主役不在の3歳マイル路線は大荒れ必至か!?
5月7日(日曜)東京メインは、3歳マイル王者決定戦のNHKマイルカップが行われます。
例年、様々な路線から実力馬が揃って混戦になることが多いのですが、今年は明確な主役が不在で例年以上に混戦が予想されます。どんな結果になってもおかしくないメンバー構成です。春のG1シリーズの中でも最難関のレースと言えるのではないでしょうか。
NHKマイルCの前哨戦を振り返る
ファルコンS 回顧
1着:タマモブラックタイ 2着:カルロヴェローチェ
勝ちタイム:1分22秒6(重) 前半600M:34秒8 上り4ハロン:47秒8 3ハロン:35秒9
前半600Mが34秒8。
重馬場ということを考えれば速いペースで進んでペースが落ちずに進んだので、ラスト200Mで12秒3と脚が止まった消耗戦となりました。道中4番手を進んだタマモブラックタイがゴールまで最短距離を通って押し切ったレースと言えます。2着のカルロヴェローチェは進路が無い場面もありながらも最後伸びてきて力を見せました。3着馬を3馬身離しているので1,2着馬の力が上だったレースと見て良さそうです。
勝ったタマモブラックタイは1200Mからの距離延長で軽視されていましたが、荒れ馬場の小倉を経験していたのがプラスだったのか、先行して押し切れました。この好走は、地力が高い証拠でしょう。
今回はさらなる距離延長となりますが、雨が降れば逆に対応できるかもしれません。
本質は1200Mか1400Mの馬かもしれませんが、1600Mまでこなせてもおかしくないはずです。
2着のカルロヴェローチェはスタートしてから首を振ったりして走りに集中できていない印象でした。
能力は高く、今回も上位人気に推されるとは思いますが、気性を制御できるかどうかが鍵になりそうです。
アーリントンカップ 回顧
1着:オオバンブルマイ 2着:セッション 3着:ショーモン 7着:ナヴォーナ 11着:ショーモン
勝ちタイム:1分33秒9(重・雨)前半800M:45秒8 後半800M:48秒1
逃げたユリーシャが飛ばしていったので前半800Mは45秒8と明らかに速いペースとなりました。
加えて重馬場だったので逃げたユリーシャはかなりきつい展開で逃げていったと言えます。
その後も逃げたユリーシャは粘っていましたが、残り200Mで脚が止まってしまって、そこで交わされてしまいました。そこからゴールまで12秒8と各馬の脚が止まってしまった消耗戦。2,3,4番手で進んでいた2,3,4着馬が3頭で競り合いをしていましたが、外からオオバンブルマイがゴール前で交わしました。
勝ったオオバンブルマイは朝日杯FSでは後方のままで終わってしまいましたが、アーリントンカップでは前が止まる展開だったので差し切りました。持続力と底力がありますので、今回のように先行馬が飛ばす展開になって各馬の脚が止まる展開になれば再び上位に入ってもおかしくないでしょう。
2~4着馬もほぼ同じ評価。
先行して粘る形になれば、というところでしょう。
7着のナヴォーナはまだ完成度が低い印象です。また、11着のユリーシャは重馬場で2番手以降を離して逃げていったので苦しくなったと見て良いでしょう。瞬発力勝負は厳しいのでセーフティーリードを確保しようとしての大逃げだったのでしょう。NHKマイルでも逃げるかどうかは不明ですが、切れる脚がないというのは覚えておきたいところです。
ニュージーランドトロフィー 回顧
1着:エエヤン 2着:ウンブライル 3着:シャンパンカラー 4着:モリアーナ 5着:ミシシッピテソーロ 7着:ドルチェモア
勝ちタイム:1分33秒7(やや重) 前半800M:46秒5 後半800M:47秒2
前半800Mが46秒5に対し、後半800Mが47秒2。
やや前半が速めで後半の特に600Mで徐々にタイムが遅くなっていく消耗戦のような持続力勝負となりました。
ドルチェモアが先頭に立って速い流れで進んでいたが、スピードを維持できずに失速する流れ。道中4番手で進んでいたエエヤンがスピードを維持して押し切りました。内を通った馬や先行馬が苦しい展開で2着以下は差し、追い込みの馬が台頭したレースです。上位の馬は実績通りの力を見せたが、勝ったエエヤンは中山適性を発揮したと言えます。
勝ったエエヤンはとにかく中山適性の高い馬です。
持続力と底力はある馬ですが、東京コースに替わってどうか、という点が注目です。
2着のウンブライルは外を回っていったので距離ロスがあったものの、ブリンカー効果もあって直線でよく伸びました。今回は横山武騎手への乗り替わりでどうか、というところでしょう。
3着のシャンパンカラーは2000Mの京成杯からの距離短縮で結果を出しました。マイルの距離がベストだったという事でしょう。直線で追い出しを待たされましたが、スムーズでも勝ちまではなかったかもしれません。G1で好走するにはもうワンパンチ必要に感じます。
4着のモリアーナは外々を回った不利が痛かったといえます。
今回は乗り替わりで、不利のない騎乗になれば面白い存在です。
