今年よりG2に格上げされたマイル重賞・富士ステークス。
格上げ初年度として、今年は様々な路線から12頭が東京競馬場のマイル戦に集った。
NHKマイルを制し3歳マイル王に輝いたラウダシオンをはじめ、クラシック戦線を盛り上げたワーケアやスマイルカナ、さらに古馬勢ではサトノアーサーやペルシアンナイトといったタイトルホルダーも参戦。
少頭数ながら好メンバーが揃った一戦、秋のマイル王につながるトライアルはどの馬に軍配が上がるだろうか。
レース概況
良馬場で行われたこのレース。
向こう正面でゲートオープン。
ポンと好スタートを切って予想取りスマイルカナが先行策を取った。
続いてシーズンズギフトがスマイルカナを追走。そして早めにラウダシオンが付け、有力どころではタイセイビジョン、ワーケア、ヴァンドギャルドが先行6番手辺りでレースを進める。
一方、サトノアーサーやケイアイノーテックは指定席の後方で脚を溜める作戦に。6枠2頭が少し後続を離す。
しかし後続は焦ることなく、直線に向いた。
長い直線の攻防は二段ロケット炸裂のスマイルカナが粘り込みを図る。
だが、残り300mでスマイルカナの脚が鈍るとみるや一気に後続が接近。馬場の真ん中からラウダシオン、ペルシアンナイト、ヴァンドギャルド辺りが猛追。残り200mで追い比べまでもつれ込むも差し脚のキレが段違いだったヴァンドギャルドがラウダシオンを交わして先頭に立つ。
ラウダシオンも一旦抵抗するも終始余裕のあったヴァンドギャルドが1着でゴールイン。
初重賞制覇を、圧巻のレースで飾った。
各馬短評
1着 ヴァンドギャルド (福永祐一騎手 4人気)
悲願の初重賞は圧巻の差し脚で手繰り寄せた。
道中は先団6番手辺りを追走して直線へ。
進路は馬場の真ん中を選択し、ラウダシオンと併せ馬の形で追い込んだがキレのある末脚を披露し楽々と先頭に立った。
この馬とも相性の良い福永騎手の手綱に導かれて駆け抜けたヴァンドギャルド。
タイトルを持って秋の仁川へ向かう。
2着 ラウダシオン (M.デムーロ騎手 3人気)
上位入着馬では、最も先行した同馬。
道中は逃げた2頭から少し離れた3番手でレースを進めた。
直線では楽な手応えで上がると進路を外に切り替えて追い込みへ。
1度は先頭に立ったものの、ヴァンドギャルドに差されての2着。
それでも3歳マイル王の真骨頂は見ることが出来た。今後の成長も含め、楽しみな1頭だ。
3着 ケイアイノーテック (津村明秀騎手 6人気)
猛然と追い込んだケイアイノーテックが3着に食い込んだ。
このレースも、この馬にとっては指定席である後方待機を選択。
直線一気に賭ける競馬で早めに先団にいたペルシアンナイトをゴール前で交わして3着入線を果たした。
G1制覇から2年。近走中々馬券圏内に入れそうでは入れないもどかしいレースが続いていたが、この馬自身のパフォーマンスはしっかりと上向いている。
総評
安田記念10着から巻き返したヴァンドギャルドが初重賞制覇を果たした。
鞍上の福永騎手は日曜の菊花賞と合わせて2日連続重賞制覇となった。
今後は阪神競馬場で行われるマイルチャンピオンシップに向かうと思われるが、今度はタイトルホルダーとしてG1に挑むこととなる。また他の入着馬も自身の持ち味は発揮できたことだろう。
このメンバーから「富士」のごとく高い頂点を極める馬は現れるのか──。
本番が非常に楽しみになるトライアルとなった。