げを打てず、何とか進路を外に切り替えようとします。

アランバローズがスピードを上げて逃げを打ち、追いかけるテイエムサウスダンが2番手、グランドボヌールが外から3番手に上がって向こう正面へ。
ティーズダンクは引き続き4番手、少し間が空いてアンティノウスとダノンレジーナが並走し、ベストマッチョがその後ろ、逃げられなかったラプタスは8番手外まで位置を下げてしまいます。

トロヴァオ、カツジ、サクセスエナジー、ハイランドピークが後方から追い上げを開始。
先頭から最後方まで大きく開く展開の中、3コーナー手前でテイエムサウスダンがアランバローズをとらえます。
これを見てティーズダンクも進出を開始、並ばれたアランバローズも応戦しながら3コーナーへ。

4コーナーでアランバローズンの手ごたえが一杯になり、テイエムサウスダンが引き離してラストスパート。アランバローズを外から交わしてティーズダンクがテイエムサウスダンとの差を詰めますが、最後は2馬身差粘り切ってテイエムサウスダンが押し切りました。

アランバローズは後続の追い上げを何とかハナ差凌いで3着、中段から追い上げたアンティノウスが4着、最後方から追い込んできたハイランドピークが馬群の外から追い上げて5着に入線し、南関勢が上位に健闘した結果に。

サクセスエナジーは上り2位の末脚を使うも着差を詰められず7着、自分のレースが出来なかったラプタスは10着、ダート初挑戦のカツジは後方のまま伸びず11着でレースを終えました。

各馬短評

1着 テイエムサウスダン

春の黒船賞での勝利インタビューで、岩田騎手が「風になった」とコメントしていましたが、今回もアランバローズを終始手ごたえ良く追いかける絶好の展開になりました。

岩田騎手はこの馬のことをとても気に入っているようで、インタビューでも前走騎乗停止になった件に触れ、復帰戦のこのレースに向けて追切にも熱心に乗っていたと語っていました。

同型のラプタスが不本意な結果になった展開の利があったにせよ、南関上位のスピード馬アランバローズをコーナー手前から捉えて突き放す内容は春以上に強く見え、日々の稽古が実を結んでいるように見えました。

勢いのある4歳馬、本番のJBCスプリントが楽しみになる快勝でした。

2着 ティーズダンク

南関重賞で常に上位争いをしている実力馬ティーズダンクが2着、テイエムサウスダンに追いつくことは出来ませんでしたが、終始先行ポジションを楽な手ごたえで進み、見どころ十分なレースをしました。

2走前のマイルグランプリでは中央でも好走していたグレンツェントに勝ち、前走スパーキングサマーカップではこのコースの「女王」サルサディオーネに0.1差まで迫るなど、近走の内容がとても優秀でしたので、最終的に5番人気に推されたのも頷けます。

交流戦では相手が更に強くなりますが、こちらもまだまだこれからの4歳馬、地元の重賞であれば更に勝鞍を増やす勢いがありそうです。

3着 アランバローズ

全日本2歳優駿をスピード前回の逃げで勝利したアランバローズは、この秋は再びスピード勝負に挑むべくこのレースから始動しました。

春の南関クラシック戦線では距離適性を超えた勝負でも自らのスタイルである「逃げ」を貫き、東京ダービーを制覇。しかし、2000m戦は流石に長かったようで、直後には秋の目標はJBCスプリントと明言されていました。

今回も逃げの名手左海ジョッキーに押された勢いそのままに、ハイペースの逃げで後続を突き放しますが、久しぶりのレースだった分か最後は脚が止まってしまいました。それでも3着に残したのですから大したものです。

この1戦をつかってガス抜きが出来れば、次走はよりスムーズな逃げが打てるのではないでしょうか。
南関東トップの存在として、JBCでも気合の逃げを見せてほしいです。

4着 アンティノウス

中央では3勝クラスを勝ち上がれず、6歳シーズンから大井の藤田厩舎に移籍しています。
今年の春の2戦以外は出走したレースで常に連対を確保していて、地方の馬場との相性の良さが結果に繋がっているように見えます。

大井所属ということもあり、浦和競馬場は前走のプラチナカップを勝って2戦目のレースでしたが、好調の主戦矢野騎手と中段のインコースでロスなくレースを進めてアランバローズにハナ差まで詰め寄ることが出来ました。

上りタイム37.3はテイエムサウスダンと0.1差の時計なので、逃げ馬との前半の差が惜しまれるところですが、交流戦でも上位に入れた走りを見ると地元で更にグレードレースを勝てるのではないでしょうか。

5着 ハイランドピーク

かつてJRA在籍時に重賞エルムステークスを制覇した実績のある馬で、現在は浦和の小久保厩舎所属で現役を続行しています。

先行すれば粘り込み、後方に控えれば捲って上り最速の末脚を繰り出せる戦法多彩な馬ですが、最近は追込みにシフトしたレースを続けています。

今回は向こう正面で前から後ろまで大きな差がありましたが、それでも4コーナー最後方から大外を回しての5着入線、上りタイムも最速をマークと、馬自身の衰えは感じさせない走りでした。

浦和競馬場が逃げ先行馬有利のコースで展開が嵌らないと勝てないもどかしさはありますが、地方移籍後は浦和コースしかまだ走っていないので、他のコースでの走りも見てみたいですね。

レース総評

絶好のレースに持ち込んで勝利したテイエムサウスダンの走りはもちろん、2着から6着まで南関所属の馬たちが確保する結果にも驚かされました。

ティーズダンクとアランバローズは地方生え抜きの存在ですし、ティーズダンクは南関移籍後に才能開花、ハイランドピークも新天地でまだまだ能力健在な走りを見せてくれました。

反対に、前に行けないと厳しかった今日のレースでいつもの逃げが打てずに脆さが出たラプタス、末脚は繰り出せたものの、後方2番手から届かなかったサクセスエナジーは、逃げ先行策から抜け出す走りで勝ってきた馬なので、今日は実力が発揮しきれなかった結果となりました。

JBCスプリントに向けての交流重賞は東京盃もありますが、この路線はまだまだどの馬にもチャンスがありますので、若いテイエムサウスダンもベテラン勢も本番でベストな走りを見せて欲しいところです。

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