「ダート界の賢者」チュウワウィザードの冒険

26戦11勝2着6回3着6回、走って馬券外に敗れたレースはわずかに3戦──。

チュウワウィザードを語る上で「堅実さ」というワードは欠かせない。

今回は、JBCクラシック、川崎記念2勝、そしてチャンピオンズカップとGⅠ級競走4勝。さらにドバイワールドカップでも2着、3着に入り、世界の強豪が相手でも戦える強さを示した名馬・チュウワウィザードの活躍を振り返りたい。

ダートの名血、3歳デビューから4歳初重賞まで。

チュウワウィザードは父キングカメハメハ、母チュウワブロッサムの間に産まれた綺麗な青鹿毛の馬である。

母母のオータムブリーズは優秀な牝系で、この母系から出ているクールフォルテ(南関牝馬クラシック好走)、ルヴァンスレーヴ(ダートG1級競走4勝)、アイアンテーラー(交流G3クイーン賞勝利)が地方、中央の重賞で活躍。特にチュウワウィザードとルヴァンスレーヴの2頭がこの血統の優秀さを証明したと言って良いだろう。

チュウワウィザードは3歳2月の新馬戦を岩田康誠騎手とのコンビで勝ち上がると、夏には川田将雅騎手、戸崎圭太騎手とのコンビで順調に準オープンまで勝ち上がる。なお、チュウワウィザードが現役で走った26レースのうち、半分の13戦は川田騎手。都合により乗れないタイミングでは、戸崎騎手が7戦鞍上を務めた。

オープンクラスに上がったチュウワウィザードは、2018年の名古屋グランプリで川田騎手を背に初重賞に挑戦。現在は弥冨の新名古屋競馬場2100m戦に変わっているが、当時はダート2500mでの開催だった。そんな持久力が問われるレースで、マーチS勝ち馬センチュリオン、マーキュリーC連覇のミツバ、そして同世代の重賞2勝馬グリム、地元名古屋で敵なしの東海二冠馬カツゲキキトキトが立ちはだかる。

しかし、チュウワウィザードの走りは文字通り「盤石」であった。隣枠で好発進を決めたグリムが逃げると、その真後ろに入り徹底マーク、1周目の3コーナーでミツバが外から仕掛けたタイミングで惑わされることなく、淡々と2-3番手ポジションを守る。
そして2周目3コーナー、ミツバがグリムに競りかけたところで川田騎手がスパート。直線に向くまで前の2頭が止まらないと見るや、その外に進路を切り替えて、残り100mで前の2頭を差し切った。

ミツバは次戦、和田竜二騎手と共に川崎記念を制覇、3着のグリムもこの後にGⅢ級を3勝する活躍を見せたことを鑑みれば、重賞初挑戦で一発回答を出したレースと言えるだろう。

翌年は東海Sから始動し、後にフェブラリーSを制するインティに食らいつく2着に好走すると、続くダイオライト記念でGⅠ級勝ち馬のアポロケンタッキー、オールブラッシュ、サウンドトゥルー、ツバらを相手に4馬身差の快勝。

名古屋グランプリ以降の重賞3戦では好発進から逃げ馬の後ろを狙い、後続が仕掛けてきても川田騎手の指示を待って、ゴーサインが出たら一気に動くという、この馬の「賢さ」を活かしたレーススタイルを確立した。

そしてGⅡ級競走を2勝して挑んだJRAの重賞・平安S。そこには同世代のライバルが待ち構えていた。

VSオメガパフューム、ライバルとの名勝負数え歌

チュウワウィザードを語る上で欠かせない要素、それは同世代のライバル・オメガパフュームの存在である。
ダート中距離路線で覇を競い合った2頭は、2019年の平安S~ラストランの2022年帝王賞まで9度対戦した。ここではオメガパフュームとの勝負を中心に、時系列順に振り返る。

■2019年平安S(GⅢ) 先着:チュウワウィザード

2頭の初対決は、2019年の平安Sだった。

スタート直後から田辺騎手が相棒のサンライズソアを押して逃げを打つと、先行馬たちが追いかけてコーナーへ。これまで先行策を選択していたチュウワウィザードはあえて追いかけることはせず、末脚を溜めるレースを選択。オメガパフュームが更に3馬身ほど後方で向こう正面へ。

