[新馬戦回顧]メイクデビューの勝者達 - 2022年10月29日・30日

10月開催も最終週。2020年産駒達の新馬戦もここまでで170戦を超えました。
今回も先週開催された新馬戦で、世代全体のうち3割前後しか勝ち上がることができない狭き門を突破した2歳馬達を紹介していきたいと思います。

2022年10月29日(土)

阪神4R ダ1400 晴・良 13頭

ヘニータイフーン

牝馬
ヘニーヒューズ×メジャータイフーン
母の父:ダイワメジャー
所属:栗東)中村直也厩舎
生産:服部牧場
鞍上:岩田望来騎手
492㎏ 1番人気 8枠13番

この週で最初の新馬戦は、ヘニーヒューズ産駒が勝利しました。
大外から好スタートを切ったヘニータイフーンは、ダイナミックなフォームで馬群外側を6番手辺りで追走。

直線に入ると内から出てきた馬に影響を受ける場面もありましたが、態勢を整えると加速を開始します。
力強く抜け出して、最後は追い込んできたハチメンロッピを半馬身抑え込み勝ち上がりを決めました。

勝ち時計は1分27秒1。

A.オブライエン厩舎での修行歴もある2年目中村直也調教師は、これが記念すべき新馬戦初勝利となりました。

東京4R 芝1400 晴・良 15頭

ルミノメテオール

牝馬
エピファネイア×クイーンナイサー
母の父:フォーティナイナー
所属:美浦)金成貴史厩舎
生産:タイヘイ牧場
鞍上:M.デムーロ騎手
440㎏ 2番人気 6枠10番

ディープインパクトの仔Saxon Warrior産駒で、母と半姉もG1馬という良血馬、アイリッシュパールが単勝1.8倍のダントツ1番人気に推された新馬戦。勝ち星を挙げたのはそのアイリッシュパールに次ぐ人気を集めた、エピファネイア産駒ルミノメテオールでした。

ゲートの出自体はまずまずだったルミノメテオールですが、二の脚がスムーズについて前方へ。
5番手辺りで折り合いレースを進めます。
4コーナーから直線に向いた時には周囲を完全に囲まれる瞬間もありましたが、M.デムーロ騎手がじっくり待って、前方が開けてからGoサイン。

鋭い加速を見せ抜け出したルミノメテオールは2着馬パルティクラールに1馬身半差をつけ、先頭でゴールを駆け抜けました。

勝ち時計は1分25秒0。

尾上オーナー、生産のタイヘイ牧場、金成厩舎にとって嬉しい今年の新馬戦初勝利となりました。

阪神5R 芝2000 晴・良 11頭

マイネルエンペラー

牡馬
ゴールドシップ×マイネテレジア
母の父:ロージズインメイ
所属:栗東)清水久詞厩舎
生産:ビッグレッドファーム
鞍上:和田竜二騎手
454㎏ 2番人気 7枠8番

2018年の皐月賞馬エポカドーロの半弟ジャスティンレオンが単勝1.5倍の1番人気となった阪神5R。2021年新潟記念の勝ち馬マイネルファンロンの半弟で、2021年のオークス馬ユーバーレーベンの全弟にあたる期待の仔マイネルエンペラーが制しました。

悪くないスタートを切ったマイネルエンペラーでしたが、行き脚はそれほどつかず、序盤は馬群後ろ寄りでレースに入っていきます。

道中は外寄りを走っていましたが、最終コーナーから直線に向かうところで外に広がった馬群の内を加速しながら突く、父の皐月賞を彷彿とさせるコーナーリングを見せてポジションを上げるとそのまま一気に先頭へ。

2着に入った、2020年小倉サマーJ勝ち馬スプリングボックスの半弟ペネトレイトゴーに1と3/4馬身差をつけ、2分01秒9でゴールしました。

見事な勝ちっぷりでしたが、ゴール前でバランスを崩したのかクビをあげる仕草を見せるなど、まだまだ幼さもあり、心身の更なる成長とこれからの活躍が楽しみな1頭です。

東京5R 芝1600 晴・良 15頭

シャンパンカラー

牡馬
ドゥラメンテ×メモリアルライフ
母の父:Reckless Abandon
所属:美浦)田中剛厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:戸崎圭太騎手
502㎏ 1番人気 5枠8番

