あなたの『競馬の相棒』は?〜私とカメラの出会い〜

そうだ、カメラを買おう。

最近は、スマホのカメラもいいものばかり。
何も一眼レフじゃなくても、十分過ぎるほどに、写真は撮れる。

しかし、競馬のレースシーンとなれば話は別。
スマホでは写せない「本気の戦い」のワンシーンを切り取っておさめることができるのが、一眼レフである。

私が一眼レフを手にしたのは、2011年の秋のことだった。
新卒から働いていた会社で1年半のパワハラに揉まれ、ひどく落ち込み、家から出られない状態になっていた。

そんな時に家を出るキッカケをくれたのが競馬だった。
競馬が見たい。綺麗な馬たちを見たい。

大好きな馬たちが、家を出るキッカケをくれたのだ。

最初は競馬を見るために家を出ていた。
そうして何回か通ううちに、ふと思った。

──そうだ、カメラを買おう。
競馬で何よりも賞賛されるのは勝ち馬である。G1レースともなれば、1面に載るくらいデカデカと勝った馬の写真とジョッキーが掲載される。

でも私が欲しいのは、そうした写真では無かった。
ただ、自分が綺麗だと、大好きだと思う馬たちを撮りたい。
競馬はフルゲートであれば18頭。

そのうち勝てる馬は1頭だ。
17頭は、負けてしまうのだ。

競走成績が優れていれば、たくさんの人に撮られる機会があって、新聞にも雑誌にも写真が出てくる。

私が欲しいのは勝ち馬の写真ではなく、好きな馬の姿だった。
そうなれば、自分が写真を撮るしか術はない。
自分だけが撮れる、たったひとつの写真がどうしても欲しいと思ってしまった。

その思いに突き動かされるように、それこそ『馬車馬の如く』働いて貯めたお金を使って買ったのが.canonのkissX4・ダブルズームレンズキットだった。

レンズも2つ、初心者にはこれがいいだろうとの思いで購入した。
初めて競馬場に向かったのは、2011年12月17日のことだった。

お目当ては、ミステリアスライトとホクトスルタン。
2頭とも、勝てはしなかった。
けれど私のカメラに彼ら2頭の美しい姿をおさめることができ、私は大満足だった。

まだまだ拙い写真ではあるが、何度でも見返して、その度に嬉しくなってしまう。

それからはや7年。カメラは3台目となり、一緒にたくさんの遠征先にも行ってくれた。自己満足ではあるけれど、撮りためた写真を眺めながら──あの時、カメラを買ってよかったと思っている。

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カメラのファインダーを覗いていることで、時には熱い戦いを見逃すこともある。

けれど、自分にしか撮れない世界も、そこにあった。

そんな自分だけの写真を撮りに、私は今日も仕事にいくカバンに、でかいレンズとでかいカメラを詰め込んで「はやく時間が経てばいいのに」と仕事が終わる時間を楽しみに待つ。

皆さんの『競馬の相棒』は何だろうか?

私の『競馬の相棒』は、マークシートとペン──そしてカメラとレンズである。

写真:s.taka

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