デアリングタクト、ディナースタと近年コンスタントにクラシック戦線に活躍馬を送り込むようになったノルマンディーオーナーズクラブ。
今回はそのノルマンディー所属馬から期待の2歳馬をご紹介していきます。
バラエティーに富んだ牝系の魅力ある牡馬たち
アルヴァレス
父:ビーチパトロール
母:ディアバビアナ
性:牡 毛色:黒鹿毛
所属:美浦・奥村武厩舎
外傷をおってしまい少し育成が遅れている馬だが、牝系や馬体は世代上位と言える。
長らくアルゼンチンで繋がってきたファミリーで、4代母クバターが亜1000ギニーを勝利。
さらにファミリーを遡れば本馬の7代母Chaste and Fairを根幹とするファミリーからはケンタッキーオークス勝ち馬のBelieve You Canが出ている。とはいえクバターとBelieve You Can以外G1級は出てきていないようだ。
そのクバターが繁殖として輸入されたため、日本での牝祖はクバター。
繁殖としてのクバターは期待ほどの活躍はできなかったようだが、ダート短距離で3勝を挙げたタタラ(父アドマイヤオーラ)、芝中距離で3勝を挙げたコンカラン(父ジャングルポケット)と複数勝利馬は輩出しており、種牡馬に応じて様々なタイプを出している。
本馬の場合はクバターからハウスバスター→ショウナンカンプ→マツリダゴッホとつけられてきていて、日米のスーパースプリンターが血統表に並ぶ。そのため、やはりスピード性能はかなり高くなっている印象がある。
この牝系は仕上がりが早いタイプが多く、4代母クバターも2歳戦(南半球基準)から活躍したし、叔父カルリーノも京王杯2歳S3着や函館2歳S3着と早期から実力を全開に発揮した。
母ディアバビアナは現役時はダート6.5Fで1勝。
1勝クラスで早々に頭打ちとなってしまったが、早熟性を武器に未勝利番長として12度も掲示板に入ったため、獲得賞金は2000万円を超えている。
本馬はその初仔だ。
血統としては前述のカルリーノの全姉にあたる血統で、勝ち上がりはダートだったが芝でもしっかり競馬を作っており、兼用短距離馬といったところだった。
カルリーノ以外にも中央3勝のディアゴッホ(父マツリダゴッホ)、福島2歳S勝ちのディアセルヴィス(父アドマイヤジャパン)などが兄弟にいて、スプリント能力と早熟性を産駒にも受け継いできそうな印象。
本馬は馬体を見ても父ビーチパトロールという配合からも芝のマイルから中距離が主戦場となりそう。
若干遅れた育成も持前の仕上がりの早さでカバーできそうで、出資馬ライフを楽しませてくれる一頭となりそうだ。
レーウィン
父:ヘニーヒューズ
母フジインザスカイ
性:牡 毛色:栗
所属:栗東・上村厩舎
日本での牝祖は9代母タイランツクヰーンまで遡る。長らく日本で繋がってきた牝系だ。
このファミリーからは往年の名馬たちがたくさん出ている。例えば、二冠馬トキノミノル、菊花賞などG1を3勝のグリーングラス、二冠牝馬マックスビューティーたちである。
6代母ダーリングクインを根幹としてファミリーは広がっていて、前述のグリーングラス、セントライト記念勝ち馬タイガーボーイ、本馬の祖母で名古屋優駿勝ち馬のホーマンキュートなどが出ている。
ファミリーの活躍馬を見てもわかる通り元々ダート一辺倒のファミリーというわけではなかったが、近親はダート中距離を主戦場としている。
5代母の父がゲイタイム(メイズイの父)。
そこからフィリュース→ハイセイコー→ダンサーズイメージ→ジョリーズヘイローとつけられてることから、持ち合わせる血としてもダートじゃないと全くダメというわけでもないことは想像できる。そんな中でもダートに適性が寄っているのは、基礎スピードが少々足りないからなのかもしれない。ただ一方で、持続能力やタフさにおいては一日の長がある。自分のペースで走れれば中々バテないし、捲っていくこともできる。スタミナもあってある程度距離はもつ、というイメージだろうか。
母フジインザスカイは現役時ダート8.5F~9Fで3勝。
すでに産駒からは複数勝利を挙げ現2勝クラスのワンダーブレット(父アジアエクスプレス)を輩出している。
本馬とは血統構成も近いところがあるので、母の繁殖としての素質込みで楽しみな一頭だ。
適性はダートの中距離と見ている。
桜の舞台を目指す良質な牝馬たち
ベルイストワール
父:ミッキーグローリー