先にコーナーで捲りを仕掛けた武豊騎手とハイランドピークの後ろにオメガパフュームが続き、チュウワウィザードはオメガパフュームを目標に定めて直線で大外に持ち出す。

逃げたサンライズソアも先行馬たちを寄せ付けずに粘り込みをはかるが、オメガパフューム、チュウワウィザード、モズアトラクションの3頭が後方から馬群をまとめて交わし、ゴール前の接戦をわずかにハナ差チュウワウィザードが制した。

オメガパフュームは既に3歳暮れに東京大賞典を制していたため、チュウワウィザードと1kgの斤量差があり、その分伸び負けて3着、2頭の戦いはここから4年にわたり続くことになる。

■2019年帝王賞(JpnⅠ)先着:オメガパフューム

チュウワウィザードは川田騎手、オメガパフュームはD.レーン騎手とのコンビで参戦した夏のダートグランプリ帝王賞。ゲートが開くと、前者は逃げるシュテルングランツや追いかけるスーパーステション、インティを見る4番手、後者はほぼ殿から捲るタイミングを狙うそれぞれのレーススタイルで勝負に挑む。

4コーナーでチュウワウィザードが先行馬たちを追い抜くために外側に進路をとり、ミツバ、インティ、モジアナフレイバーらを残り200mで交わすが、その外には既に芦毛の馬体。残り100mでオメガパフュームに差し切られたものの、中団から押し上げてきたノンコノユメの追撃は凌いで2着。レーン騎手はこの年の夏のグランプリを芝ダート共に制覇したが、どちらも2着馬の鞍上は川田騎手であった。

■2019年JBCクラシック(JpnⅠ)先着:チュウワウィザード

浦和競馬場を超満員にした2019年JBC競走の大一番であるクラシックはオメガパフュームとチュウワウィザードが人気を分け、前哨戦のシリウスSを勝利したロードゴラッソが3番人気で続く。

レースはチュウワウィザードが逃げ先行馬を見る馬群の先頭、オメガパフュームがその馬群の最後方に位置取るが、1周が狭い浦和競馬場で勝つため、オメガパフュームは2周目の向こう正面からロングスパートに出る。

それに気付いた森泰斗騎手がセンチュリオンに鞭を入れ、川田騎手もゴーグルを直して勝負に備える。ペースが上がったことで逃げていたワークアンドラブが頭を上げて一杯になり、チュウワウィザードとセンチュリオンがスパート、その3馬身後ろにはオメガパフュームが迫っていた。

4コーナーの出口でセンチュリオンを交わしたオメガパフュームの相手は、チュウワウィザードただ1頭。2頭の勝負は残り100mからゴールまで続き、馬体を併せたまま決勝線に飛び込む。写真判定の結果、チュウワウィザードがわずかにライバルを抑え切って優勝。嬉しいGⅠ級競走初制覇となった。

■2019年チャンピオンズカップ(GⅠ)先着:チュウワウィザード

チャンピオンズCには3歳の若き新星クリソベリルが参戦、川田騎手はこちらに騎乗したため、チュウワウィザードは福永騎手に乗り替わり、オメガパフュームもここはL.デットーリ騎手との新コンビで参戦。

ゲートが開くとインティが逃げ、クリソベリルがそれをマークするような形の3番手。チュウワウィザードはその後ろにポジションをとり、オメガパフュームはチュウワウィザードの外に並ぶ早めの競馬を見せ、直線へ。

インティの逃げを捉えようと仕掛けたクリソベリルの進路をなぞってチュウワウィザードが追いかける一方、一瞬進路を失いかけたオメガパフュームはゴールドドリームの後を追って前を追う。

だが、両頭とも先に仕掛けていたゴールドドリーム、クリソベリルを捉えることは出来ずにフィニッシュ。チュウワウィザードは逃げたインティにあと一歩迫る4着、オメガパフュームは6着でレースを終えた。

