[牝系図鑑]サンデーサイレンスとの出会いで才能開花。コパノリッキーを輩出したアリーウイン牝系。

サイアーラインや近親交配を中心に語られることが多い血統論だが、牝系を通じて繋がるDNAはサラブレッドの遺伝を語る上で非常に重要な要素だ。
この連載では日本で繁栄している牝系を活躍馬とともに紹介しその魅力を伝えていく。
今回取り上げるのはコパノリッキーやサンライズペガサスなどを輩出したアリーウインの牝系だ。

重厚な血統構成から得たタフさにサンデーサイレンスのスピード添加で才能開花

代表馬
・コパノリッキー(14年、15年フェブラリーS連覇などG1級11勝)
・サンライズペガサス(02年、05年大阪杯勝ちなど重賞3勝)

アリーウイン

米国で生産されたアリーウイン。競走馬としては実績を残すことはできなかったが、繁殖牝馬としてヤナガワ牧場が輸入。アリーウインを4代母に持つコパノリッキーもヤナガワ牧場生産馬であるように、長らくヤナガワ牧場で繋がってきた一族だ。

アリーウイン牝系で強調しておきたい点は一点だけ。
当時の日本の種牡馬事情もあるだろうが、枝を伸ばした産駒の父が重厚なタイプの種牡馬ばかりだったということもあって、非常にタフで成長力がある。

サンデーサイレンスとの出会いで開花した一族

アリーウイン牝系で触れておきたいのはウェディングブーケとヒガシブライアンの二本。

牝系図

①ウェディングブーケ

ウェディングブーケ

ウェディングブーケ自身は競走馬となることができなかったが、アリーウイン産駒として最も活躍したウェディングケーキ(93年京王杯AH3着)の全妹にあたる馬だ。
長らく子孫からは活躍馬を輩出することができなかったが、コパノリッキーが出たことによって一気にこの一族で最も派手なブラックタイプとなった。

コパノリッキー

コパノリッキーに至るまでアリーウインからリアルシャダイ→トニービン→ティンバーカントリー→ゴールドアリュールという流れで種牡馬がつけられてきた。
リアルシャダイ→トニービンの流れまでは完全に持続性能に振り切った配合になるので、中々スピード勝負に対応できる産駒が輩出できない。
ちょうど日本の芝の高速化が進んでいた時代背景と相まって活躍馬を輩出できなかったというハンデもあっただろう。
しかしティンバーカントリーとゴールドアリュールからダート適性、スピードを上手く獲得したコパノリッキーは当時の日本ダート界において無双の強さを誇った一頭となった。
コパノリッキーの真骨頂である先行力と粘り強さには、間違いなくリアルシャダイやトニービンの影響があって、そこにスピードが上手く絡み合った結果が日本競馬史上G1級最多勝利馬の輩出に繋がった要因と考えられるだろう。

②ヒガシブライアン

2頭目はヒガシブライアン。こちらも競走馬になることはできなかったが、前述のウェディングケーキやウェディングブーケの3/4妹にあたる血統の馬だ。
こちらはコパノリッキーのように数代かかって活躍馬が出たわけではなく、サンデーサイレンスとの交配ですぐに重賞3勝のサンライズペガサスを輩出した。

サンライズペガサス

この馬の存在がヤナガワ牧場においてアリーウイン牝系が大事に繋がれた一因だったのではないかと考えると、非常に重要な一頭である。
サンライズペガサスは二度の屈腱炎があり、決して順調な競走馬生活とは言えなかったが、ブライアンズタイムらしい息の長さを見せてカムバックした7歳シーズンに大阪杯と毎日王冠を勝利した。
コパノリッキーと違ってトニービンを挟まなかったこと、ゴールドアリュールではなくサンデーサイレンスだったことなど様々な要因が考えられるが、サンライズペガサスは非常に器用なタイプで、速い脚も使えて、機動力もあって、タフさもあるという万能タイプの馬だった。
母系の良さ、サンデーサイレンスの良さをそのまま引き継いだ馬だったと言えるだろう。

今後はコパノリッキー産駒の活躍にも期待

アリーウイン牝系としての今後の活躍も当然期待したいのだが、コパノリッキーが種牡馬となったことで父系からもその影響を及ぼせるようになった。
サンライズペガサスも種牡馬として優秀だったのだが、産駒数が少なかったこともあって重賞級の産駒の輩出には至らなかった。
コパノリッキーの持ち前である重厚な血統構成は現代の日本ダート系種牡馬において稀有な存在でもあるため、種付け頭数も100頭以上、ないしは100頭近くを毎年集めている。
現状のコパノリッキー産駒を見ていると父の母コパノニキータ、つまりアリーウイン牝系が良く出ている印象でスピード面には少し弱点を持っている印象だ。
従って米国のスピードタイプの血、かつ距離が持つようにインブリードがきつくなりすぎない母をつけてあげるのが良さそう。
馬券的にはダートの長めの距離で一変してくる可能性があるので、注意が必要だ。

写真:かず、かぼす、Horse Memorys

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