「名馬」を語る [追悼]雨の拳が開いた記憶 - アドマイヤムーンと岩田康誠騎手、忘れ得ぬ「あの頃」へ 2026年9月12日 2026年9月6日、中山競馬場第7レース。 大雨に煙る4コーナー奥のゲートから、18頭が一斉に飛び出した。タイムリミットが近づく芝2000mの3歳未勝利戦。春には皐月賞が行われた同じ舞台で、その頂点を争うことのできなかった馬たちが、半年後、それぞれの未来を懸けて走っていた。 スタート直後から果敢に先手を奪ったのは、水色... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る キタノオーザ - 戦後初の三冠を阻んだ悲運の良血馬と、寺山修司が描いたファンの物語 2026年9月12日 1.「三冠馬」の権威 2026年8月、競馬界を大きく揺るがすニュースが飛び込んできた。米国競馬で2027年度から「サラブレッドチャンピオンシップシリーズ」と称される3歳王者決定シリーズが創設されるというのである。全6戦のポイントを競い、その順位に応じたボーナスが与えられるとのこと。これまでの「米国三冠」は5週間で3レー... 縁記台
「名馬」を語る [追悼]大きな流星を揺らして - オウケンブルースリがくれたたくさんの宝物 2026年9月11日 オウケンブルースリ。 ブルースリーではなく、ブルースリ。競走馬の名前に許された九文字に無理やり詰め込んだような、けれどそんな名前が、どういうわけかよく似合う馬だった。 私が初めてオウケンブルースリを知ったのは、ダービーに向けた戦いが佳境を迎える5月、裏開催の新潟で行われた未勝利戦だった。新聞片手にぼんやり眺めていると、... norauma
「名馬」を語る ターフから神事へ - 相馬野馬追に生きる、孝行息子ブラックホール 2026年9月5日 甲冑をまとった騎馬武者が行き交い、色鮮やかな旗指物が風に翻る。 相馬野馬追の景色には、遥か昔と現在がひとつにつながったような不思議な時間が流れている。勇壮な装束に身を包んだ武者と馬。沿道に集まった人々の熱気と喧噪のなかを、一頭一頭がそれぞれの役目を果たすように進んでいく。 その中に、祭礼馬となったブラックホールの姿があ... norauma
「名馬」を語る アン、ドゥ、トロワゼトワル - 夏の残り香、微笑むような一番星 2026年9月4日 夏の終わりに、まばゆい光を残した1頭の牝馬 夏の風物詩といえば、何が思い浮かぶだろうか。 競馬ファンなら札幌記念やアイビスSD、あるいはそれらを含めたローカル開催時のグルメ巡りなどを真っ先に思い浮かべる人もいるかもしれない。 では、競馬を少し離れた夏の思い出なら、どうだろう。 夏祭りに線香花火、海水浴やプール、宿題に追... ポグリエル
「名馬」を語る 血統のシンギュラリティ・ポイント - アドマイヤムーン 2026年9月3日 競馬を長くやっていると、どうしても血統に対してイメージというか先入観が生まれてくると思います。 例えば、ディープインパクトの血が入っていると切れ味とスピードがありそうであるとか、ステイゴールドの血が入っているとパワーがあって中山競馬場が得意そうだなとか、多くの人が特定の血統に対するイメージというのを少なからず持っている... 館山 速人
「名馬」を語る 不屈の競走馬、オフサイドトラップ - 3度の屈腱炎の先で走り、掴んだ栄光 2026年8月29日 ■幾度の屈腱炎にもめげず、勝利を目指し走る古豪 通算成績は28戦7勝。うち2着8回、3着5回で掲示板には20回も入るという安定感を見せたオフサイドトラップ。だが、現役生活の多くの時間を屈腱炎に費やした同馬は、順調なローテーションで走る事が出来たとは言い難い。 オフサイドトラップがデビューしたのは1993年。あの三冠馬ナ... 朱鷺野 真一郎
「名馬」を語る 夢、紡ぐ馬 - メイショウサムソン 2026年8月29日 初めて「メイショウ」を冠した馬、メイショウグリーンが初勝利を挙げてから11,096日。「その日」までにメイショウの馬たちは、800を超える勝ち星を中央競馬で積み上げてきた。 長い時間の中で、活躍馬も数多く誕生した。初重賞勝ちのメイショウキング、最優秀ダートホースにも選ばれたメイショウホムラ、マイルCSで16番人気ながら... 玩具販売者
「名馬」を語る マイネルファンロン - TV出演&ファン投票1位と多くのファンに親しまれた「ファニキ」 2026年8月26日 マイネルファンロンという馬を語る時、まず浮かび上がるのは、長く走り続けた競走馬としての確かな存在感ではないだろうか。 2歳から9歳まで、平地の芝中距離を主戦場としながら、時には障害にも挑み、引退するまで多くの競馬ファンに夢と希望を与え続けた。 そんなマイネルファンロンの魅力は、完成されたエリートの強さではなく、年齢を重... 真実 良
「名馬」を語る [追悼・ナカヤマフェスタ]あの日、ロンシャンの直線で夢を見た 2026年8月23日 信じたくないニュースが飛び込んできた。2026年8月23日、ナカヤマフェスタが天国へ旅立ったという。20歳だった。 ナカヤマフェスタが競走馬を引退し、うらかわ優駿ビレッジAERUで穏やかに暮らしている様子を見かけるたび「元気でいてくれるだけでいい」と思っていた。訃報が届く数日前には、8月上旬からナカヤマフェスタが体調を... 笠原 小百合