マイネルファンロン - TV出演&ファン投票1位と多くのファンに親しまれた「ファニキ」

マイネルファンロンという馬を語る時、まず浮かび上がるのは、長く走り続けた競走馬としての確かな存在感ではないだろうか。

2歳から9歳まで、平地の芝中距離を主戦場としながら、時には障害にも挑み、引退するまで多くの競馬ファンに夢と希望を与え続けた。

そんなマイネルファンロンの魅力は、完成されたエリートの強さではなく、年齢を重ねながらもレースの中で自分の形を探し続けたところにある。

先行して粘る二枚腰、流れに乗って早めに動く競馬、そして、2021年の新潟記念で見せたような大胆な外差し。キャリアの中でさまざまな走りを経験しながら、最後には「ファニキ」という愛称で親しまれるほど、ファンとの距離が近い存在になっていったのである。

馬名に隠された使命

マイネルファンロンの父はステイゴールド、母マイネテレジア。母の父がロージズインメイと、母系にはマイネヌーヴェルへとつながるビッグレッドファームゆかりの血が流れている。

青鹿毛の馬体に、ステイゴールド産駒らしい息の長い走りと、使われながら力を発揮するタフさを備えた馬だった。

馬名の由来は、冠名+繁栄。まさに「繁栄」という言葉は、同馬の競走生活を振り返るうえで象徴的である。

デビューは2017年9月、中山芝1800mの新馬戦。ここでは2着だったが、続く東京芝2000mの未勝利戦で早くも勝ち上がりをみせた。

2歳時には葉牡丹賞3着、3歳春にはフリージア賞2着、スプリングS3着と、早くから素質の高さを示しており、皐月賞にも出走。

クラシックの大舞台を経験した後は条件戦で地力を磨き、2018年札幌芝2000mの1勝クラス、同年中山芝2000mの習志野特別、翌2019年中山芝2200mの湾岸Sを勝利し、オープン入りを果たした。

その後は重賞の壁に何度も挑み、2019年函館記念では9番人気ながらマイスタイルとはタイム差なしの2着と重賞タイトルは目前に迫っていた。

そして、マイネルファンロンにとって最大の転機となったのが、2021年の新潟記念である。

舞台は新潟芝2000m外回り。直線の長いコースで、17頭立ての12番人気という立場だったが、M.デムーロ騎手を背にしたマイネルファンロンは、外へ進路を取り、直線で大きく脚を伸ばした。

新潟外回りの長い直線で、馬場の外を選んだ判断が生きた格好となり、先に抜け出しを図った馬たちを外から追い、最後は3番人気トーセンスーリヤを半馬身差で退け、見事、重賞初制覇を手にした。勝ち時計は1分58秒4。6歳秋にして初めて手にした重賞タイトルだった。

ただ、この勝利は、単なる波乱ではない。

2歳から堅実に使われ、クラシック、条件戦、オープン、重賞と段階を踏み、何度も壁に当たりながらも走り続けた馬が、キャリアの後半で大きな勲章をつかんだ一戦である。馬名に込められた「繁栄」という言葉は、ここで一つの形になったといえるだろう。

こうして、2024年のタイランドC13着を最後に現役を引退したマイネルファンロン。通算成績は48戦5勝と、GⅠタイトルには手が届かなかった。

しかし、2021年の新潟記念を制し、2019年の函館記念2着、2022年のアメリカジョッキークラブC2着、同年宝塚記念5着と、重賞の舞台で何度も見せ場を作った。

人気薄でも掲示板に食い込み、実績馬相手にもひるまず走る。その姿は、派手な連勝街道とは違う形で、競馬ファンの記憶に残るものだったに違いない。

一族の「繁栄」を作った「ファニキ」

マイネルファンロンが持つ物語性は、自身の重賞制覇だけにとどまらない。母マイネテレジアの一族は、その後も大きな実績を残していった。

3歳下の半妹ユーバーレーベンは、父ゴールドシップを持つ青鹿毛の牝馬で2021年のオークスを制し、母マイネテレジアにGⅠタイトルをもたらした。

同じ母から生まれた兄妹が、それぞれ同じ年に牝馬クラシックと古馬重賞で結果を出したことは、一族の価値を大きく高めたといえよう。

さらに半弟マイネルエンペラーも、父ゴールドシップの牡馬として成長し、2025年の日経賞を制した。中長距離の重賞で勝利を収めたことで、マイネテレジアの産駒が一過性ではなく、世代をまたいで重賞級の能力を伝えていることを示したのである。

そのなかでマイネルファンロンは、兄として最初に長いキャリアを築き、重賞の舞台で存在感を示した馬だった。GⅠ馬ユーバーレーベン、重賞馬マイネルエンペラーという後続の活躍が加わることで、マイネルファンロンの歩みもまた、一族の「繁栄」の一部として位置づけられる。

その結果、ファンの間で「ファニキ」という愛称で親しまれたのも納得できる。

これは単なる呼び名ではなく、長く走り、時に人気薄で激走し、引退発表時にはSNSで話題となるほど愛された存在であることも示している。

馬名の由来である「繁栄」は、血統の繁栄だけでなく、ファンの間に広がった親しみや記憶の広がりにも重なっているだろう。

TV出演&ファン投票1位の活躍

マイネルファンロンの物語は、現役引退後にも続いている。

2024年9月に競走馬登録を抹消され、その後は、かつて重賞を制した新潟の地で2025年に誘導馬としてデビュー。競走馬時代に駆けた舞台で、今度はレースへ向かう馬たちを導く役割を担うことになった。

さらに、引退後の人気を象徴したのが、アイドルホースオーディション2024である。

これは、まだぬいぐるみ化されていない馬をファン投票で選ぶ企画で、マイネルファンロンは現役馬部門で1位となり、アイドルホースぬいぐるみ化が決定した。

競馬はGⅠ馬だけが人気を集めるわけではない。長く走り続けた馬、ファンに愛称で呼ばれる馬、思い出のレースを持つ馬が、ファン投票によって形として残される。その象徴がマイネルファンロンだった。

そして2025年には、TBS系ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』の第1話にも登場。劇中では主人公サイドのライバル馬であるウイングドイル役として、武豊騎手が騎乗する場面でも注目を集めた。

こうして、現役時代に新潟記念を制した重賞馬は、引退後は誘導馬となり、さらにドラマ出演によって競馬ファン以外にも存在を知られることになった。

マイネルファンロンは、競走成績だけで語り切れない名馬である。

2歳から9歳まで走り抜き、6歳で重賞タイトルをつかみ、兄妹弟とともに母系の価値を高め、引退後も新潟競馬場で新しい役割を得た。さらにアイドルホースオーディション2024のファン投票1位、テレビ出演という形で、競馬場の外にも物語を広げていった。

馬名に込められた繁栄──その言葉は、競走生活、血統、ファン人気、そして引退後の活躍までを含め、まさにマイネルファンロンを象徴している。

「ファニキ」の歩みは、GⅠタイトルだけでは測れない、競馬が持つもう一つの名馬像を示しているといえるだろう。

写真:@pfmpspsm、かずーみ、水面、横山チリ子

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