桜花賞も、さらにその先も!
名牝を輩出する注目のレース・クイーンカップ
今週土曜は東京競馬場で3歳の牝馬重賞・クイーンカップが行われます。
桜花賞のTRではありませんが、桜花賞の前哨戦の一つとして挙げられるレースであり、関東圏で行われる前哨戦としては有力なレースです。昨年のこのレースで2着のスターズオンアースは、桜花賞・オークスを制し二冠牝馬となりました。さらに、16年の勝ち馬メジャーエンブレムと17年の2着馬アエロリットがその後の同コースのNHKマイルカップを制していますし、19年の勝ち馬クロノジェネシスも夏を超えて秋華賞を制しました。
位置づけとしては桜花賞の前哨戦ではありますが、3歳牝馬の重要なレースですし、これから飛躍するだろう牝馬たちが集うレースなのは間違いない注目のレースです。
クイーンカップ 有力馬紹介
ドゥアイズ - 実績を持つ才女が、ここから桜花賞へ
出走馬の中で一番と言える実績で注目されるのがドゥアイズです。
昨年末の阪神JFでは3着と健闘。勝ち馬のリバティアイランドには離されましたが、2走前の札幌2歳Sで敗れたドゥーラに先着したのですから立派です。加えて、直線では内目から進路を変えて狭いところを抜けながらも伸びてきましたので、その走りは決してフロックではないでしょう。
特に進路ができた残り200Mからの切れは、もうちょっと直線が長ければ2着に浮上できたと思わせるほどでしたので、直線の長い東京コースは合う印象を持ちました。実力的にも実績的にもここは勝利が欲しいところではありますが、(1、2、1、0)の戦績が示すように勝ち切れない面がありますし、今回初の左回りで関東遠征で不安がないわけではありません。本番はまだ先ということを考えると上位に入る可能性が高いのは確かですが、勝ち切れるかどうか…という点にも注目です。
ハーパー - 関西の秘密兵器が、いざ東京へ!
近年では2歳時から活躍が求められるケースが多いですが、3歳になって大きく成長する馬もいて、重賞の場でいきなり活躍する馬も珍しくありません。
昨年の勝ち馬のプレサ―ジュリフトは新馬からの連勝でしたし、一昨年2着のアールドヴィーヴルも新馬勝ちからの臨戦過程。新馬・未勝利を勝っていきなりの重賞でも好走しているのがクイーンCです。
今年のメンバーでそれを期待できるのが、関西馬のハーパーではないでしょうか。
新馬戦では4コーナーで前を射程圏に入れつつも直線手前で外に膨れてしまい位置を下げることになりましたが、立て直して伸びてきましたが2着に食い込みます。続く未勝利戦では2番手からあっさり抜け出しての快勝。3戦目で重賞を選んだのは能力に自信があるからでしょう。
昨年のJBCレディスクラシックを勝ったヴァレーデラルナの妹という血統背景から、距離はもう少しが長い方がベストな可能性もありますが、初戦で見せた大物感はここでも通用するのではと感じさせてくれます。東京の高速の芝で強敵が相手と、未知数なところが多いですが、素質がどこまで通用するか楽しみです。
ウンブライル - 木村厩舎所属&ルメール騎手、兄ステルヴィオの良血馬
関東馬の代表格とも言えるのがウンブライルです。
兄にマイルCSを勝ったステルヴィオがいるという良血で、木村厩舎所属で鞍上にルメール騎手となれば、関東馬の中では一歩抜け出た存在と言えるでしょう。
競走実績でも、3戦2勝と優秀です。前走の阪神JFでは15着と敗れてしまいましたが、乗り替わり&初の1600M戦でうまくいかなかった面があるでしょう。
今回は1600Mの距離が2回目になりますし、主戦のルメール騎手に戻ってスムーズに走れれば巻き返す可能性十分。東京開催に入ってからのルメール騎手の活躍ぶりを考えれば期待値はさらに高まります。
ウヴァロヴァイト - 東京芝1600Mの経験を武器に上位を狙う
今回のメンバーは様々な路線から馬が集まったこともあって、東京芝1600Mの経験が少ない馬が多いメンバー構成になっています。同コースの経験という点で評価を上げたいのがウヴァロヴァイトです。
新馬戦では今回人気のドゥアイズにアタマ差の2着。次の東京芝1600Mの未勝利戦を勝ち、3戦目の同じく東京芝1600Mの赤松賞では3着に敗れつつ直線で上り3ハロン33秒3の脚を使っています。赤松賞はスローの前残りという展開だったので力負けではありません、2戦目で3着に負かしたエバーハピネスが次走で牡馬混合のベゴニア賞(東京芝1600M)で3着だったことを考えると、牝馬同士なら上位陣と差の無い力関係と言えます。
また、未勝利戦ではやや重馬場ので勝利でしたので、金曜に降った雪の影響が残る馬場であれば、渋った馬場に苦しむ他馬に対して有利になるかもしれません。今回の東京芝1600Mにおいては互角以上に戦える条件が揃った馬と言えるのではないでしょうか。
リックスター - 鹿戸厩舎、三浦騎手でもう一丁
先週の東京新聞杯では鹿戸厩舎所属のウインカーネリアンが三浦騎手騎乗で見事に勝利。その再現を狙いたいのがリックスターです。
新馬戦は、今回と同じ東京芝1600M。2番手を追走して早めに抜け出し、そのまま押し切って勝利をあげました。先週のウインカーネリアンは逃げての押し切りでしたがそれに近い形の勝利だったと言えるでしょう。
続くフェアリーSは5着でしたが、左回りに戻る今回はプラス面が多いですし、今回のメンバーも差し・追い込み馬が多いので先行するだろうこの馬が展開に恵まれる可能性も十分です。ウインカーネリアンの再現を期待してもいいのではないでしょうか。
アスパルディーコ - 母の主戦騎手が調教師となって娘と共に
話題性という点では母アパパネの5番目の娘であるアスパルディーコも見逃せません。話題だけでなく、ここでも能力発揮を期待できる1頭です。
母アパパネに騎乗していた蛯名元騎手が調教師となって、その娘であるアスパルディーコを管理して大レースに挑むのは、競馬のロマンと言えます。
新馬戦では6着と敗れてしまいましたが、2戦目の東京芝1800Mの未勝利戦では中団外目を追走しつつ、直線では外から豪快に差し切って勝利。母アパパネと同様に2戦目で初勝利を挙げました。
今回は1600Mへの距離短縮とメンバー強化が課題になるでしょう。母アパパネは3戦目の東京芝1600Mの赤松賞で連勝となったので、娘のアスパルディーコも同様にといきたいところですが、未勝利戦ではややエンジンのかかりが遅かったので「差し切れるかどうか?」という要素はあるでしょう。まだ完成度で他馬と差があるのかもしれませんが、姉のアカイトリノムスメも勝利したクイーンCで同様に勝ち切ってくれるのを期待するファンも多いのではないでしょうか。期待しましょう。
いよいよ桜花賞へ向けての前哨戦が始まり、昨年の実績馬も揃って春へ向けた大レースへの足音が聞こえ始めてきたと言っていいメンバー構成になったのではないでしょうか。
金曜に降った雪の影響がどのくらい残るかは分かりませんが、桜花賞へはもちろん、NHKマイルカップでも期待できそうではないです。血統的にも期待したい馬が集まった一戦は必見です。注目しましょう!
写真:かぼす