高松宮記念のトライアル第1弾、阪急杯。
近年では、ロードカナロアやコパノリチャードが勝利したのち、高松宮記念を制している。
前年に引き続き、観客のいない競馬場での開催となった。
マイルのGI勝利の経験がある3頭など、17頭が出走。GIIIながら同日開催の中山記念(GII)よりも豪華と言えるほどのメンバーが揃った。
実績通りGI馬が3頭が「3強」を形成、人気の上位を占めた。
1番人気に推されたのは、レシステンシア。1年以上前の阪神ジュベナイルフィリーズ以降勝ち星から遠ざかっているが、桜花賞、NHKマイルカップとGIで連続2着というパフォーマンスを見せた。秋のマイルチャンピオンシップで古馬と初顔合わせとなり8着に敗れている。プラス24kgで臨んだ前走からさらに馬体を8kgプラスし、古馬としてターフに戻ってきた。
2番人気はダノンファンタジー、3年前の2歳女王である。同じ阪神1400メートルで行われた阪神カップを勝利し、重賞5勝目を挙げた。鞍上が再び川田将雅騎手になり、参戦。
3番人気は、インディチャンプ。一昨年には春秋マイルGIを制覇したが、昨年はマイラーズカップ1勝のみと物足りない内容であった。前年は中山記念で始動したが、一転してこちらに参戦。前走は1.5倍と断然の1番人気に推されながらも、敗れた阪神カップ。同じ舞台でダノンファンタジーとの再戦となった。
以下、大きく差が開きオッズは20倍、30倍台。デイリー杯2歳ステークス勝利のジャンダルムや、前年の覇者であり、それ以来の出走となるベストアクター。東京新聞杯5着から臨むトラインらが続いた。
その他、高松宮記念1位入線のクリノガウディー。メイケイダイハード、カツジ、ブラックムーンという重賞優勝馬も出走した。
レース概況
スタートが切られると、ダノンファンタジーとカツジ、ブラックムーンが後手を踏んだ。
内枠を活かして前に出たのはロードアクアであったが、レシステンシアが外からハナを奪取した。
逃げ馬の後ろには、ミッキーブリランテやジャンダルム、クリノガウディーが位置取り。以下、馬群は一塊であった。
インディチャンプ、出遅れたダノンファンタジーが中団にいて、最後方はぽつんとブラックムーン。
レシステンシアは、600メートルを34.0秒で通過する平均的なペースを刻む。第3コーナーに差し掛かり、徐々に後方勢が外に進路を求める。インディチャンプは外を選び、進路を早々と確保、ダノンファンタジーは馬群の中に。大外には、ベストアクターやメイショウキョウジがいた。一方先行勢は、レシステンシアを吸収し、好位からの抜け出しを図る。
先頭のレシステンシアは、コーナーで気合をつけて前進。それにジャンダルムが並びかけて直線コースに差し掛かった。
外に持ち出したインディチャンプや、ミッキーブリランテが徐々に脚を使って、前2頭に迫る。ダノンファンタジーは、進路を見出すことができずに伸びあぐね、大外を選んだベストアクターなどは後退してしまった。
残り200メートル付近、レシステンシアとジャンダルムに左ムチが入る。すると、レシステンシアがジャンダルムを一気に突き放して単独先頭となる。ミッキーブリランテが脚を伸ばしたものの、勝ち負けまでには持ち込めず。そのままレシステンシアが逃げ切って、重賞3勝目を挙げた。
差し切りを狙った3番人気、インディチャンプは、粘るジャンダルムと並びかけるので精いっぱい。先頭とは2馬身半の差が広がった。
各馬短評
1着 レシステンシア
ロードアクアからハナを奪い、道中は自身のペースを刻んだ。他を引き付けながら、最後の直線で突き放して危なげない勝利。阪神ジュベナイルフィリーズ以来、1年ぶりの勝利となった。
1分19秒2で走破し、コースレコードを更新。高松宮記念への優先出走権が与えられた。
もし仮に高松宮記念を見送り、マイルに進むにしてもその路線の有力馬の一頭であることに変わりない。
2着 ミッキーブリランテ
14番人気で制した前走のニューイヤーステークスに続いて、連続して上位に食い込んだ。前走勝利の実力は本物のようだ。
3歳時には、上位人気に推されることがしばしばあったが、4歳時の3勝クラスでは9番人気で勝利している。
4着 インディチャンプ
デビュー以来、日本国内で掲示板を外さない「安定感」を今回も披露した。レシステンシア有利の展開で、悲観する内容ではない。
13着 ブラックムーン
前週の小倉大賞典をテリトーリアルで制した西浦勝一厩舎の最後の重賞出走となった。
道中は常に最後方だったが、上がり3ハロンメンバー中最速の33.7秒で追い上げた。
レース総評
GI馬3頭が激突した前哨戦は、明け4歳馬の快勝に終わった。反対にその他2頭は、馬券圏外に沈み、波乱が生まれた。
芝1400メートルという非根幹距離での競走だったため、条件によっては次走で一変する可能性がある。好走・凡走かかわらず、今後の動向には要注目だ。