[重賞回顧]春の府中へ駆け上がる、価値ある差し切り〜2021年・東京新聞杯〜

強烈な寒波が吹き荒れ、中京競馬場では降雪による影響も見られた2月6日。

東京競馬場では降雪の影響はなく、滞りなくレースが行われた。この日のメインカードは伝統のマイル重賞東京新聞杯。インディチャンプやリスグラシューなど過去の勝ち馬には後に日本を代表する名馬となる馬もいる。

今年も春のヴィクトリアマイル、安田記念を狙う優駿が集った。

レース概況

昨年の暮れから吹き荒れる現4歳世代旋風。
このレースでも4歳勢が人気を集めた。

秋華賞2着から巻き返しを図るファインルージュはルメール騎手とのコンビ継続。
桜花賞3着以来のマイル戦で今年の始動戦を飾りたいところだ。

阪神カップ2着のホウオウアマゾンも得意の距離で巻き返しを図り、上り馬筆頭のイルーシヴパンサーも人気を集める形となった。

これら力強い4歳勢に迎え撃つのは昨年の覇者カラテだ。
今年初戦のニューイヤーカップでは58キロを背負っての完勝。能力の高さは健在だ。
このカラテを筆頭にカテドラルやヴェロックスといった古馬勢も魅力。

激戦必至の東京新聞杯はどのようなレースとなるか──。

広大な東京競馬場、向こう正面のスタート地点からレーススタート。
揃ったスタートから先行争いに移る。まずは予想通りトーラスジェミニがハナに立ち、追走するのは7枠の両頭、ヴェロックスとホウオウアマゾン。そしてケイデンスコールも早め2番手に上がり、前は広がる格好となった。
先行集団にはファインルージュも構え、ディアンドルなども好位に押し上げていく。
カラテは中団やや後ろ、そしてイルーシヴパンサーは後方2頭目の追走となった。

約15馬身圏内の隊列のまま4コーナー。長い直線へと向いた。

トーラスジェミニとケイデンスコールが並んで先頭争いへと持ち込む。
後ろからはヴェロックス、さらに内からディアンドルが接近する。残り200mで外の各馬が急襲。
ドナアトラエンテにカレンシュトラウス、さらにイルーシヴパンサーが鋭い脚で追い込んでくる。

そこから抜け出したのは、紫の勝負服イルーシヴパンサー。

馬群を縫って追い込むファインルージュを退けて1着。
2022年のお東京競馬場で初めて行われた芝の重賞は、豪快な差し切りが決まるレースとなった。

各馬短評

1着 イルーシヴパンサー (田辺裕信騎手 4人気)

まさに、直線一気。はじけ飛ぶ末脚を披露した。

後方2番手から直線勝負へと持ち込んだイルーシヴパンサー。直線では正に大外、馬場の真ん中から末脚を発揮。追い込み合戦を制して勝利をつかみ取った。これで4連勝。まさに一気呵成の上り馬となった。

2着 ファインルージュ (C.ルメール騎手 1人気)

1番人気のファインルージュも馬群を縫って追い込む力強さを見せた。

道中は先行から進路を求める競馬に。後方からやってくる馬もいたが、それでも内から伸び、勝ち馬に迫るレースを見せた。2着となったがやはり強い4歳馬のワンツー。今後の走りにも期待が持てる。

3着 カラテ (菅原明良騎手 2人気)

昨年度の覇者カラテは3着となった。

中団からレースを進め、直線の攻防へ。差し脚を伸ばすも一気に切れたのは外に持ち出してから。そこからの脚は見事で3着へと飛び込んできた。今年も順調な滑り出しで、昨年以上に大舞台での活躍に期待できそうだ。

総評

東京新聞杯はイルーシヴパンサーが勝利を収めた。開幕2週目ではあったが差し決着の大激戦となった。

ここから春の大一番にはばたく馬も必ずいるだろう。
冬の疾風を切り裂いた各馬は春にどのようなレースを見せてくれるか注目だ。

写真:shin 1

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