2020年阪急杯の勝ち馬ベストアクターの半弟リラックスや、重賞3勝馬テルツェットの半弟ショウナンハクウンらが登場した新馬戦。
母メモリアルライフの仔が、文字通りメモリアルな勝利を挙げました。

悪くないスタートを切ったシャンパンカラー。二の脚もしっかりついて、先行集団の一角7-8番手辺りで流れに乗ります。
そして直線に入ると外で進路を確保。残り400m時点で前に8頭いましたがジワジワと脚を伸ばし、残り200mでラストスパートをかけます。

2着リラックスに1と1/4馬身差をつけて、1番人気に応えました。
勝ち時計は1分35秒5。

青山オーナー、田中厩舎は今年の新馬戦初勝利。
鞍上・戸崎騎手にとっては史上28人目、現役14人目のJRA通算1300勝達成のメモリアルレースとなりました。

2022年10月30日(日)

阪神4R 芝1200 晴・良 13頭

ヴィエンヌ

牝馬
エピファネイア×リヴィエール
母の父:ハーツクライ
所属:栗東)中尾秀正厩舎
生産:明治牧場
鞍上:団野大成騎手
482㎏ 2番人気 6枠8番

2番人気に推されたヴィエンヌでしたが、行き脚がつかず後方2〜3番手からのスタート。

4コーナーを回りながら大外に持ち出されますが、直線に向いた段階ではまだ前に11頭いる状態でした。

しかしヴィエンヌの見せ場はここから。
団野騎手に追われると、上がり最速の33.7とあう末脚を披露してどんどん順位をあげていき、先頭に抜け出していたカリブルヌスをとらえ、1馬身前に出たところでゴール。
勝ち時計は1分10秒7。
豪快な差しきり勝ちでした。

中尾厩舎、団野大成騎手は今年の新馬戦初勝利。
調教段階ではスタートももっと速かったということで、次走以降はまた違った競馬を見せてくれるのかもしれません。

東京4R ダ1600 晴・良 15頭

パライバトルマリン

牝馬
Malibu Moon×Private Jet
母の父:Smart Strike
所属:美浦)林徹厩舎
生産:Stonestreet Thoroughbred Holdings LLC
鞍上:C.デムーロ騎手
498㎏ 1番人気 3枠5番

C.デムーロ騎手騎乗のマル外馬が、ダントツの1番人気に応えました。

好スタートを切ったパライバトルマインは、スムーズに加速してそのまま先頭へ。
しっかり折り合って逃げの体勢に入ります。

後続との差が殆どない状態で直線に入りますが、余力十分のパライバトルマイン。ここから楽な手応えのままどんどん差を広げていき、最終的には2着トルズイーガーに5馬身差をつける完勝となりました。

勝ち時計は1分39秒4。

C.デムーロ騎手も、そのポテンシャルを高く評価。吉田和美オーナーはこれが今年の新馬戦初勝利となりました。

新潟5R 芝1400 曇・稍重 18頭

ブラウンウェーブ

牝馬
モーリス×ニューウェーブ
母の父:ハーツクライ
所属:美浦)宗像義忠厩舎
生産:千代田牧場
鞍上:横山琉人騎手
432㎏ 15番人気 8枠17番

今年の新馬戦179戦目にして、10頭目となる二桁人気からの勝ち馬が誕生しました。

8枠17番とかなり外からのスタートとなったブラウンウェーブでしたが、飛び出すような好スタートを切ると、7番手辺りにポジションをとりしっかり折り合います。

外めを回って直線に入るとジワジワと脚を伸ばし始め、残り200m辺りからラストスパート。
鋭い末脚を披露し、逃げ切り勝ちを図ったサトノグレイトをゴール寸前で差し切りました。