■2020年帝王賞(JpnⅠ)先着:オメガパフューム

年明け初戦の川崎記念を勝ってここに臨んできたチュウワウィザードだが、川田騎手は海外遠征帰りのクリソベリルとのコンビ継続。C.ルメール騎手が手綱を取って参戦となった。オメガパフュームは主戦のM.デムーロ騎手が騎乗。盤石の態勢でライバルを迎え撃つ。

上位3頭の三つ巴の決戦は、スタートから逃げたワイドファラオを行かせ、クリソベリルが先行、チュウワウィザードが中団、オメガパフュームが後方と、三者三様の順で進んでいく。勝負の3コーナー入り口、オメガパフュームのデムーロ騎手が早めの捲りを選択し、チュウワウィザードの前へ。クリソベリルの外から併せようとするが、550キロの巨体を誇るクリソベリルには追いつけぬまま、大井の直線へ向いていく。巨体から繰り出されるダイナミックなストライドでクリソベリルが抜け出し、全く他の追随を許さない。

2頭も懸命に追いかけるが最後まで着差は詰められず、オメガパフューム2着、チュウワウィザード3着でレースを終えた。

■2020年JBCクラシック(GⅠ)先着:オメガパフューム

帝王賞から約3か月。再び大井競馬場にクリソベリル、オメガパフューム、チュウワウィザードの3頭が揃い踏みとなった。

ゲートが開くと坂井騎手が思い切りよくダノンファラオをハナへ。それに続き、外枠で前に壁を置けなかったチュウワウィザードが追いかけて2番手へ。その後ろにクリソベリルが前の2頭を見る3番手、最内からスムーズにスタートを切ったオメガパフュームは控えることなく、内の4番手で早めにレースを進めた。

そのまま直線に向いてきたところで、逃げ粘るダノンファラオをチュウワウィザードが競り落とし、外からオメガパフュームも末脚全開でそれを追いかける。

しかし、彼らの後ろから鋭い末脚を繰り出したクリソベリルの勢いは止まらず、一気に抜け出す。まるで帝王賞のリプレイを見るような結果になった。

ところが、クリソベリルはこの後脚部不安、喘鳴症を発症。次走のチャンピオンズC4着をもって長期休養に入り、オメガパフュームは左回りを嫌って東京大賞典へ向かったため、3頭の直接対決はこのレースで終わりを告げた。

■2021年帝王賞(GⅠ)先着:オメガパフューム

オメガパフューム、チュウワウィザードはそれぞれの路線で6歳でも現役続行。3度目の帝王賞でも人気を分け合い、この2頭の決着になるだろうと予想されていた。

スタートが切られると川崎記念、かしわ記念を制した船橋の雄カジノフォンテンが逃げ、ダノンファラオが2番手、チュウワウィザードは先行馬群の6番手あたり、川崎記念でカジノフォンテンに逃げ切られたオメガパフュームは、二度同じ轍は踏まないと早めに捲って大外に進路をとる。

一方、直線を前にしてチュウワウィザードは外からミューチャリー、内からマルシュロレーヌに先に仕掛けられて位置取りを下げてしまう。

そしてこの好機は逃さんとばかりに、コーナーでインをぴったり回っていたテーオーケインズが空いた内から一気に抜け出す。抜け出した彼の勢いは止まらず、そのまま圧巻の勝利を飾ってみせた。

2着には後方から突っ込んだ10番人気のノンコノユメ。スタミナにものを言わせた6番人気のクリンチャーが3着に入り、オメガパフュームは5着、チュウワウィザードも6着まで。上位3番人気がすべて着外に消える波乱決着となった。なお、チュウワウィザードが馬券外に敗れたレースはこのレースが最後である。

■2021年JBCクラシック(JpnⅠ) 先着:オメガパフューム

帝王賞の結果を受けて、金沢開催のJBCクラシックではテーオーケインズが1番人気、これをオメガパフュームとチュウワウィザードが追いかけるレースになる…と予想されていたが、このレースに並々ならぬ思いで参戦していた人馬がいた。地元・金沢所属の吉原寛人騎手とミューチャリーのコンビだ。