母:マイスクエアワン
性:牝 毛色:青鹿毛
所属:美浦・宮田厩舎
日本での牝祖は祖母シビサーバ。
シビサーバ自身は競走馬としての実績はなかったが、母Dancing MirageはエイグリームH(G2・ダ7F)3着など重賞で活躍した。
半兄のトゥルーサーパス(父A.P.Indy)がチャレンジC3着馬、甥にドバイゴールデンシャヒーン(G1・AW6F)勝ち馬のKinsale King(父Yankee Victor)がいるという血統背景を持っている。
5代母Distaff Deciderを根幹として日米を中心にファミリーが広がっており、同じ一族には函館2歳S勝ちのファインチョイス、ファンタジーS勝ちのキャンディバローズの姉妹も出ている。
この一族はスピード性能に長けた馬が多い印象。
米国牝系の中ではギアもたくさん持っていて、反応も良いのが特徴だ。
母マイスクエアワンは現役時未勝利。シビサーバの産駒はいずれも勝ち上がることができていない。
本馬は6番仔で、ここまで上はすべて牝馬。
4頭がJRAで出走して1頭が勝ち上がりを果たしている。
勝ち上がったランスオブアース(父エピファネイア)は中央ダート中距離で3勝しており、関東オークスでも3着している実績馬。
エピファネイア産駒の牝馬でダート馬というのはかなり珍しいが、これは母がダート適性しか受け継げないわけでなく、その要素がランスオブアースに強く伝わったとみる方がしっくりくる。
祖母の繁殖成績からも打率が高くないであろうことは明白だが、これまで勝ち上がれなかった産駒たちは馬格と筋肉量が足りないというわかりやすいウィークポイントを持っていたので、再考の余地はある。
本馬は緩さこそまだまだあるが、馬格は500を雄に超す大型馬。魅力的だ。
本馬は父にミッキーグローリーを迎えた。
馬格に恵まれた馬だったので、これまで母に足りなかった部分を補えているのが良い。
またスピード性能の高さもミッキーグローリーの魅力の一つである。血統背景は全く異なる父と母だがお互いに相性の良い血を豊富に持ち、長所を伸ばし合える間柄で今のところそれが上手くハマっていそうだ。
仕上がりこそ早くないかもしれないが、芝の中距離路線で楽しませてくれる一頭となる素質がある。
ワンモアビスケット
父:マインドユアビスケッツ
母:ヘレナモルフォ
性:牝 毛色:栗毛
所属:栗東・緒方厩舎
日本での牝祖は3代母ポッシュプリンセス。
ポッシュプリンセス自体は競走馬としての実績はないが、4代母のMaria Waleskaが伊オークスなどG1を2勝しているほか半弟Polish PatriotがジュライC(G1・芝6F)を勝利している。その実績を買われたのか、賀張三浦牧場が繁殖として導入した。とはいえ繁殖として期待通りの活躍はできず本馬の祖母タガノブラッサム(父サンデーサイレンス)の全兄であるタガノサンデーがダート中距離で5勝し準OP入りを果たした程度である。
おそらく、日本であまり活躍馬を輩出できなかった原因はスピード不足だ。
ポリッシュプリンセスは決してスピード性能が低い血統構成ではないが、上手く産駒に遺伝できていないのかもしれない。ただ、ダート適性よりは芝適性の高い一族だろう。
タフさと持続性能は高く、上がりのかかる馬場や前傾ラップの展開では強さを見せている。
本馬の近いところでは、叔父マツリダガッツ(父ジャングルポケット)が中央芝で3勝している。
母ヘレナモルフォは現役時芝9Fで2勝。
やはりこの牝系の一頭らしく上がりがかかるレースで強かった馬だ。
父がジャングルポケットだったこともあってより持続性能に磨きがかかったのだろう。
本馬は5番仔。
ここまで産駒は4頭がJRAで出走しているがルークスヘリオス(父エイシンフラッシュ)1頭が勝ち上がり。
ルークスヘリオスは芝中距離で持続力を活かした競馬を得意としている。繁殖としての能力は示したと言える。
本馬は父にマインドユアビスケッツを迎えた。
これはかなり好印象の配合だ。
馬体は筋肉質で馬っぷりの良いタイプが多いだけに今更緩いタイプと配合しても中途半端になる。
でもスピードは欲しいから、マインドユアビスケッツという選択肢はベストといっても過言ではないだろう。
実際募集時の本馬はマインドユアビスケッツの産駒としてはゆとりのある動きをしていて、芝のマイルくらいで面白い存在だ。