10月下旬に入り、2020年産駒達の新馬戦も160戦を超えました。
今回も先週開催された新馬戦で、世代全体のうち3割前後しか勝ち上がることができない狭き門を突破した2歳馬達を紹介していきたいと思います。
2022年10月22日(土)
阪神3R ダ1800 晴・良 10頭
バリアントバイオ
牡馬
トーセンジョーダン×エスカレートバイオ
母の父:アルデバラン2
所属:栗東)今野貞一厩舎
生産:中館牧場
鞍上:和田竜二騎手
512㎏ 7番人気 1枠1番
この週最初の新馬戦は、種牡馬トーセンジョーダン、オーナーのバイオ株式会社、今野厩舎、中館牧場にとっての今年の新馬戦初勝利で幕を開けました。
1枠1番からのスタートとなったバリアントバイオですが、ゲートの出は今一つ。
後方からレースを進めます。
直線に入っても6番手辺りにいましたが、内から外に出されて進路を確保すると左ムチが入り、ここから伸びます。
このレース唯一となったあがり37秒台の末脚を見せ、2着マテンロウイーグルにつけた着差は8馬身。
見事でしたね。
勝ち時計は1分55秒8。
5月生まれと遅生まれの牡馬で、鞍上和田騎手も長い目で見てほしい馬との評価。
口向きが改善されれば上のクラスでも勝負できるとも語っており、ここからの成長に注目の1頭です。
阪神4R 芝1400 晴・良 18頭
サザーランド
牝馬
ダイワメジャー×ターキー
母の父:Sinndar
所属:栗東)小林真也厩舎
生産:下河辺牧場
鞍上:北村友一騎手
432㎏ 3番人気 3枠5番
2022年小倉記念勝ち馬マリアエレーナの半妹サンポーニャが1番人気に推されたレースになりましたが、勝ち星を挙げたのは先週東京ハイJのゼノヴァースで厩舎初の重賞勝利を挙げ勢いに乗る小林厩舎のダイワメジャー産駒でした。
好スタートを切ったサザーランドは二の脚もスムーズについて先頭へ。
逃げの体勢に入ります。
3-4コーナー辺りで後続が差を詰めてきますが、焦らずレースを進めたサザーランドは残り200mでグッと一伸び、このリードを最後まで守り切って先頭のままゴールとなりました。
勝ち時計は1分21秒9。
この世代生産者としては既に2頭の重賞馬を出している下河辺牧場ですが、オーナーとしては嬉しい今年の新馬戦初勝利となりました。
阪神5R 芝1600 晴・良 10頭
シングザットソング
牝馬
ドゥラメンテ×ザガールインザットソング
母の父:My Golden Song
所属:栗東)高野友和厩舎
生産:白老ファーム
鞍上:吉田隼人騎手
432㎏ 1番人気 8枠9番
外枠からスタートを切ったシングザットソングは、先行集団の後ろにつけて8番手でレースを進めます。
ほぼ変わらないポジションのまま直線に入るとここから力強く加速していき、最後は2番人気セーヌドゥレーヴとの一騎打ちをクビ差で制し1番人気に応えました。
3着には3番人気、2022年日経新春杯勝ち馬ヨーホーレイクの半妹アラメダが入っています。
勝ち時計は1分37秒6。
吉田隼人騎手もセンスが良く切れる馬、武器を大事にしていきたいと高評価。
これから更なる活躍が楽しみな1頭ですね。
東京5R 芝2000 曇・良 11頭
シリアルノヴェル
牡馬
ノヴェリスト×ダイワレジェンド
母の父:キングカメハメハ
所属:美浦)伊藤圭三厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:横山武史騎手
472㎏ 10番人気 3枠3番
G1 2勝を含む重賞3勝馬メジャーエンブレムの全妹エンパイアブーケが1番人気、2022年フェアリーS勝ち馬ライラックの半弟ディアマンテブルーが2番人気、2017年東京新聞杯勝ち馬ブラックスピネルの半妹ガールズレジェンドが3番人気と重賞馬の下が順当に人気を集めた新馬戦になりましたが、勝ち星を挙げたのは10番人気になっていたダイワスカーレットの孫でした。
先頭集団5頭から少し離れた位置でレースを進めたシリアルノヴェルは、3-4コーナーを回りながら少しずつ前との差を詰めていき直線へ。