普段は後方から差す競馬で勝負するミューチャリーを、吉原騎手は先行外目の3番手へ誘導。これは地元開催のJBCを勝つための、乾坤一擲の騎乗だったか。いつもとは違う戦法にも相棒は全く動じず、淡々と先団に取り付いていた。

一方、チュウワウィザードは1番枠を利して5番手あたりで追いかける。オメガパフュームは3番枠から1周目の直線では後方3番手。向こう正面でオメガパフュームがいつも通りに捲りを仕掛けてきたが、チュウワウィザードは前にいたカジノフォンテン、ダノンファラオを外から交わすために一瞬差し遅れて、オメガパフュームに先んじられる形に。

しかし、この2頭の1馬身先には、3番手からスムーズに抜け出していたミューチャリー。ゴール後、馬上で喜びを爆発させた吉原騎手の裏で、外から猛追したオメガパフュームが2着、内から勝負したチュウワウィザードは3着でレースを終えた。

■2022年帝王賞(JpnⅠ) 先着:チュウワウィザード

結果としてチュウワウィザードとオメガパフュームの最後の対決になった2022年の帝王賞。
地方から参戦したのは10歳になった古豪ノンコノユメと、中央のオープンクラスへ上がった後に地方移籍したネオブレイブの2頭のみで、他7頭の出走馬は全てJRA所属の重賞勝ち馬という少数精鋭のレースであった。

スタート直後に各馬が出方を伺う中、オーヴェルニュが押してハナに行き、クリンチャー、テーオーケインズが先行する。そこをめがけてスタートから鞭を入れていたスワーヴアラミスが2000mをフルに使っての持久力勝負にするべく突っかけて行き、前の4頭の後ろにメイショウハリオが5番手。チュウワウィザードとオメガパフュームは前の駆け引きを見ながら互いの出方を伺う。

タフな勝負に持ち込んだスワーヴアラミスと競った馬たちは直線を前にして脱落し、脚を溜めたチュウワウィザードが内から、大外からオメガパフュームが仕掛けて最後の勝負へ。

しかし、2頭より前にいたメイショウハリオがスワーヴアラミスの内を抜けて先頭に立つと、ロスなく最内で立ち回ったチュウワウィザードの末脚を凌いで1着。チュウワウィザードは上り最速で追い詰めたがクビ差2着、オメガパフューム3着でレースを終えた。

常に上位争いを繰り広げたオメガパフュームとの対戦成績は4勝5敗。大井競馬場でのレースはオメガパフュームの得意条件であったが、チャンピオンズCや浦和のJBCクラシック等、左回りのレースではチュウワウィザードに分があった。また、右回りでも平安Sでは斤量差があったが、最終勝負となった帝王賞ではオメガパフュームの十八番である捲りを抑えて先着。このことから、両馬の実力はまさにがっぷり四つだったことが分かるのではないだろうか。

この後、盛岡開催のJBCクラシックを目指したチュウワウィザードは右前繋靭帯炎のため引退。オメガパフュームも、前人未到となる東京大賞典5連覇を目指して出走したみやこS3着の後、疲労が抜けきらず本番に間に合わないことから、両者共に7歳秋に現役生活に別れを告げ、種牡馬入りを果たした。

VS世界、日本馬の強さを示したドバイ挑戦。

左回りの中長距離戦であればライバルのオメガパフュームにも負けなかったチュウワウィザード。
勝った4つのGⅠ級競走が全て左回りのレースであることもその証だろう。

そして左回りのレースでの活躍により、チュウワウィザードは日本を飛び出して世界でもその勇姿を見せつけることになる。

オメガパフュームと幾度も名勝負を繰り広げていた2020年、チュウワウィザードは左回り中距離のGⅠ級競走である川崎記念(当時は1月開催)に挑んでいた。

この時、ライバルは帝王賞を目指して5月の平安Sから始動するため不在。充実期を迎えていたチュウワウィザードに立ちはだかったのは1歳年下の南関の強豪、東京ダービー馬ヒカリオーソと、後に金沢でJBCクラシックを勝つミューチャリー。しかし、チュウワウィザードは彼らを3コーナーであっさり交わし去ると、ヒカリオーソに6馬身差の圧勝劇を魅せる、堂々とした勝ちっぷりであった。