7着のドルチェモアははっきりとした敗因が見当たらないだけにNHKマイルカップで巻き返すかどうかは不明です。地力は高い馬ですが、朝日杯FS組が年明け以降結果が出ていないのも気になるところです。
NHKマイルC 注目馬紹介
オオバンブルマイ - 重賞2勝は実績上位。混沌とした馬場と展開でレジェンドの見切りが光る。
重賞2勝と実績上位のオオバンブルマイには注目が集まります。
実績的にはG1馬のドルチェモアの方が上ですが、今回は不安定な状態と立場ですし、むしろ前走・アーリントンカップを快勝し、重馬場にも東京コースにも対応できるオオバンブルマイを高く評価すべきかもしれません。
馬場状態を含めても、一番不安が少ない馬であるのは確かでしょう。
武豊騎手は渋った馬場の判断が優れていますので、うまく導いてくれるのではないでしょうか。
カルロヴェローチェ - マイルの安定度は抜群! レーン騎手で期待大の存在。
混戦必至のNHKマイルカップですので、騎手の腕が非常に重要になるでしょう。
春の(第2回)東京開催でリーディングなのは菅原明騎手ですが、同騎手は日曜新潟で騎乗。
3位のルメール騎手はアメリカで騎乗ということですので、2位のD・レーン騎手に期待が集まります。
2週間の開催で6勝と今回の来日でも好成績を残しています。
今回騎乗するカルロヴェローチェも力上位ですし、ファルコンSでの敗北は不利もありました。
東京コースは初めてですが、左回り自体は問題ないですし、位置も取れる馬です。
気難しい面はありますが、能力のある馬です。レーン騎手ならば乗りこなせるのではないでしょうか。
ダノンタッチダウン - マイルの距離こそ我が本領。叩き2戦目で巻き返せるか。
毎年NHKマイルカップは各路線から馬が集まりますが、今年は特に最初からマイル路線へ進んだ馬の迷走が目立ちます。朝日杯FS組が今年に入って不調なのですが、単純に早熟だったがための敗北とは言い切れないのではないでしょうか。
巻き返しを期待するなら、マイルの距離に戻るダノンタッチダウンでしょう。
初戦から3戦続けて上がり最速で伸びてきた末脚は世代屈指のものですし、2歳時は明らかに世代でトップクラスの力がありました。
前走の皐月賞は休み明けで距離延長と、厳しい条件が重なりました。
18着と大敗してしまいましたが、皐月賞だけでこの馬の評価は落ちるのはおかしいと言えます。
当初の目標はNHKマイルカップだったはず。川田騎手に導かれて改めて強さを示してもおかしくないでしょう。
モリアーナ - チーム『武藤』を崩す乗り替わり。名手に賭ける陣営の勝負手が光るか。
乗り替わりの多い今回のNHKマイルCですが、その中でも目を引くのがモリアーナの乗り替わりでしょう。
武藤厩舎所属のモリアーナは、武藤調教師の娘の彩果さんが命名した馬。
アイドルである彼女の夢を叶えるべく弟の雅騎手が騎乗して阪神JF、クイーンカップ、NZTと使ってきましたが重賞制覇はならず。あとちょっとのところで悔しい想いをしてきました。
今回はそんな武藤雅騎手から横山典騎手へと乗り替わり。大一番での勝負に賭ける思いが伝わってきます。
東京芝1600Mで勝ち鞍はありますし、能力的にも勝ち負けできる力はある馬です。馬の全能力が引き出されれば勝ち負けできるのではないでしょうか。
タマモブラックタイ - もう200Mの延長も大丈夫。時計のかかる馬場でもマイルまでなら。
どんなレース結果になるかは分かりませんが、今回は重馬場適性の高い馬には注意が必要でしょう。
メンバーでトップクラスの重馬場適性を持つのが、このタマモブラックタイ。
2,3走前の小倉戦はかなり馬場が悪い中での競馬。その経験があったからこそ、重馬場のファルコンSでも好走できたと思います。
ファルコンSでは残り200Mで脚が止まって2着馬に迫られましたが、操縦性の高い馬でもあるので、うまく立ち回れれば一発があってもおかしくありません。
重賞勝ち馬ですし能力は十分。
前走では今回も上位人気となるカルロヴェローチェに勝っているので、その事実は無視できないでしょう。
シングザットソング - 速い流れで進むなら、豪快な追い込みに期待を込めたい。
メンバーを見渡すと先行馬が多いことが目につきます。
前走逃げたユリーシャを始め、ドルチェモア、クルゼイロドスルがいて、ショーモン、カルロヴェローチェ、エエヤン、タマモブラックタイが続きます。
そんな中、追い込み馬に期待を込めてシングザットソングの末脚には注目です。
エルフィンSでは出遅れながらもメンバー最速の末脚を伸ばして3着。
もう少しスタートの出がよかったら…という競馬でしたが、フィリーズレビューではスタートを決めて5番手辺りを追走して勝利を挙げました。一気に競馬ぶりが優等生になった印象を受けましたが、桜花賞ではスタートが良すぎて前に行き、結果として失速してしまいました。
本来は後方から末脚を伸ばすタイプの同馬。
展開がハマればという条件付きではありますが、末脚は世代屈指の切れがあります。
豪快な追い込みに期待できるのではないでしょうか。
写真:mat、水面、かぼす