![[POG26-27]最終世代だからこそ面白い - 今年デビューの産駒がラストクロップとなる種牡馬たち](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/05/202605103-1.jpeg)
2歳新馬戦の開催される時期になると、新種牡馬たちの話題と同時に、今年が最後の世代となる産駒を送り込む父親たち、いわば「ラストクロップ」への注目も必然的に集まって行く。本記事では、そんな彼らへ焦点を当てて、2026-27年シーズンのPOGをもって最後の登場となる種牡馬と、彼らの産駒たちを取り上げる。
■ ダイワメジャー
現役時代は皐月賞を制した後、喉鳴りに悩まされ1度は戦線を離脱。だが、復帰後は着実に成績を戻していき、競走生活の晩年は天皇賞(秋)とマイルCSを勝利し、マイルから中距離の王者に輝いた。マイルCSで見せた同世代の桜花賞馬ダンスインザムードとの叩き合いや、引退レースとなった有馬記念でダイワスカーレットと演じた兄妹対決を覚えている方も多いだろう。

種牡馬入りした後も、初年度産駒からいきなりNHKマイルC覇者カレンブラックヒルを輩出。翌年もアーリントンCを勝利したコパノリチャードを出し、その3年後には阪神JF・NHKマイルCとPOG期間内にGⅠを2勝したメジャーエンブレムが出てくるなど、とにかく早い段階からマイル路線で活躍する馬が多かった。
種牡馬生活の終盤も、アドマイヤマーズやレシステンシア、アスコリピチェーノと2歳GⅠのタイトルを手にする馬を数多く送り出しており、POGファンの中には彼の産駒にお世話になったという方も多いのではないだろうか。
そんなダイワメジャーは、今年の1月20日に逝去。報道では死因は老衰と報じられていることからも、寿命を全うしたと思われる。2023年の種付けを最後に種牡馬は引退したため、今年デビューを控えている4頭がラストクロップとなる。
なかでも注目はヤマニンマリキータ(母ヤマニンプードレ・牝・厩舎未定)。兄にはセントライト記念で2着となり、今年のネオムターフCでは海外の強豪を相手に5着と健闘したヤマニンブークリエがいる。彼は重賞タイトルこそまだ手にしてはいないが、2歳時からミュージアムマイルやクロワデュノールといった世代トップクラスのライバルを相手に走っており、デビュー勝ちも収めた仕上がりの早い馬。春のクラシックにこそ間に合わなかったが、2歳時にはGⅠにも出走している。
一方で5つ上の兄、ヤマニンループは使われて着実にクラスを上げてきた、いわばのびしろがたっぷりある馬であるが、先行して長く良い脚を使うブークリエに対し、ループは一瞬のキレで勝負をするタイプと、レースでのスタイルは全く違う。前者の父はキタサンブラックで、後者はディープインパクトというのを踏まえてこれを考えると、もしかすると母は父の長所をふんだんなく伝える繁殖なのかもしれない。
そんなヤマニンマリキータについては、ダイワメジャー同様、マイル近辺での活躍に期待するファンも多いだろう。父が晩年に遺した産駒は、セリフォスやアスコリピチェーノのようにビュンと切れる脚を使う馬も多いため、後方から一気の脚で追い込んでくる競馬が主となるのだろうか。兄2頭のデビューはどちらも2歳秋。彼女も順調ならそのくらいのデビューとなりそうで、クラシックを見据えて楽しむことが出来そうだ。
■ アドマイヤムーン
3歳時、期待されながらもクラシックでは惜敗に終わったアドマイヤムーンだが、古馬になって覚醒。3月に遠征したドバイデューティーフリーを制してGⅠ初制覇を挙げると、香港の3着を挟んで帰国初戦の宝塚記念を制し、秋にはジャパンCも勝利してこの年の年度代表馬に輝いた。

引退後はダーレー・ジャパン・スタリオンにスタッドインし、いきなり初年度から函館2歳Sを制したファインチョイスや、京王杯2歳Sで類まれなる瞬発力を見せて勝ち切ったレオアクティブという2頭の重賞ウィナーを輩出。それ以降はPOGシーズン内に重賞勝ち馬を送り出すことはなく、どちらかというと古馬になってから徐々に頭角を現してくる馬たちが多かった。
また、路線的にはハクサンムーンやセイウンコウセイ、ファインニードルのように短距離を得意とする馬が多い。アドマイヤムーンの祖父であるエンドスウィープも産駒の多くはスプリントからマイル路線で活躍していたことを考えると、彼の血が強く作用したのだろうか。

