[連載・クワイトファインプロジェクト]番外編 トラストスリーファームインタビュー記事を受けて

読者の皆様、先週土曜日に公開されましたトラストスリーファーム岡崎代表のインタビュー記事はお読みになりましたでしょうか。
今回私は、大まかな企画立案及びウマフリ編集部と岡崎さんとの最初のアポイントについてはご協力いたしましたが、それ以降のインタビュー内容や記事の構成などは一切関わっていません。あくまで一読者として読ませていただきました。

なんと言いますか、正直、感慨無量……という言葉はこういう時に使うものなのだと思いました。

西本オーナー、岡崎代表(プラス、アドバイザーの篁オーナー)がクワイトファイン種付けのご決断をなされた背景には、あくまでビジネスとしての現実的な判断をベースとしつつも、トウカイテイオーのサイヤーラインを残したいという多くの心あるファンの皆様への思いがあり、また、サンデー3×4を内包する繁殖牝馬としての配合種牡馬選定の難しさという現在の日本の馬産が直面する課題へのアンチテーゼがあった、というように私は読みました。

現実的に無難な選択肢を取るのであれば、クワイトファインより実績が上でサンデーを含まない(薄い)種牡馬もたくさんいたと思います。そして、サラブレッドはいまや空前の売り手市場であり、新規馬主も増え続いているという話も聞きます。これだけの良血牝馬の仔ですから、性別や身体の大きさ等多少の流動的要素はあるにせよオーソドックスな種を付ければそれなりの値段で売ることは出来たでしょう。それでも、今回、種牡馬の世界では「無名」に近いクワイトファインを選んでいただきました。

そして、岡崎代表には大変お忙しい中、今回のインタビューに応じていただいた訳ですが、私なりに陣営の皆様のお考えを読み解くに、……ビジネスとして売れる馬を生産しなければという「現実」と、ファンの期待に応えるという「興行としての側面」、そして非サンデーの血の可能性を広げるという、まさに私が以前から申し上げている「血統の多様性」、それら各要素に目配りをした上で「中長期的ビジネスとしての総合判断」をなされたのだと思います。そして、さらに誤解を恐れずに言えば「競馬界の発展、サラブレッドの未来を考えた配合」を選択されたと言っても良いのではないでしょうか。

それに対して、(私自身も含めた)我々ファンはどうやって応えるべきなのか。
岡崎さんのインタビューの中で、「牡馬が産まれることにより(中略)応援していただけるのかな」というご発言がありましたが、性別だけは正直どうすることもできません。しかし、よしんば牝馬が産まれたとしても、ガレットデロワの産駒なら最高のステージ(すなわち中央競馬)でのデビューも視野に入るかもしれませんし、ファンの皆様の応援のお気持ちを具体化する方法はいくつかあると思います。

まだ産まれる前ですので、具体的にどうこうは言えませんが、とはいえあっと言う間に来年春はやってきます。そこに向けて、プロジェクト主催者として出来る限りのご協力はしていきたいと考えています。
そして、来年春の種付けシーズンに向け、他の牧場、オーナー様にもこの馬の存在を知っていただけるよう、種牡馬広告の掲載等も検討していきたいと考えています。

最後は敢えて、かなりくだけた文体で締めたいと思います。
西本オーナーも岡崎さんも、私よりだいぶ年下ですが、お世辞でも何でもなく、普通に「漢」としてめっちゃ恰好いいと思いませんか?
ビジネスの世界で成功を収めただけでなく、サラブレッドの生産においても、競馬ファンのため、サラブレッドの未来の為に、誰もやらなかった試みをサラッとやってのけるのですから。
まさに漢ですよ。と言うより、そうだなぁ、志高き漢、文字通り「志士」ですよ。
願わくは、来年春に、我こそは、という志士が続いて欲しいよね。

あなたにおすすめの記事