[福島牝馬S]ステラリア、ビッグリボン、ストーリア…。今後の飛躍を誓う素質馬が集結した牝馬重賞。 - 重賞プレビュー

春の福島を彩る牝馬重賞を制するのはどの馬か?

22日(土曜)福島メインは、福島牝馬Sが行われます。
競馬人気の高い福島において、春開催の唯一の重賞である同レースですので現地の盛り上がりが期待できるレースです。残念ながらここ数年はヴィクトリアマイルにあまり直結していませんが、今後のことを考えて賞金を加算したい馬が集まりました。次走を見据えてというよりは、このレースで結果を出したい馬が揃ったレースですので、現地の雰囲気と相まって熱いレースが期待できるのではないでしょうか。

中山牝馬Sの第2ラウンドとも言える福島牝馬S。
レース回顧から、どのような展開になるかを推測する。

福島牝馬Sは同じ右回りの芝1800Mで行われることもあってか、前走で中山牝馬Sに出走していた馬が多く出走する傾向があります。まずは中山牝馬Sを振り返り、そこから福島牝馬Sの展開を推測していきます。

3月11日 中山牝馬S(良)

1着:スルーセブンシーズ 2着:ストーリア 3着:サトノセシル

勝ちタイム:1分46秒5 前半1000M:1分00秒1 上り4ハロン:46秒4 3ハロン:34秒5

ウインピクシスが逃げて前半1000M通過が1分00秒1とスローの流れ。
レースの中盤でクリノプレミアムが一気に位置を上げてペースが一旦上がったものの、その後は落ち着いて残り400Mからの切れ比べとなりました。

レース中盤からペースが上がり下がりしたので、長くいい脚を使った馬が浮上したレースに。
最後は、スルーセブンシーズが持続的に脚を使って差し切りました。

中山適性の高いスルーセブンシーズがコンビを組んで3戦3勝のルメール騎手を背に、勝ち切ったレースとなりました。

2着のストーリアは格上挑戦ではあったものの、横山武騎手の好騎乗もあってうまく立ち回った印象を受けます。52キロの軽ハンデもあって、地力以上に好走したのではないでしょうか。

5着のクリノプレミアムはレース中盤で動いていったこともあり、最後苦しくなって伸び切れませんでした。ややチグハグな競馬になってしまったと言えます。

6着のスライリーは中団で進めましたが、スローペースで馬が力んでしまって伸び切れなかったようです。8着のウインピクシスはスローペースで逃げていましたが、レース中盤でクリノプレミアムが捲るように位置を上げてきたので苦しい展開になった印象です。

開催最終週の福島の馬場を考える

春の福島は、今週が最終週。
3週間と短い開催でしたが、先週土曜が雨の中での開催だったので一気に馬場が悪くなりました。
日曜はやや重馬場での一日行われましたが、風が強い中での開催だったので、とにかく先行馬には厳しい一日でした。

16日の日曜福島では5つの芝のレースが行われましたが、追い込み馬が3勝に対し、逃げ切り1勝(1200M)と差し・追い込み馬が有利な馬場状態となりました。かなり時計のかかる馬場でもあったので、いわゆる外差し馬場の状態でしたが、開催最終週の今週はBコースに替わって内の悪い部分がある程度カバーされます。週中も雨があとは、馬場がどのくらい回復してくるか……というところでしょうか。

福島牝馬S 注目馬紹介

ビッグリボン - キセキの妹が、いよいよ牝馬戦線に参入! その大器ぶりを見せつけるか?

注目を集める1頭が、ビッグリボンです。

菊花賞を制したキセキの全妹という血統の5歳牝馬で、3歳時は忘れな草賞でステラリアの3着のあとは自己条件でじっくりと力をつけてきました。2勝クラスを勝ち上がった際はノースザワールドを、3勝クラスを勝ち上がった際はアナゴサンを撃破。この2頭はどちらも後に3勝クラスを勝っています。そんなハイレベルな戦いを経てOP入りを果たしました。

前走の関門橋Sでは3着に敗れていますが、勝ったディープモンスターは金鯱賞5着。同レースで4着だったバジオウも、次走の小倉大賞典で3着と健闘しています。

牡馬の重賞好走馬と好勝負する能力の高さを見せていると言えるビッグリボン。牝馬同士なら力が上位と言えます。初の重賞挑戦でも、いきなり勝ち負けできる馬と言って良いでしょう。

べストは1800M~2000Mかと思いますが、その大物ぶりからヴィクトリアマイルでも見たい1頭ではないでしょうか。

ステラリア - 戦ってきた相手が違う! 昨年のエリザベス女王杯2着の底力を見せつけたい。

メンバーの中でトップクラスの実績を誇るのがステラリアです。

21年の忘れな草賞を勝利して、同年のエリザベス女王杯では2着。
時計のかかる馬場でのスタミナと持続力では、牝馬トップクラスという存在になりました。
その後は牡馬混合の重賞に出走していたので結果が出ませんでしたが、前走の新潟大賞典は0秒3差の5着と復調気配を見せています。