外に進路をとり残り400m付近で完全に先頭集団を捉えると、そこからもしっかりと脚を伸ばして2着馬ルヴェルリドーに1と1/4馬身差をつけました。
勝ち時計2分00秒9は東京芝2000の2歳新馬戦史上最速だったようですが、フラフラするところがあり完成にはまだ時間がかかりそうとのこと。
完成したらどんな走りを見せてくれるのか、今後の成長とレースぶりに注目です。
東京6R ダ1600 曇・良 16頭
ジャスリー
牡馬
ルーラーシップ×オールドパサデナ
母の父:Empire Maker
所属:美浦)田島俊明厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:戸崎圭太騎手
518㎏ 3番人気 8枠15番
重賞勝ちこそなかったものの中長距離の重賞で活躍したトーセンバジルの半弟ダグフォースが人気を集めました東京6レース。
3番人気に推されたジャスリーは外枠から好スタートを切りますが積極的に前には行かず、後方からレースを進めます。
直線に入った時点で10番手。
外目を回り進路を確保できていたジャスリーはここから抜群の末脚を披露し、次々と先行勢を追い抜いていきます。
残り200を切り、前に唯一残っていたレディエンフェイスを競り落とすと、最後は追い込んできたロードストレーザを1馬身抑えて先頭でゴール。
見事新馬勝ちを決めました。
勝ち時計は1分40秒4。
越村洋子オーナー、田島厩舎にとっては嬉しい今年の新馬戦初勝利となりました。
2022年10月23日(日)
東京3R ダ1400 晴・良 16頭
キョウエイブリッサ
牡馬
グレーターロンドン×キョウエイポズナン
母の父:ルーラーシップ
所属:美浦)武市康男厩舎
生産:山口義彦
鞍上:酒井学騎手
462㎏ 6番人気 5枠9番
この世代の産駒が初年度産駒となるグレーターロンドンの仔から、ロードプレイヤー、既に2歳重賞を勝っているロンドンプランに続いて3頭目の新馬勝ちです。
ゲートの出かたはまずまずだったキョウエイブリッサですが、二の脚はしっかりついて置いていかれることなく先団についていきます。
直線に入ると映像で見ていてもはっきりわかるくらい綺麗に空いたスペースから外に持ち出され、ここからジワジワと進出を開始。
上がり最速となった末脚で最後までしっかりと伸びて、2着馬ハヤブサジェットに2馬身差をつけゴールしました。
勝ち時計は1分26秒6。
マイルまでは持ちそうで、次走は芝を試してみる方針とのこと。
条件がガラッと変わりますがどのような走りを見せてくれるのか楽しみですね。
東京4R 芝1400 晴・良 17頭
フォーカルフラワー
牝馬
ロードカナロア×ソラリア
母の父:Scat Daddy
所属:美浦)国枝栄厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:津村明秀騎手
426㎏ 2番人気 6枠12番
重賞勝ちこそなかったものの通算4億円以上を稼いだ名牝カレンブーケドールの半妹が堂々デビュー勝ちを決めました。
好スタートを切ったフォーカルフラワー、無理して押していくことはせず4-5番手で折り合いレースに入っていきます。
外目を通りながら最終コーナーを回り、直線に入ったところで先頭までは2-3馬身。そこから力強く脚を伸ばしていき、残り200m付近で先頭に立つと2着馬コンスピキュアスの追い上げをクビ差で退け、5着馬までがタイム差0.3秒におさまる接戦を制しました。
勝ち時計は1分24秒8。
半姉カレンブーケドールの全17走中8走で手綱を握った津村騎手は、姉とは違うタイプだが着差以上に余裕があった、センスが良いがまだ子どもっぽく成長の余地があると高評価。
国枝調教師もマイル辺りまでこなしてくれればと期待を寄せている様子で、今後のレース選択とそこでの走りに注目です。
阪神4R ダ1200 晴・良 15頭
タカネノハナコサン
牝馬
カレンブラックヒル×ジャムトウショウ
母の父:デザートキング
所属:栗東)飯田雄三厩舎
生産:つつみ牧場
