盛岡競馬場を舞台に行われる交流重賞の第2弾を飾る、短距離戦・クラスターカップ。
秋に行われるJBCにも直結する重要な前哨戦として位置づけられている一戦だ。

今年のクラスターカップは、一組の人馬に注目が集中した。
マテラスカイと武豊騎手である。世界をまたにかける、言わずと知れたダート界のスピードキングが盛岡競馬場に初登場ということで、ファンの目線を一身に浴びた。前走の北海道スプリントから中2か月、秋に行われるビッグレースを目標に、2年ぶりの勝利を得たいマテラスカイ。
人気はJRA勢が独占。やはり人気の中心はマテラスカイとなった。先行したい馬がJRA勢で揃った中、どの馬がペースを握るのか、そしてオープンクラスで勢いのある走りを見せてきたヒロシゲゴールドやトップウィナーの前で、どのようなレースを見せるのか──みちのくスプリント決戦の火ぶたが、切って落とされた。

レース概況

向こう正面から、レーススタート。
注目の先行争いで抜け出したのは、ヒロシゲゴールドだった。枠の利を活かして一気に先頭まで浮上する。続いて人気のマテラスカイが2番手につけ、その後ろにアユツリオヤジとトップウィナーと、JRA勢が前を独占した。

3コーナーを過ぎると先頭と2番手が後続を突き放し加減でペースを上げる。
この時点でヒロシゲゴールドとマテラスカイの一騎打ちとなった。
激しい追い比べで、2頭が火花を散らす。

左回りの直線、残り200mを過ぎても依然この2頭に迫る馬はいない。完全なるマッチレースとなる。内粘るヒロシゲゴールドか、外迫るマテラスカイか──。
迫力ある2頭の競り合いは、ゴール前でグイっと前に出たマテラスカイに軍配が上がった。

マテラスカイ2年ぶりの勝利の瞬間、場内は大きな拍手で包まれた。タイムは1200mにおける日本レコードでの決着となり、なんとマテラスカイはこれで2つ目の日本レコード保持となった。

各馬短評

1着 マテラスカイ (武豊 1人気)

直線の迫力ある競り合いを制して、久々の勝利となった。
道中は指定席のハナではなく2番手を追走。ヒロシゲゴールドを見る位置で競馬を進めた。

直線に入ると馬場の3分どころを伸び続け、ゴール前でヒロシゲゴールドを捕まえての1着。
レコードVが表すように、日本屈指のスピードキングはまだ衰えていない。
このコンビの、強い意思を感じさせる勝利だった。

2着 ヒロシゲゴールド (藤岡康太 3人気)

今回のレースを盛り上げた立役者は、間違いなくこの馬だろう。
1枠1番を活かして先頭に立つと、終始レースを引っ張った。

直線では最後にマテラスカイに差されたものの、終始粘り脚を披露した。中山でオープン特別を勝利して臨んだ一戦だったが、ここでよりパワーアップした姿をと見せつけた。

3着 ブルドッグボス (御神本訓史 4人気)

地方最先着は、昨年のスプリント王。
道中は8番手を追走し、3コーナーを過ぎてから進出を開始する競馬。

先頭と2番手には離されたものの、直線では鋭い伸びを見せた。
秋にJBCを控える南関の短距離エースは、いまだ健在のようだ。非常にレベルの高いパフォーマンスであった。

総評

マテラスカイの2年ぶりの勝利となったクラスターカップ。
場内からは大きな拍手が上がったように、現地にいた多くのファンがこのコンビの勝利を望んでいたのかもしれない。それだけ愛されるコンビということだろう。

今後のプランはBCスプリントとJBCスプリントとの両にらみということで、またマテラスカイが世界を相手に戦う雄姿を見られる可能性も浮上した。

今年の「みちのく韋駄天決戦」は、日本レコードが生まれるスピード決戦で幕を閉じた。

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