南関東・牝馬3歳クラシック路線について

南関牝馬

南関東牝馬三冠は桜花賞 (1955-)、東京プリンセス賞(1987-)、関東オークス (1965-)の3競走からなり、1987年東京プリンセス賞の創設によって成立しました。
創設当初から、春シーズンで三冠全てを戦い抜くという形式は変わっていません。
牡馬とは異なり、浦和・大井・川崎と、三冠全てが別のコースで実施されています。

牡馬と同じく最終戦は中央馬も出走可能なダートグレード競走となっていること、また、グランダムジャパンの創設により桜花賞・関東オークスが全国交流競走となっていることもあり、三冠達成はかなりのハードルと言えるでしょう。これまで南関東牝馬三冠を制したのは 2006年のチャームアスリープただ1頭となっています。
それでは南関牝馬クラシック路線を見てみたいと思います。

南関東牝馬クラシック路線

※開催日程は2016年度を参考にしています。

南関牝馬クラシックの前哨戦と言えるのがユングフラウ賞で、桃花賞 1.2着馬には優先出走権が与えられています。
南関牝馬三冠路線、特に桜花賞を目指す馬たちにとってユングフラウ賞は重要なレースだと言えます。
というのも、桜花賞が実施される浦和の小回りコースは器用さが要求されるコースであり、距離こそ違いますがその後に向けた良い経験になるのです。特にホッカイドウ競馬から転入した馬たちにとっては、ここが初の左回り経験になることもあろうかと思います。ただし、初とは言ってもホッカイドウ競馬で実績を残してきた馬たちはユングフラウ賞でも上位人気に推され、結果を出すことが多々見られます。

クラシック第一戦となる桜花賞 (1955-)は、ユングフラウ賞の上位3頭と桃花賞の1着馬に優先出走権が与えられています。桜花賞の舞台となる浦和1600mのスタート地点は3~4コーナーの間という独特のコース設定となっており、枠順の有利不利が非常に大きいとされているコースです。外枠の差し馬は外々を回ることになり、先行したい馬はかなり脚を使うことになります。
その意味でも内枠の先行馬はかなりのアドバンテージを得られ、桜花賞で外から差し届くこということはなかなか見られません。器用に立ち回ることが要求されるコースと言えるでしょう。で
すから、実力があっても枠順、展開に泣くケースも見られます。
桜花賞の主な勝ち馬にはロジータ、ショウリダバンザイ、ララベルなどがいます。また、グランダムジャパンに組み込まれていることもあり、2015年には兵庫のトーコーヴィーナスが2着に入っています。

二冠目となる東京プリンセス賞 (1987-)は桜花賞の1~3着 (南関東所属) に優先出走権が与えられています。ここでは桜花賞組が良い成績を残していますが、浦和1600mと大井1800mという大きなコースの違いからか、桜花賞の上位馬ががそのまま来るということはあまりありません。
前述のように浦和1600mで枠順、展開に泣いた実力馬がコース替わりで巻き返すというケースが見られますし、敢えて桜花賞をパスして牡馬路線からの参戦という形もあります。
また、ホッカイドウ競馬出身の実力馬も好成績を収めています。中位人気の好走馬も目立ちますので、桜花賞の敗戦で人気を落とした馬や桜花賞の好走で人気している馬をどう扱うかも注目ポイントではないでしょうか。
東京プリンセス賞の主な勝ち馬にはアスカリーブル、カイカヨソウ、リンダリンダなどがいます。

南関牝馬クラシックの最終戦、三冠目がダートグレード競走となる関東オークス (1965-)で、桜花賞の1着馬、東京プリンセス賞の 1.2着馬に優先出走権が与えられています。
こちらも牡馬路線のジャパンダートダービーと同じくJRA勢が圧倒しており、過去10年での地方馬勝利は2012年アスカリーブルの1勝にとどまっています。 中央馬が出走可能となった2000年まで遡っても勝利した地方馬はアスカリーブルの他に2005年のテンセイフジ、2006年のチャームアスリープの2頭のみとなっています。
また、2着までは上位人気が強いですが、3着であれば人気薄や地方所属が食い込める傾向となっています。
南関牝馬三冠の最終戦ではあるのですが、前週により賞金の高い東京ダービーが行われることもあり、有力牝馬は中央からの強豪を相手にするよりは……と、牡馬を相手にしても地方馬のみの東京ダービーへ出走するケースも見られます。
関東オークスの主な勝ち馬にはプリエミネンス、レマーズガール、トーセンジョウオー、ユキチャン、ラヴェリータ、ホワイトフーガなど、後の牝馬交流重賞で活躍した馬たちが多数見られます。

南関牝馬クラシックの注目ポイントとしては
  • ホッカイドウ競馬出身の実績馬に注目
  • 桜花賞はユングフラウ賞を見ないと始まらない
  • 桜花賞と東京プリンセス賞はなかなか直結しない

を挙げておきたいと思います。

写真:オガタKSN

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