「今日も来てや! 俺は待ってるで!!!」「買うてへんねん……今日は待ってへんで……」 2000年代前半、淀や仁川でこんな言葉遊びをするおっちゃんファンがいたとかいないとか…。 そのきっかけとなったのは一頭の異才。その馬は明るい尾花栗毛を持ち、緑、白玉霰、白袖赤二本輪のメンコを着け、お馴染みの小田切有一オーナーの勝負服を...
コラム・エッセイ
コラム・エッセイの記事一覧
──ああ、そうか。もうG1の季節だなぁ。出馬表に彼の存在を認めると、ふと呟いてしまうような馬がいる。競馬に親しんだ時代によって、それがステイゴールドだったり、キセキ、マカヒキだったりするだろう。 競馬歴が長ければ長いほど、名馬たちの顔が浮かんでは消えていく。 私の場合、その筆頭は『最強の2勝馬』と呼ばれた、サウンズオブ...
「おい! なに勝手にリモコンをいじっているんだ!」 家の中に怒号が響き渡る。まだ5歳だった自分に、祖父がものすごい剣幕で怒鳴りつけたのだった。普段は優しい祖父の豹変ぶりに驚いて、思わず号泣する。しかし祖父は構わず続けた。 「この映像は、とっても大事なものになるかもしれないんだ! もし録れていなかったらどうするんだ!」 ...
2024年3月10日、一人の男がターフに別れを告げた。 武士沢友治(46)、1997年デビューのベテラン騎手である。 突然の発表だった。3月3日の中山1Rカシマエスパーダで今年2勝目をあげ、この馬は武士沢騎手と共に今後の活躍が期待できそうだと思わせるほどのレースぶりだった。その矢先、3日後に発表された『引退』の文字。競...
ライバル達の名勝負 ──あなたにとって、『競馬界のライバル対決』といえば、どのレースでしょうか。 この質問に対し、1つのレースを即答出来る方はなかなかいないと思う。正直、筆者もひとつに絞って回答することは出来ない。 これまでの競馬界の歴史における『ライバルたちの名勝負』がどれも魅力的であり、感動的であり、唯一無二であり...
春を告げる伝統の阪神大賞典 3月半ばに組まれているG2阪神大賞典。毎年楽しみにしている春の一戦だ。 3月に入ると、3歳馬たちのクラッシック出走権を懸けた熾烈な戦いが毎週東西で行われる。まだ素質だけで走っているような若駒が、駆け引きもできずにハイペースに巻き込まれて直線で沈んでいく姿、トライアルレースの非情ともいうべき3...
2頭の馬とホースマンたちの出会い 2004年のフラワーカップを制し、後にGIを2勝するダンスインザムードを語る上で欠かせないのが、華麗なる血統背景とそのドラマである。 1989年、米国キーンランドセールに1頭の繁殖牝馬がセリに出されていた。名前はダンシングキイ。この時点で2頭の産駒を産んでいたが、いずれも活躍することが...
──皆さんは、ブラックタイドの新馬戦を見たことがあるでしょうか? ブラックタイドといえば、最近の競馬ファンにはキタサンブラックの父として、そしてイクイノックスの祖父としてすっかりおなじみでしょう。 しかし現役時代を過ごしたのはもう20年近くも前の話(2024年現在)。リアルタイムで彼の走りを見届けた人は私も含めたオール...
埼玉県羽生市、さいたま市街中心地から車で2時間ほどの長閑な場所に、『Horse Space 紡』という、馬のための場所がある。 近年、ニュースや関係者による発信により、引退競走馬への関心が広がっている。それに伴い、実際に競走馬生活を終えた馬たちを受け入れ、セカンドキャリアへ送り出すことを目指す活動も増加した。 しかし、...
2021年、ジャパンカップを最後に引退した三冠馬コントレイル。惜しまれつつ引退した名馬と入れ替わる様に、コントレイルと同世代である"彼"は、年末のG1戦線に名乗りを上げる。大逃げを武器に、21年のG3福島記念を勝利した逃げ馬。令和のツインターボこと、パンサラッサである。 パンサラッサは、福島記念の勝利した勢いのまま、2...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]天まで届け勝利の凱歌。史上まれに見る混戦を制したのはジャスティンミラノ!~2024年・皐月賞~
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[重賞回顧]中118日の雪辱劇!『マジックマン』に導かれたステレンボッシュが、逆転で桜の女王を戴冠~2024年・桜花賞~
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[重賞回顧]躍進著しい上村厩舎の大黒柱ベラジオオペラ。ダービーの雪辱を果たし、GⅠ初制覇を達成!~2024年・大阪杯~
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[重賞回顧]雪辱vs雪辱の死闘を制したマッドクールが、待望のGⅠ初制覇~2024年・高松宮記念~
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[重賞回顧]傑出した瞬発力でライバルを圧倒!無傷3連勝を達成したシックスペンスが、堂々クラシック候補に名乗り~2024年・スプリングS~
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[重賞回顧]良血の外国産馬エトヴプレが一気の逃げ切りで後続を完封!~2024年・フィリーズレビュー~
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[重賞回顧]ミルコ・マジック炸裂! 勝負所でまくりを決めたコスモキュランダが重賞初制覇~2024年・弥生賞ディープインパクト記念~