![[今週の注目馬]チェルヴィニア、5歳春の逆襲なるか。二冠牝馬がヴィクトリアマイルに出走](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/05/0O9A2568-scaled.jpg)
今週は、古馬牝馬のマイルGⅠ、ヴィクトリアマイル。前年の桜花賞&秋華賞の二冠馬とオークス馬の4度目の対決に多くのファンの注目が集まっている。オークスで桜花賞馬エンブロイダリーを倒したカムニャックは、秋華賞、阪神牝馬Sとエンブロイダリーに連敗。カムニャックが巻き返すか、エンブロイダリーの3連勝か。2頭の勝敗の行方は見どころの一つだ。
一方、5歳勢では、悲願のGⅠ制覇を目指すクイーンズウォークともう1頭、2年前の二冠馬チェルヴィニアがスタンバイしている。
チェルヴィニアは、2年前のこの時期、オークスでの強い勝ち方から、チェルヴィニア時代の到来かと囁かれた。夏を順調に過ごしたチェルヴィニアは、秋華賞も危なげなく抜け出して二冠馬となった。しかしそれ以降は、レース展開が嵌らず、勝利から遠ざかっているのが現状だ。

チェルヴィニアといえば、鋭い決め手、レースセンス、そして何より「勝ち切る気配」を直線で繰り出し、先行馬を捕まえるあの強さが思い浮かぶ。しかし競走馬の道のりは、いつだって真っすぐではない。5歳となった今、かつての輝きの眩しさを思うと、結果だけを見れば「勢いを失った」と言われても仕方がないのかもしれない。しかし、近走の戦績だけで彼女の力を判断したくない。
前走の中山記念で、久々にチェルヴィニアの姿をパドックで見た。周回する彼女の仕草、前を見つめる瞳には、まだまだ消えていない炎があった。バックストレッチで中団馬群の内に閉じ込められ、直線でも進路を探して右往左往。それでも坂を上ったところで前が開くと、鋭い末脚を繰り出して5着。しっかりと入着を果たした。上がり3F33秒7は2番目の速さ。ここからが、チェルヴィニアの“Re-start”だと思わずにはいられない、兆しが見えた。
■チェルヴィニアの本当の適正距離とは?
チェルヴィニアの蹄跡を辿ると、2400mのオークス、2000mの秋華賞を勝ち、マイルGⅠの桜花賞は13着、マイルチャンピオンシップ10着に敗れていることから、長い距離でこそのチェルヴィニアと思いがちである。しかし、母チェッキーノは3勝中2勝が1600mでの勝利、兄ノッキングポイントも新潟記念に勝ったものの、1600m~1800mで力を発揮する馬だった。
チェルヴィニアも府中のマイル戦での勝利(2024年アルテミスS)があり、阪神のマイル重賞しらさぎSでも2着に入っていることから、彼女の適正距離も1600m~1800mあたりにあるように思う。桜花賞はアルテミスS以来の久々のため、昨秋のマイルチャンピオンシップは調子が下降している時期の出走だと考えれば、中山記念で鋭い末脚を見せた今こそ、ヴィクトリアマイルの舞台で勝ち切ることは充分に考えられるはずだ。
■5歳春、静かに燃える「ラストイヤー」の覚悟
チェルヴィニアにとって、5歳を迎える今年の春シーズンは現役ラストシーズン。その言葉が、チェルヴィニアの周囲にも特別な緊張感と、静かな期待を生んでいるのではないだろうか。3歳時の勢いに負けないくらいに、今のチェルヴィニアには経験を重ねた強さがある。
苦しい時期を越えた馬が、再び花を咲かせる——。
そんな瞬間を、競馬ファンは何度も見てきた。チェルヴィニアにとって、ヴィクトリアマイルは、まさにその舞台だ。
東京マイルは、言い訳のきかないコース。実力、適性、そして気持ちの強さがすべて問われる。直線の長さは、かつての切れ味を呼び覚ますかもしれない。そして、これまで積み重ねてきた経験は、最後の一歩を押し出す力になる。

出走メンバーを見てみると、4歳勢は主力2頭の他、秋華賞2着のエリカエクスプレス、前走の小倉牝馬S勝ちでエフフォーリアの全妹ジョスラン、左回りのマイル重賞、中京記念を勝っているマピュースなどが参戦する。5歳勢では、クイーンズウォークの他、チェルヴィニアが新馬戦で対戦し敗れたボンドガールや府中の重賞で実績のあるラヴァンダなどがスタンバイ。豪華メンバーで見ごたえのある一戦になりそうである。
■チェルヴィニアにタイトルをもうひとつ!
「もう一花咲かせてほしい」
その願いは、決して夢物語ではない。
ヴィクトリアマイルの舞台である府中芝1600mは、「スピードの持続力」と「直線での再加速」が問われるコース形態である。チェルヴィニアは、府中競馬場での戦績5戦2勝2着1回(重賞2勝)と、高いパフォーマンスを示しており、広いコースでリズムよく運べる点は依然として強みといえる。さらに牝馬GⅠは、極端なハイペースになりにくく、位置取り次第で無理のない競馬ができる。チェルヴィニアがこれまで経験してきたGⅠ戦線での場数を考えれば、主力となるエンブロイダリー、カムニャックの4歳勢と比較して、大きなアドバンテージになるはずだ。

GⅠタイトルは、馬の生涯を彩る勲章である。チェルヴィニアにとって、今年はその勲章を積み上げる最後のチャンス。勝てば、3歳時の輝きが「過去」ではなく「軌跡」になり、これまでの苦しみが「伏線」に変わる。
そして何より——彼女自身が、まだまだ一線級でやれる存在だということを証明できる。
5歳春、チェルヴィニアの逆襲を信じて待ちたい。競馬は、復活のドラマを信じるスポーツである。チェルヴィニアが再び光を取り戻す瞬間を、私たちはまだ見ていないだけ。前週のNHKマイルCを制したD.レーン騎手を鞍上に迎え、彼女はきっと、もう一度「あの強さ」を見せてくれると信じている。
ラストイヤーの春。
どうか、チェルヴィニアにもう一度、花が咲きますように。
Photo by I.Natsume
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