「名馬」を語る 秋の6ハロンに現れる幻影 - 「メイケイエール」という名の余韻 2026年9月26日 秋競馬の開幕を告げる電撃の6ハロン、スプリンターズS。 歴代の優勝馬を振り返れば、ロードカナロアの王道、カレンチャンのしなやかさ、サクラバクシンオーの純血スプリント魂——そこには常に「完成されたスプリンター像」が立ち上がる。 しかし、このレースを彩ってきたのは、勝者だけではない。6ハロンの舞台には、時に「異端」とも呼ぶ... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 「今」を歴史に刻んだ秒針 - ファインニードル 2026年9月25日 その日の競馬中継は、いつもと少し違っていた。 2017年9月10日。我が家のお茶の間には『FNS27時間テレビ』が流れていた。その年のメインテーマは、「にほんのれきし」。長時間にわたるこの特別番組では、前日の夜から様々なバラエティ企画を通して日本の歴史を振り返っていた。おそらく普段は競馬を観ないような家庭でも放送されて... ポグリエル
「名馬」を語る 新星が取った「横綱相撲」 - ピクシーナイトが勝利した2021年スプリンターズSを振り返る 2026年9月25日 「横綱相撲」という言葉がある。 文字通りに考えれば、横綱が取る相撲のことなのだろう。しかし実際には、横綱が勝った取組を何でも横綱相撲と呼ぶわけではないし、反対に横綱ではない力士の勝ち方をそう表現することもある。 相手の出方に必要以上に左右されず、堂々と自分の形に持ち込み、最後は力でねじ伏せる。そんな勝ち方に対して、「横... ムラマシ
「名馬」を語る ジャンダルム - ビリーヴとの絆を信じて駆けた勇士 2026年9月20日 秋のGⅠシーズンの幕開けを告げる短距離GⅠレース。それがスプリンターズSだ。古くから『電撃の6ハロン戦』と称されてきた。 歴史あるこの賞を征した馬には、個性溢れる面々が集う。その中でも、私が書き残したいと強く思い立った馬が、ジャンダルムだった。 スイスのアルプス山脈にある難攻不落の名峰・アイガーの絶壁から名を採った彼の... 大守アロイ
「名馬」を語る 特別なこと - ワグネリアンと藤岡康太騎手 2026年9月19日 絶え間なく流れる時の中で、ふと振り返る瞬間がある。 交わされた言葉、偶然の出会い。ほんの一瞬の出来事が、後になって胸を締めつけるほど大切なものになることがある。 2018年9月23日、神戸新聞杯。 勝者、ワグネリアン。 秋の気配をはらんだ風が、仁川の空を吹き抜けた。主戦騎手の負傷という逆境を乗り越えたダービー馬と代打騎... norauma
「名馬」を語る 「奇天烈」は、才能になる。ドゥラエレーデが教えてくれたこと 2026年9月17日 「非常に風変わりで、普通ではなく、ひどく不思議な様子」 これは「奇天烈」という言葉の意味である。少年時代、藤子・F・不二雄先生が描かれた「キテレツ大百科」という漫画を読んでいたから、この言葉の存在自体は知っていたが、意味まで深く理解しようと思ったことはなかった。なのになぜか「奇天烈」という言葉には強烈に興味を持っていた... 小早川 涼風
「名馬」を語る [追悼]雨の拳が開いた記憶 - アドマイヤムーンと岩田康誠騎手、忘れ得ぬ「あの頃」へ 2026年9月12日 2026年9月6日、中山競馬場第7レース。 大雨に煙る4コーナー奥のゲートから、18頭が一斉に飛び出した。タイムリミットが近づく芝2000mの3歳未勝利戦。春には皐月賞が行われた同じ舞台で、その頂点を争うことのできなかった馬たちが、半年後、それぞれの未来を懸けて走っていた。 スタート直後から果敢に先手を奪ったのは、水色... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る キタノオーザ - 戦後初の三冠を阻んだ悲運の良血馬と、寺山修司が描いたファンの物語 2026年9月12日 1.「三冠馬」の権威 2026年8月、競馬界を大きく揺るがすニュースが飛び込んできた。米国競馬で2027年度から「サラブレッドチャンピオンシップシリーズ」と称される3歳王者決定シリーズが創設されるというのである。全6戦のポイントを競い、その順位に応じたボーナスが与えられるとのこと。これまでの「米国三冠」は5週間で3レー... 縁記台
「名馬」を語る [追悼]大きな流星を揺らして - オウケンブルースリがくれたたくさんの宝物 2026年9月11日 オウケンブルースリ。 ブルースリーではなく、ブルースリ。競走馬の名前に許された九文字に無理やり詰め込んだような、けれどそんな名前が、どういうわけかよく似合う馬だった。 私が初めてオウケンブルースリを知ったのは、ダービーに向けた戦いが佳境を迎える5月、裏開催の新潟で行われた未勝利戦だった。新聞片手にぼんやり眺めていると、... norauma
「名馬」を語る ターフから神事へ - 相馬野馬追に生きる、孝行息子ブラックホール 2026年9月5日 甲冑をまとった騎馬武者が行き交い、色鮮やかな旗指物が風に翻る。 相馬野馬追の景色には、遥か昔と現在がひとつにつながったような不思議な時間が流れている。勇壮な装束に身を包んだ武者と馬。沿道に集まった人々の熱気と喧噪のなかを、一頭一頭がそれぞれの役目を果たすように進んでいく。 その中に、祭礼馬となったブラックホールの姿があ... norauma