[フラワーC]実績馬vs素質馬vs良血馬。オークスで楽しみな馬が勢揃いした3歳牝馬重賞の行方は? - 重賞プレビュー

3歳牝馬最初の1800M重賞。
オークス向きの素質馬が勢揃い!

18日の土曜中山では3歳牝馬重賞のフラワーカップが行われます。
前週に桜花賞TRが終わったという時期なので、このレースから桜花賞へ向かう馬はそれほど多くはありません。どちらかというとやや遅れて成長してきた1勝馬や、重賞で結果を残せなかった馬たちがこのレースで実績と賞金を積んでこれからの大レースに飛躍していく…という位置付けのレースでしょう。

特に近年ではこのレースからオークスに向かい、結果を残す馬が出てきています。
一昨年の3着馬ユーバーレーベンは同レースで3着後、フローラSの3着を経てオークスを勝利。昨年の勝ち馬スタニングローズは次戦のオークスで2着に食い込み、秋には紫苑S・秋華賞と連勝しました。
このように、後のオークスや中距離重賞での活躍を目指す牝馬にとって登竜門とも言えるレースです。

3歳牝馬の番組構成上、これまでは第一冠の桜花賞に向けて1600Mの距離までの重賞ばかりでしたが、ここからはオークスに向けて幅が広がります。短い距離では力を出せなかった馬達や、2歳時にはまだ完成度が低く、3歳春に急成長してきた馬たちが、ここでの開花を目指します。

同じ中山芝1800Mで行われたデイジー賞が基準となるか

フラワーカップは中距離重賞で活躍を目指す牝馬の登竜門のようなレースと書きましたが、裏を返せば、まだキャリアが浅く、素質が判明していない馬が多く出走するということでもあります。そんなメンバー構成で、どうやって各馬の能力比較をしたらいいのか判断に困ってしまいますが、今年の出走メンバーの基準になりそうなのが、前走同コースのデイジー賞(3歳牝馬限定戦1勝クラス)です。フラワーカップと同コースで行われたこのレースを振り返ることで、レースの展望を考察していきたいと思います。

2月26日 中山9R デイジー賞
3歳牝馬 1勝クラス 牝馬限定戦(9頭立て)

前半1000M 1分02秒5
上り4ハロン 47秒8
上り3ハロン 35秒7

レースはアースビートが逃げて、2番手にツインクルトーズが続きます。3番手以降が固まりつつ、後ろ2頭はばらける展開に。道中、大きな動きはなく前半1000Mは1分02秒5とスローとなりました。
その後もペースが上がらず、残り400Mから11秒5-12秒0と速くなっていき、いわゆる切れ比べのレースだったと言えます。

外を回ったエミューとゴールデンハインドの2頭の競り合いになり、最後はエミューが勝利を掴み取りました。全体的なタイムが遅いのでレースレベルに疑問符はつくものの、勝ったエミューと2着ゴールデンハインドのコース適性の高さは感じられたレースでした。

エミュー - 中山で2勝と好相性。1800Mが一番合う可能性あり?

今年のフラワーカップの出走メンバーには重賞での好走歴がある馬はいないので、2勝馬のエミューは実績上位と言えるでしょう。同コースを勝ったことで、フラワーカップでも注目を集めることになりそうです。

出遅れなかがらも外を回って差し切ったのはコース適性と能力の高さを証明したと言えます。
新馬・未勝利を勝ったばかりの馬と比べてキャリアを積んでいますので、安定度は高いでしょう。キャリアが少ない良血馬は重賞で不発も考えられますから、この馬は頼りになりそうです。

ただ、2走前がトラべログの勝った菜の花賞では0秒5差の8着と敗れています。
距離が短かったこともありますが、牝馬重賞で勝ち負けした馬とは少し差があるのかもしれません。

ゴールデンハインド - 持続的に脚を使うゴールドシップ産駒が、ここで輝くか。

デイジー賞で1番人気だったのはゴールドシップ産駒のゴールデンハインドでした。
道中は3番手の外目を進んで直線の入口で先頭に立とうとしましたが、勝ち馬との競り合いに屈してしまいました。ただ、道中かなりスローで切れ比べになってしまったのが向かなかったのは確か。そもそも前走は、陣営の作戦もあって控える競馬を試したようです。

同じコースである今回は、仮にスローになるなら逃げてペースを上げていき、スタミナを生かす形を選択するでしょうか。父のゴールドシップのようにスタミナを生かす形になれば、高いレベルでも戦えるのではないでしょうか。