アドマイヤムーンは2023年をもって種牡馬生活に幕を引いたため、今年、血統登録された2頭が最後の産駒となる。1頭目がプラディーパ(母アブマーシュ・牝・厩舎未定)。近親やきょうだいを含め、地方でのデビューが多い一族である。
しかし兄のデフィデリは福島の芝1200mで勝利を挙げており、地方に移籍してからは盛岡の1000mや水沢の1300mを中心に好走。やはり、アドマイヤムーンは短距離型の血なのだろうか。中央でデビューするかはわからないが、きょうだいはすべて中央・地方問わずに遅くとも夏にはデビューしているため仕上がりはかなり早そう。初出走の舞台に短距離戦を選んできたら注目だ。
もう1頭が母メジロカトリーヌ(牝・厩舎未定)。母の父メジロライアン、母の母はメジロダーリングと「メジロ」の血を持つ馬だ。「アドマイヤ」と「メジロ」の組み合わせと言えば、ここ最近では父にアドマイヤマーズを持ち、母の父にメジロベイリーがいるディヴァインスターが中距離戦線で活躍している。マイルGⅠの覇者である2頭の名前が目立つが、ディヴァインスターの母系にはステイヤー、メジロマックイーンの血も見られる。偉大なステイヤーの血が、血統表の奥から影響を及ぼしたのかもしれない。
一方、母メジロカトリーヌも、兄にはダートの中距離でOPクラスまで昇級したピカピカサンダー(父アジアエクスプレス)がいる。
さらにメジロライアンもメジロマックイーンとは同世代で鎬を削ったステイヤーであることから、これがうまく作用すれば兄と同じように中距離あたりで活躍を見込めそうだ。しかし、父が短距離馬を多く出してきたアドマイヤムーンというのが、この血統にひとひねりを加えそう。ピカピカサンダーとは全く違うタイプの競走馬に仕上がる可能性もあり、そういった意味では未知の魅力を秘めているとも考えられる、面白い1頭ではないだろうか。出走のたびに適性を探りながら指名馬の成長を見届けていくのも、POGの楽しみ方のひとつである。
■ ディスクリートキャット
現役時代は主に米国のダートマイル路線で活躍し、3歳時には日本のフラムドパシオンやのちの世界ナンバーワンホースに輝くインヴァソールを破ってUAEダービーを制したディスクリートキャット。米国で2008年から種牡馬生活をスタートさせ、日本にも初年度から根岸Sを勝利したエアハリファなどを送り込んでいた。
日本への輸入が決まったのは2017年。2世代目で京王杯2歳S、アーリントンCを制し、NHKマイルCでも3着と好走したオオバンブルマイを輩出した。