鞍上:岩田望来騎手
482㎏ 2番人気 2枠2番
2021年北海道サマーセールで550万で落札された牝馬が、デビュー戦でその額を回収する快勝です。
2番人気に推され内枠からのスタートとなったタカネノハナコサンは、ゲートをポンと出ると二の脚もしっかりついてスムーズに先頭に立ちます。
道中は外からジャスパーロイヤルにマークされながらも落ち着いてレースを進め、余裕を持って直線へ。
追い付かれるどころかどんどん差を広げていき、2着スマートハンターに5馬身差をつける逃げ切り勝ちとなりました。
勝ち時計は1分12秒8。
三宅勝俊オーナーと、生産の つつみ牧場にとって今年の新馬戦嬉しい初勝利となりました。
新潟5R ダ1800 雨・稍重 15頭
バンブーグローブ
牡馬
ホッコータルマエ×ゴールドフォレスト
母の父:ゴールドアリュール
所属:美浦)斎藤誠厩舎
生産:藤本ファーム
鞍上:斎藤新騎手
490㎏ 3番人気 5枠9番
林正道オーナー、藤本ファーム、そして斎藤誠調教師・新騎手の親子コンビにとっての今年の新馬戦初勝利です。
好スタートを切ったバンブーグローブは、序盤から積極的に押されて行き3-4番手にポジションをとります。
このまま勝負所まで好位を保つかと思われましたが、3コーナー付近で早くも前を交わして先頭に。
直線に入ると1番人気スペシャリストが追い込んできましたがこれをアタマ差で抑え、見事新馬勝ちを決めました。
勝ち時計は1分56秒9。
まだ緩さも不器用さも残る中での勝利だったとのことで、これからますますの成長が楽しみです。
東京5R 芝1800 晴・良 13頭
ガストリック
牡馬
ジャスタウェイ×エーシンエポナ
母の父:Curlin
所属:美浦)上原博之厩舎
生産:栄進牧場
鞍上:永野猛蔵騎手
516㎏ 4番人気 1枠1番
2021年セレクトセールで1億6500万円の値が付きましたサトノダイヤモンド産駒カズボニファシオが1番人気に推された新馬戦。
セレクションセールで1760万円で取引され、フランス料理の隠し味の名を付けられたジャスタウェイ産駒が存在感を示しました。
最内からスタートとなったガストリック、ゲートの出も行き脚も早い方ではなく最後方からレースに入っていきます。
最終コーナー大外を回し、直線に向いた時点ではまだ最下位でしたが、残り400mが近付いた辺りでエンジンがかかります。
一気に加速していったガストリックはここから200mの間に10頭を抜き去り3番手へ。
その後も脚は鈍らず、2着ダニーデンに1馬身半差をつける豪快な差し切り勝ちでした。
勝ち時計は1分49秒8。
生産の栄進牧場と上原厩舎は嬉しい今年の新馬戦初勝利となりました。
阪神5R 芝1800 晴・良 11頭
ドクタードリトル
牡馬
デクラレーションオブウォー×ブルックデイル
母の父:キングカメハメハ
所属:栗東)今野貞一厩舎
生産:社台ファーム
鞍上:松山弘平騎手
464㎏ 6番人気 6枠7番
この世代が初年度産駒ながら既に2歳オープン競走で連対する産駒も出ているデクラレーションオブウォー産駒から、今年2頭目の新馬戦勝ち馬誕生です。
まずまずのスタートでしたが先行争いには参加せず、後方3-4番手からレースに入りましたドクタードリトル。
途中後方2番手までポジションを下げますが、最終コーナーをラチ沿いに回りそこから動きました。
直線に入るとラチの切れ目を通って一気に3-4番手まで進出。先頭を射程圏に捉えます。
残り200mでグッと加速して前にいたホウオウスーペリアを交わすと完全に抜け出し、2着エルトンバローズに2馬身差をつける完勝となりました。
勝ち時計は1分48秒3。生産の社台ファームはこれで今週の新馬戦4勝の固め打ち。
次走は未定とのことですが、操縦性の高さと切れ味を武器に今後の活躍にも期待の1頭です。
以上、今週のメイクデビュー勝ち馬11頭を見ていきました。
この仔達がこれからどのような成長を見せてくれるのか、今週末の新馬戦ではどんな仔達がデビューしてくるのか、週末を楽しみに待ちたいと思います。