勝ち時計は1分23秒9。
オーナーの株式会社トップフェロウと宗像厩舎にとって嬉しい今年の新馬戦初勝利となりました。

阪神5R 芝1800 晴・良 12頭

アイルシャイン

牡馬
ヴィクトワールピサ×ベストオブミー
母の父:ブライアンズタイム
所属:栗東)新谷功一厩舎
生産:千代田牧場
鞍上:坂井瑠星騎手
474㎏ 1番人気 2枠2番

重賞2勝馬タツゴウゲキの半弟ザレットイットビーや、共に重賞1勝のプロフェットとクラージュゲリエの半弟シュタイナーが登場した新馬戦。1番人気に推されたアイルシャインが人気に応えました。

タイミングが合わずやや出遅れたアイルシャインは馬群の後方、8番手でレースを進めます。
3〜4コーナーのポジションを上げていく途中で、大きく頭を上げる様子が映像からもはっきりわかるほどの不利があり、むしろポジションを下げた状態で直線に入ることになってしまいましたが、アイルシャインはここで終わりません。

一番外から追い出されると再加速を開始。
隣にいたレジェンドシップと共に競うように脚を伸ばして行き、最後は1馬身前に出たところでゴールを迎えました。

勝ち時計は1分48秒7。

勝本竜二オーナーはこのレースが馬主としての初出走でしたが、同時に記念すべき初勝利となりました。

東京5R 芝1800 晴・良 14頭

エメリヨン

牝馬
ドゥラメンテ×レディフォグホーン
母の父:Zavata
所属:美浦)加藤士津厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:福永祐一騎手
450㎏ 1番人気 5枠8番

2018年のチャンピオンズカップ勝ち馬でその年の最優秀ダートホースにも選ばれたルヴァンスレーヴ。その半弟であるノルドヴェストや、リスグラシューを叔母に持つココクレーターなど良血馬が揃うなか、1番人気の支持を集めたのはエメリヨンでした。

フランス語で「活発な」という意味の名前を持っていますが、ゲート入りを嫌がって福永騎手を落とし、背中から倒れこむ大暴れ。
発走を遅らせてしまいます。

幸い大事には至らず、目隠しされてゲートインを果たすとそこからは一変。
好スタートを決め7-8番手で折り合い、非常に落ち着いた様子でレースを進めます。

外を回して直線に入ったエメリヨンは、残り400m付近からギアチェンジ。
力強く脚を伸ばすと、最後はセイウンパシュートとの競り合いを制し、追い込んできたココクレーターをクビ差抑えて勝ち上がりを決めました。

勝ち時計は1分50秒4。

鞍上福永騎手もレースは期待通り、距離も大丈夫そうで来年も楽しみと高評価。
発走調教再審査となってしまいましたのでまずはそこをクリアしてからになりますが、次走の走りにも注目の1頭になりそうです。

阪神6R ダ1800 晴・良 11頭

ローレルキャニオン

牡馬
ジャスタウェイ×キャンプロック
母の父:Myboycharlie
所属:栗東)須貝尚介厩舎
生産:ノーザンファーム
鞍上:酒井学騎手
550㎏ 2番人気 4枠4番

2番人気に推されたローレルキャニオンは、まずまずのスタートを切ると、直後はやや力んだ様子も見せながら6〜7番手にポジショニング。
すぐに落ち着いて、レースを進めていきます。

その後3〜4コーナー付近で外からアリクテラーが仕掛けていったタイミングで、後れをとる前にペースアップ。
残り200mまでは内で先行していたカッチュッコ、ホルスと競り合いますがここからもう一段ギアをあげて突き放すと完全に抜け出し、最後は2着馬グッドハビッツに4馬身差をつけました。

鞍上酒井騎手も良い馬に乗せてもらいましたと絶賛の走りで、勝ち時計は1分56秒4。

今年6月から毎月新馬戦ウィナーを送り出していましたサンデーレーシング、今月はここまで勝てていませんでしたが、10月最後の新馬戦で見事勝利を挙げました。


以上、今週のメイクデビュー勝ち馬10頭を見ていきました。

この仔達がこれからどのような成長を見せてくれるのか、今週末の新馬戦ではどんな仔達がデビューしてくるのか、週末を楽しみに待ちたいと思います。

写真:かぼす、水面、いぬころ

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