[重賞回顧]名手の初笑い〜2022年・愛知杯〜

1月中旬の中京競馬場。土曜日のメインレースは牝馬のハンデ重賞愛知杯だ。

毎年激戦、そして波乱を生み出すハンデ重賞。新年最初の牝馬限定戦ということもあって、春のヴィクトリアマイルに向けて最高の滑り出しを決める意味でも重要な一戦である。

果たして今年はどんなドラマが生まれるか。

レース概況

今年の愛知杯は16頭立て。4歳馬も多数出走し、斤量にもばらつきが大きくなる非常に難解な一戦と言えた。

1番人気に支持されたのは、昨年のローズステークスを勝ったアンドヴァラナウド。続いてコース相性抜群のソフトフルート、上り馬マリアエレーナと人気は続いた。その他にも昨年の覇者マジックキャッスルや実績馬デゼルなど好メンバーが集結となり、まさに今年の牝馬戦線を占う一戦と言えた。

スタンド前でのゲートインが終わり、レーススタート。
横一線のスタートから先行争いへと移る。まずは真ん中からアイコンテーラーがジワッと進出して先頭に立つ。そこに続いたのは外枠勢。好スタートを決めたシゲルピンクダイヤとラルナブリラーレが追走する。人気のマリアエレーナとアンドヴァラナウドも先団に取り付いた。

隊列は縦長もそれほど大きな動きを各馬は見せることなく、勝負所に差し掛かった。

アイコンテーラーが馬群を引っ張り続け、直線コースに向く。内外離れた追い比べは最内のアイコンテーラーがリードを守る。後方からはマリアエレーナにシゲルピンクダイヤ、さらに間を縫ってルビーカサブランカが前へと迫ってくる。

残り200m。ここから最内を伸びるルビーカサブランカの末脚がさく裂。名手・武豊騎手に導かれ、一気に先頭に躍り出た。

同じ勝負服のマリアエレーナ、さらに大外強襲のデゼルやソフトフルートが際どく迫るも振り切って、初重賞制覇を成し遂げたのはルビーカサブランカだった。

各馬短評

1着 ルビーカサブランカ (武豊騎手 7人気)

激戦の愛知杯は、ハンデ52キロのルビーカサブランカが勝利した。道中は中団を追走し、最内枠を活かしたインコースでの立ち回り。直線に向いても各馬が外に進路を向ける中、1頭内を通って進出しアイコンテーラーをとらえて勝利を収めた。名手に導かれた極上の立ち回りとルビーカサブランカの末脚。まさに人馬一体の勝利だった。

2着 マリアエレーナ (坂井瑠星騎手 3人気)

4歳馬最先着は、連勝を目指したマリアエレーナだった。終始先団をキープし、直線でも早め抜け出しを狙ったマリアエレーナ。内をすくわれる形で先頭を奪われるも、それでも勝ち馬とは差が無い脚を見せ2着となった。間違いなくこれからの重賞戦線をにぎわせる1頭と思わせる、そんな走りだった。

3着 デゼル (川田将雅騎手 6人気)

実力馬が意地を見せ、3着に健闘した。末脚を活かす競馬を狙うデゼルは、中団の追走。直線では進路を大外に求め、豪快に追い込みを打った。豪快な伸び脚を披露し、3着争いへと持ち込んだ。直近ではやや大きな着順が続くも、これが本来の形。今後も重賞戦線をにぎわせる準備は、整っている。

総評

愛知杯はルビーカサブランカの勝利となった。武豊騎手にとっての"初笑い"でもある。

上位の各馬はそれぞれの個性を発揮するレースを繰り広げ、春以降のレースでも非常に楽しみな馬となった。ここから大舞台に飛躍する馬は出てくるか。

写真:俺ん家゛

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