今回は久々の牝馬限定重賞ですので、改めて力を見せる可能性は十分でしょう。
21年の忘れな草賞では今回も人気するであろうビッグリボンを負かして勝利していますので、力関係でも上位と言えます。あとは昨年5月以来、久々の実戦という面がどう出るか、というところでしょうか。

ホウオウエミューズ - 前回の小倉よりも良化した馬場なら、荒れた馬場でも上積みが見込める1頭。 

先週が雨の中での競馬だったので、かなり荒れていることが予想される福島の馬場。
開催最終週ということもあって「馬場の悪化に対応できるかどうか?:も大きなポイントではないでしょうか。

ただ、もっと馬場が悪かった小倉から比べると、福島の馬場はそこまでひどくありません。
小倉の馬場で苦労していた馬が福島の馬場で走りやすくなって好走するケースもあるのではないでしょうか。その条件に合いそうなのがホウオウエミューズです。

前走は小倉大賞典で5着でしたが、小倉大賞典は重馬場での開催。
直線では大外を回しましたが伸び切れませんでした。牡馬に対しての力負けではありましたが、久々を考えれば上出来だったのではないでしょうか。今回はそこまで相手が強くありませんし、馬場も前回よりは走りやすくなっているはずです。他馬が荒れ馬場に苦戦するなら相対的に上位と言えそうです。

ストーリア - 中山牝馬Sの勢いそのままに上位を狙う1頭。 

前走・中山牝馬S組が多いことから、今回の出走組で最先着を果たしたストーリアにも注目です。
上述の通り、52キロの軽ハンデもありましたが、うまい立ち回りを見せての2着と好走を果たしています。

今回は3キロ増になりますが、前走と同じだけ走れればここでも上位可能でしょう。
今回も横山武騎手とコンビを組める点も、非常に心強いと言えます。先週の皐月賞で素晴らしい騎乗で勝ち切った横山武騎手。今乗りに乗っているジョッキーの勢いを味方に、ここでも上位を狙います。

ジネストラ - 牡馬混合3勝クラスを制した実力派。

ビッグリボンもそうですが、牝馬限定重賞においては『牡馬混合のレースで走ってきた馬』と『牝馬限定戦で走って来た馬』との比較も面白味の人って。個人的な意見になりますが、『牡馬混合の3勝クラス勝ち』という実績は、牝馬限定G3でもいきなり通用する可能性があるものではないでしょうか。

そういう意味では、前走で牡馬混合の3勝クラスを勝ったジネストラにも注目です。

ジネストラは父ロードカナロアの5歳牝馬で、3歳時はアネモネS2着で桜花賞へ。その後は自己条件を使って地力を強化してきました。2走前の若潮Sでは後にダービー卿CTで3着のゾンニッヒとハナ差の2着。続く前走ではきっちりと勝ち上がりました。力関係だけなら牡馬のOPレベルでも戦えると言える馬です。牝馬同士なら重賞でも好勝負可能でしょう。

母のハッピーパスは藤沢厩舎で長らく牝馬重賞を戦ってきた馬です。その名前には懐かしさを覚えるファンも多いでしょう。京都牝馬Sを勝ち、阪神牝馬S、中山牝馬Sを2着という戦績のある母。この馬も古馬牝馬重賞で活躍できる下地はあると言えるのではないでしょうか。

クリノプレミアム - 中山牝馬Sで敗れた悔しさをバネに。

上述の通り、同じ右回りの芝1800Mという事で福島牝馬Sとの繋がりも深い中山牝馬S。同レースで力を出し切れなかった馬の巻き返しには注目すべきでしょう。

クリノプレミアムも、ここでの巻き返しを狙う1頭です。

前走は、向正面で捲るように位置を上げていったものの、さすがに直線で脚が残っておらず5着。本来はもっと後方から進んで直線で足を伸ばしてくるタイプなだけに、悔しい展開でした。結果論ですが、ちょっと動くのが早かったのでしょう。

今回は開催最終週で外差し馬場が濃厚なので、末脚が切れるこの馬が巻き返す可能性は十分です。年始の中山金杯2着を考えれば、牝馬同士では上位の実力を秘めていますし、昨年も2着だったようにコース実績もあります。上位を狙える馬として注目です。

ここが目標の馬は多いかもしれませんが、休養や大舞台を挟んだあとも、先々が楽しみになるような馬が集まった今年の福島牝馬S。

ウインピクシスが逃げてジネストラがついていき、それを見る形でビッグリボン・ストーリアが続いて、後方にクリノプレミアム・ホウオウエミューズが構えるような展開になるでしょうか。

そこからは馬場の影響や展開によってどうなるかは分かりませんが、直線では各馬が横に広がっての際どい勝負になる可能性もあるでしょう。

今後の牝馬戦線に大きく影響を与えそうなレースに注目しましょう!

写真:水面、かぼす

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