パルクリチュード - 前走の悔しさを晴らしたい素質馬。

デイジー賞組の各馬も魅力的ですが、出走メンバーの中で一番の実績を持つのが前走リステッドの紅梅Sで4着だったパルクリチュードです。

父が米国血統のガンランナーなこともあってか、ダートでデビュー戦ちを収めていますが、2戦目が芝のリステッド競走・紅梅Sでした。道中は後方を進み、直線で外から伸びてきましたが、勝ったダルエスサラームと2着のバースクライに挟まれてしまう不利があり、4着という悔しい結果になりました。

勝ったダルエスサラームは次戦のチューリップ賞で6着だったので、その馬と際どい勝負になっていたかもしれないと考えるなら、ここでは力上位と言えます。関東への輸送や距離延長といった課題はありますが、実績と能力の高さは重賞でも通用すると言えますし、今回は前回の悔しさを晴らすという点で力の入る一戦になるでしょう。関西の秘密兵器が真価を発揮して強さを見せつけるかもしれません。

パルティキュリエ - 同日の1勝クラスより3秒速い、未勝利戦の勝ちタイム。素質の高さに注目!

デイジー賞の勝ちタイムがやや遅かったので、まだ見ぬ素質馬にも期待が集まります。
メンバーの中でその素質を期待されるのがパルティキュリエです。

新馬戦では2番手で進んだビヨンドザヴァレーを掴まえられず2着でしたが、この時勝ったビョンドザヴァレーは続く赤松賞(2歳1勝クラス牝馬限定戦)で2着ですから、相手が悪かったと言えます。赤松賞5着がデイジー賞3着のニシノコウフクですから、数字の上での能力比較ではデイジー賞組と互角以上に戦えると言えますし、パルティキュリエの2戦目の東京芝1600Mは同日同コースの赤松賞よりも3秒速い勝ちタイムでした。

今回は距離延長と中山コースへの対応が鍵になりますが、素質を発揮できれば好勝負可能なのではないでしょうか。

ココクレーター - 混戦時に頼りになるのはその鞍上。心強さのある継続騎乗。

まだキャリアが少ない3歳牝馬ですし、能力的にも混戦必至といえる一戦です。

レースでは騎手にかかる比重が重くなりますし、それが勝敗をわける可能性も大いにあります。
特に関東圏のレースでは、鞍上にルメール騎手を迎えた馬に注目せずにはいられません。

フラワーカップでルメール騎手が騎乗するのは、ココクレーターです。

ノーザンF生産で馬主がキャロットクラブ、木村厩舎のエピファネイア産駒となれば、この時点でかなりの期待馬とも言えます。その期待馬ですが、初戦はスタート後に接触する不利があって2着でしたが、2戦目は道中4番手の馬群の中を進み、残り200Mで外に出して抜け出すと一気に加速して2着に2馬身弱の差をつけて勝利をあげています。

この馬も距離延長と中山替わりが課題になりますが、ルメール騎手の腕込みで、この先まで期待できる馬なのではないでしょうか。

ドナウパール - 母は重賞勝ち馬ドナウブルー、伯母には名牝ジェンティルドンナの良血馬。

キャリアが少ない若馬では判断材料が少ないですが、『この馬はどんな馬かな?』と父母の血統をチェックする方も多いと思います。このレースに出走するドナウパールは父エピファネイアで母に京都牝馬S・関屋記念を勝った重賞2勝馬のドナウブルーという血統。さらに母の一つ下の妹には牝馬三冠などG1で7勝をあげたジェンティルドンナがいるという良血です。

初戦では4着でしたが、2戦目の小倉芝1800Mの未勝利戦では4コーナーで外に出して一気に伸びて勝利と、良い走りを見せました。1勝クラスの馬が中心となるこのレースでは、好勝負可能でしょう。

母のドナウブルーは平坦コースが得意の馬だったので直線の坂をこなせるかが課題になりますが、素質の高さと血統面から大いに期待したい一頭です。

まだキャリアが少ない3歳牝馬が集まるフラワーC。未勝利からこのレースに挑む馬もいます。

ただ、G1へのトライアルではないのですが、素質の高い馬が揃いましたし、オークスへと向けたレースになりそうです。

現3歳牝馬世代はリバティアイランドの一強ともいえる状態ですが、オークスで同馬に対抗できるような大物が出てくるかもしれません。実績馬VSキャリアの少ない良血馬・素質馬の対決に期待しましょう!

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