「名馬」を語る ブエナビスタ - 一番人気に愛され、現役最強を名乗り続けた生真面目な才女 2025年11月6日 ■伝説の少女 2008年10月26日、京都競馬場で伝説となるレースが行われた。 そぼ降る雨の中、京都5レースの新馬戦芝1800mが幕を開ける。例年この時期の芝1800mの新馬戦は、将来的にクラシック出走を意識できる評判の新馬が集まってくる。この年もまた、豪華なメンバーが名前を連ねていた。1番人気は安藤勝己騎手と4枠4番... 高橋薫
「名馬」を語る あの日、府中に閃いた光 - エイシンフラッシュ 2025年11月2日 端正な顔立ち、黒曜石のように艶めく馬体、鋼を彫り込んだような筋肉。 その身に流れるのは、重厚なドイツの血。静かな闘志が全身に宿り、瞳の奥に誇りと矜持が息づく。 彼の名はエイシンフラッシュ。 誉れ高き、第77代日本ダービー馬。 その名のとおりの閃光のような末脚でダービーを制し、割れんばかりの歓声が彼を包んだ。王となった彼... norauma
「名馬」を語る 金剛不壊。5歳のサトノダイヤモンドの姿を振り返る 2025年10月4日 1.金剛不壊 本コラムのタイトルとした「金剛不壊」という言葉、聞き覚えのある方はどれくらいいらっしゃるだろうか。ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』のプレイヤーなら、「サトノダイヤモンドの進化スキル」としてご存知かも知れない。 以前、サトノダイヤモンドについては『ウマフリ』にコラム(2つのジンクスを打ち破った、至高の金... 縁記台
「名馬」を語る 秋の風に舞う。ルージュバックと私の毎日王冠 2025年10月2日 本格的な秋の始まりは、毎日王冠から… 10月の府中競馬が開催されると、本格的な秋を感じる。秋の府中開催の1週目のメインは伝統の毎日王冠。三か月ぶりに新宿から京王線に乗り、東府中に向かう車内で初夏の激闘シーンを思い出しながら、新たな気持ちで競馬新聞に目を通す。東府中で乗り換え、府中競馬正門前駅のホームに降り立つと、一気に... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 「白銀の刃」レッドファルクスの末脚と、スプリンターズステークス 2025年9月26日 ■スプリンターズステークスを連覇した名馬といえば? 秋競馬の名物レース、スプリンターズステークス。年間の競馬スケジュールの中で、有馬記念に向けた後半戦スタートのGⅠレースである。 スプリンターズステークスの歴史は古い。1966年に第1回のスプリンターズステークスが実施され、2026年で60回目を迎える。GⅠに昇格したの... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 芦毛伝説の“語られざる章”を担った馬ホクトヘリオス。若き柴田善臣騎手との蹄跡を紐解く 2025年9月5日 芦毛伝説に名を残す異端児 1980年代後半から90年代初頭、突如“芦毛旋風”が吹き荒れた。4歳(現3歳)の400万条件戦(現1勝クラス)から、8連勝で春秋天皇賞と宝塚記念の3つのGⅠを制覇したタマモクロスの登場。そして、タマモクロスの引退後、国民的ヒーローと化したオグリキャップ。有馬記念で感動のラストランを飾ったオグリ... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る [メイショウ馬たちの追憶]ダービー馬 メイショウサムソン 2025年9月4日 「青地に桃襷、桃袖」の勝負服、「メイショウ」の冠名を持つ馬たちが、週末の中央競馬でいつも多く駆けている。レース中の馬群の中、勝負服を見るだけで一目でメイショウの馬とわかるほど印象的で、長年にわたって親しまれている。 冠名の創始者、松本好雄オーナーが、2025年8月29日にご逝去された。個人馬主として史上初となるJRA通... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 皐月賞馬・ジオグリフ引退に寄せて。ジオグリフが刻んだ「挑戦の足跡」を振り返る 2025年8月28日 2025年8月27日、ジオグリフの現役引退が発表された。 結局のところ「ジオグリフってどんな馬なのか」を、最後まで掴みきれないまま終わってしまったように思う。ただ言えることは、とんでもない強烈な黄金世代に生まれてしまった…ということである。生まれてきた世代が違えば、彼の蹄跡はもっと華やかなものになっていたはずだ。 通算... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 禍福は糾える縄の如し - メジロボサツとメジロドーベル 2025年8月23日 1.新たな「メジロ」の誕生 2025年1月、1頭の馬の名前が話題を呼んだ。その馬の名は「メジロピオラ」。「メジロ」は日本屈指のオーナーブリーダーとして名を馳せたメジロ牧場の冠名であるが、2011年のメジロ牧場解散に伴って姿を消していた。命名の経緯について、メジロ牧場の後継であり、メジロピオラを生産したレイクヴィラファー... 縁記台
「名馬」を語る 3つのティアラに愛を。儚さをまといながら記憶に浮かぶ名牝、スティルインラブ 2025年8月22日 京都競馬場のパドック裏に伸びる三冠馬メモリアルロード。 喧噪から少しだけ離れた小径は季節ごとの花に彩られ、遠くから子どもの笑い声や実況の余韻が風に乗って届く。静かに佇む歴代の名馬たちの馬像は、時を超えて訪れる人々を見つめている。彼らが織り成したドラマに思いを馳せながらゆっくりと歩くと、淀の地が見守ってきたたくさんの栄光... norauma