これだけでPOGで指名した人にとってはかなりの好成績だが、期間が終了した秋、同馬は豪州のゴールデンイーグルを勝利。日本中の競馬ファンがその活躍を称賛した1頭となった。
そんなディスクリートキャットは2023年の5月にこの世を去ったため、今年デビューの馬達が最終世代。30頭が血統登録されている。
産駒は基本的に父も活躍したダートが主戦場。3歳春までの勝利数を見ても、芝が23なのに対しダートは70とかなり偏っている。しかし、2歳時点の芝での勝利数は半分以上である15。さらにまだ芝の番組編成が多い6月から8月にかけて勝ち星を挙げている馬たちも多く、小倉2歳Sを制したエイシンワンドや前述のオオバンブルマイのように重賞勝ち馬も出しているため、早い時期からの活躍を見込むならピックアップするのもアリと言える。
ちなみに2歳重賞を制した2頭の母の父を見比べてみると、エイシンワンドはタイキシャトルでオオバンブルマイはディープインパクト。両者の共通点は現役時代、芝を主戦場にし、スピードに勝ったHalo系の種牡馬ということが見えてくる。
今年、ここに焦点を当てると、アグネスタキオンの血を持つレッドネビュラ(母レッドクラウディア・牡・四位師)が該当する。姉のルージュイストリアは、ダートでも活躍馬を多く出しているドレフォンを父に持ちながら、芝のマイル付近で2勝を挙げている。
さらにレッドネビュラの母の父であるアグネスタキオンは、種牡馬時代は芝で活躍する馬を多く送り出したうえ、ブルードメアサイアーとしてもノンコノユメ、ニシノデイジーにダブルシャープと、血を継ぐ馬たちが活躍したカテゴリーは万能。それを考えるなら、レッドネビュラも芝、ダートどちらもこなせても全くおかしくない。
一方、産駒の勝利数が多いダート路線を選択しそうな馬をセレクトするなら、コンセントリコ(母セントリフュージ・牡・中内田師)が面白い。同馬は2025年の全日本2歳優駿を制したパイロマンサーの半弟にあたるため、兄同様、やはりダートを...と考える人も多いかもしれない。順調であれば兵庫ジュニアグランプリや、パイロマンサーに続くきょうだいでの連覇を狙う全日本2歳優駿に駒を進めそうだ。
だがしかし、母の兄には2019年の小倉2歳Sで2着に好走し、その後も芝の短距離からマイル路線で活躍したトリプルエースがいるという血統背景も考えるのなら、コンセントリコも中京2歳Sや京王杯2歳Sといった芝の舞台でスピードを披露する機会が訪れるかもしれない。
■ バゴ
2004年、日本からはタップダンスシチーが挑戦した際の凱旋門賞を制したバゴ。欧州では14戦して1度も3着以内を外さなかった安定感を誇る。翌2005年にはジャパンカップにも来日(8着)し、同レースをもって引退。そのまま日本で種牡馬入りした。
初年度からいきなりフラワーCを勝ち、桜花賞でも2着と好走したオウケンサクラを輩出。POGファンを喜ばせた。かと思えば菊花賞をビッグウィークが勝利。シーズンの集計期間が終了した後の勝利ではあるが、初年度からいきなりGⅠウィナーを送り出したということは、翌年以降のセレクトに大きな影響を与える結果だったことは間違いないだろう。

以降も2013年の函館2歳Sを制したクリスマスや、2015年にファルコンSを勝利したタガノアザガル、2017年の京成杯勝ち馬コマノインパルスと、期間内の重賞ウィナーを送り出している。さらに近年でもサウジアラビアRCを制したステラヴェローチェや、新潟2歳Sを勝利したトータルクラリティと活躍馬は多数。GⅠ4勝の名牝クロノジェネシスも、POGシーズン中にクイーンCを制し、牝馬クラシックの有力候補として駒を進めた。

そんなバゴも、2024年10月26日をもって種牡馬を引退。同年も種付けは行われたが、誕生した産駒はゼロのため、今年のデビュー馬がラストクロップ。血統登録数は6頭と少ないが、優秀な種牡馬なだけに原石が眠っている可能性はある。
過去10年、POG期間内では産駒が47勝。最も多いのは1400m~1600mの17勝だが、次点の1700~2000mは16勝と差がない。これらを足すと33勝で、過半数以上の勝利をこの2つのカテゴリで挙げていることが分かる。クラシックに通ずる産駒を多く送り出しているのも納得だ。
バゴの代表産駒と言えるクロノジェネシスの血統構成は母の父がクロフネ、母系にサンデーサイレンスの血が入っている。そんな彼女と同じような背景を持つのがヒドラテソーロ(母ナーシサステソーロ・牡・奥平)。母の父はクロノジェネシスと同じで、祖母の父アグネスタキオンはサンデーサイレンスの血を内包する。
母はダートの中距離で2勝を挙げているが、クロノジェネシスの母であるクロノロジストも現役時代の初勝利はダートだった。似た血を持つ馬同士の活躍は、キタサンブラックとカムニャックが記憶に新しい。最終世代からまた、バゴの血を継ぐ名馬が誕生するとしたらそれもロマンだろう。
同じようにクロフネの血を持つピーヴイビクトリア(母ミッキーマンドリン・牝・(道)川島)は道営・門別でのデビューを予定。近親に報知杯4歳牝馬特別など重賞4勝を挙げたフサイチエアデールや天皇賞(春)で2着となったビザンチンドリームがいる血統馬だけに、門別でどこまでの活躍を見せてくれるかが楽しみだ。
写真:Horse Memorys、s1nihs、ぼん(@Jordan_Jorvon)、水面
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