「名馬」を語る 檜になった黄金の"あすなろ"。オルフェーヴル初年度産駒の皐月賞馬、エポカドーロ。 2023年4月16日 「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって!それであすなろうと言うのよ」 ──井上 靖. あすなろ物語(新潮文庫) (p.38). 新潮社から引用 2018年2月。雨の小倉競馬場。2歳500万下(現在の1勝クラス)特別戦、あすなろ賞。 偶然か必然か、レース名に冠せら... 枝林 応一
「名馬」を語る 父の血を感じる、小さなお姫様レイパパレ。三冠馬と短距離女王を撃破した、泥まみれの疾走。 2023年3月31日 2020年の競馬は無観客の中で行われ、無敗の三冠馬コントレイルが誕生した。 翌2021年もまだ先の見通しがつかない世の中ではあったが、日本の競馬界はコントレイルを中心に動くだろうと思われた。しかし、コントレイルは古馬初戦となったGⅠ大阪杯でまさかの敗北を喫するのである。 日本競馬界の至宝ともいえる三冠馬に土をつけたのは... 真実 良
「名馬」を語る [高松宮記念]いつか、父も歩いた道。キングヘイロー産駒の短距離王、ローレルゲレイロ。 2023年3月25日 競馬は時を重ねるほど、味わいを増す。いつの時代も、目の前を走る彼らに、いつか見た愛すべき誰かの面影を重ねてしまう。誰かの夢の続きを描くことも、誰かとは異なる道で個性を発揮することも、そして誰かとどこか似た道程を歩むことも、等しく尊い。 私はいつも、思い思いに願いを託し、勝手な物語を募らせてしまう。 2000年、高松宮記... norauma
「名馬」を語る ステイフーリッシュ - 競走中止を乗り越え、世界の舞台へ。ステイゴールド晩年の代表産駒として、常識を超え続けた国際派。 2023年3月24日 Man knows so much and does so little.(人間は知りすぎるくらい知っているが、それを実行に移すことはあまりにも少ない)R.バックミンスター フラー(1895-1983) 第57回札幌記念。緩やかな3コーナー入り口でソダシが果敢に先頭に立つ。ブラストワンピースが逃すものかと後を追う。桜花... 枝林 応一
「名馬」を語る エアグルーヴ、メジロドーベル、スペシャルウィーク、メジロライアンの血が流れる血統馬。フラワーC勝ち馬、ホウオウイクセル。 2023年3月18日 もし私が「あなたが思い入れのある世代は?」と問いかけられたら、私の答えは決まっている。「2021年の牝馬世代です」「理由は?」「この時代に私は競馬を始めたから」ちょうど、桜の蕾がほころぶ頃に私は競馬というものを始めた。クラシック戦線が盛り上がる頃である。今回は、この年のフラワーCを回顧したい。牝馬クラシックの幕開けとな... シラユキ
「名馬」を語る 消えかかっていた、偉大な血を携えて。ラストインパクトの挑戦を振り返る。 2023年3月12日 1994年──漆黒の馬体、シャドーロールの怪物に魅了されてから幾年もの時が流れた。その間、競馬から多くのロマンと感動をもらったが、それと同じくらいJRA銀行に対価を納めているのも間違いない。 私を競馬の世界に導いてくれたナリタブライアンは、引退して僅か3年でこの世を去った。 残された産駒は2世代のみ。今では血も途絶えか... 真実 良
「名馬」を語る [エンプレス杯]上山最後の女傑・ジーナフォンテンの現役生活を振り返る。 2023年3月1日 山形県南東部に位置する上山市。開湯から555年を数える上山温泉を抱えるこの街には、かつて競馬があった。 1935年に開場を迎えた『かみのやま競馬』は地元温泉地をはじめとした観光産業に支えられ、バブル期には上山の財政を潤したが、その後は売上減の影響で2003年に閉場。現在は跡地の一角にひっそり佇む馬頭像と慰霊碑が競馬場の... 椎茸抹茶
「名馬」を語る 彼らは、そこに居た。ローエングリンと後藤浩輝騎手の話。 2023年2月25日 中山記念を迎える時、私はいつも一頭の栗毛馬を思い出す。そしてその馬を思い出す時、私はいつも一人のジョッキーを思い出す。 ──その馬は世界の名血。金色の見栄えする体躯を持ち、才気に溢れ、華があった。 ──その馬は大舞台に幾度も現れ、海を越え、多くの名馬と刃を交えた。 ──その馬は一組の師弟の絆を深め、夢を叶えた。 馬の名... norauma
「名馬」を語る ダービー挑戦、強豪との激突、そして愛される誘導馬に…。サクセスブロッケンの生涯を振り返る。 2023年2月19日 「立春」とは、二十四節気のうち、その日を境に厳しい寒さが少しずつ緩み始め、春の気配が忍び寄ってくる日のことを言うらしい。毎年、おおよそ2月4日あたりになる。立春を過ぎてから確かに朝や日中の寒さは少し楽になった気もするが、私の鈍い感性をもってすると、まだ春の気配は遠すぎる。午前中のうちは暖かい日差しに照らされていたはずの... ひでまさねちか
「名馬」を語る ダービー馬になる難しさ、そして古馬との対決…。エフフォーリアの現役時代を振り返る。 2023年2月15日 2023年2月14日。 2日前の京都記念で心房細動を発症し、競走を中止したエフフォーリアの引退が発表された。11戦6勝、GⅠは皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念の3勝。すべて3歳シーズンであげたものだった。その年の年度代表馬は我々に希望と競走馬の繊細で複雑な部分を教えてくれた。 エフフォーリアのデビューは20年夏の札幌。そ... 勝木 淳