この勝利から陣営は世界最高峰のGⅠであるバイワールドカップ挑戦を発表したものの、新型コロナウイルスの影響により、2020年はドバイワールドカップデーが開催中止になってしまう。

そんななか、チュウワウィザードは同年暮れのチャンピオンズCも勝利し、3つ目のG1タイトルを獲得。春シーズンはサウジCからドバイワールドCへ進むことが決定し、1年越しの世界挑戦が叶った。

海外遠征の初戦となったサウジCではスタートで出遅れてしまい、最内をロスなく進んだものの最後方から巻き返すことが出来ず、勝ったミシュリフから離された9着。だがドバイワールドCではスタートを決めると、ロスの無い最内4番手でレースを進める。とにかくゴーサインが出るまで、しっかり脚を溜めると決めたのか、異国の地でもチュウワウィザードは戸崎騎手の指示を落ち着いて待ち、そのまま最終コーナーで勝負に出た。

直線を向いても自身の後ろに構える後続は追ってこず、前も開いている。チュウワウィザードはアクセル全開で前を追いかけた。そのまま前を走る馬たちを競り落とし、残るは前を走るミスティックガイド1頭であったが、最後まで差は詰められず2着まで。それでも、2011年のヴィクトワールピサ&トランセンド以来となる、ドバイWCの馬券内好走は世界レベルでも戦える強さを十分に示したと言えるだろう。

そして翌22年も、チュウワウィザードは春の大目標をドバイワールドCに定めた。前哨戦に選んだのは、前年同様の川崎記念。主戦の川田騎手とのコンビに戻ったチュウワウィザードは、南関の女傑サルサディオーネ、2021年に中央馬相手に2つのGⅠ級タイトルを勝ち取ったカジノフォンテン、ダート2100m巧者エルデュクラージュの3頭を前に見ながらレースを進めるが、その走りはまるで一昨年前、このレースを勝った時を再現するかのよう。コーナーで仕掛けて残り100mで前の馬たちを交わし去ると、後続に4馬身差をつけて危なげなく勝利。壮行レースとしてはあまりにも派手なパフォーマンスを見せたチュウワウィザードは、いよいよ決戦の地、メイダン競馬場へ飛び立つ。


迎えたドバイワールドC、前年と異なりテンの加速力がある馬が揃ったことで、チュウワウィザードは殿から前の馬たちを追いかけるレースを強いられる。それでもレーススタイルを崩すことなく、チュウワウィザードは川田騎手のゴーサインを待って、3コーナーから徐々に進出。川崎記念の走りをメイダンで再現したいと言わんばかりのレースだった。

そして直線、チュウワウィザードは砂にまみれながら、懸命に馬群の中を突き進む。だが、逃げていたライフイズグッドはゴール直前で捉えたものの、前でレースを進めていたカントリーグラマー、ホットロッドチャーリーを差し切れず3着に終わった。しかし、普段の先行競馬が出来なかったにも関わらず、最後の末脚比べで前年よりも前との着差を詰めてアメリカGⅠ馬にあと一歩まで迫った走りは、チュウワウィザードの集大成を見たような気がした。

3度の海外挑戦を経験し、帰国後も国内GⅠで常に上位争いを繰り広げたチュウワウィザード。
先行しても差し追い込みに回るレースでも、とにかくジョッキーと折り合ってゴーサインを待てる「賢さ」を武器に、約4年間日本のトップクラスに君臨し続けた。世界の強豪たちや、種牡馬として今後もライバル対決を繰り広げるであろうオメガパフュームら国内のGⅠメンバーたちに真っ向から挑み続けての結果であるのだから、立派と言えるのではないか。

しかも、19年の帝王賞から引退レースとなる22年の帝王賞まで、丸4年間GⅠ競走のみを走り続けてつかみ取った勲章は、美しい青鹿毛の馬体と共にファンの記憶に残ることだろう。いつの日か、息長く、堅実に、そしてチュウワウィザードのようなレースセンスに優れた産駒の誕生がすることを、期待して待とう。

写真:@pfmpspsm、H.Kaneko、s1nihs、みき、横山チリ子

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