[重賞回顧]女王の座を射止める、運命の道〜2021年・エリザベス女王杯〜

2021年競馬もいよいよ佳境に差し掛かってきた。

競馬界ではこの週から毎週ビッグレースが行われ、優駿たちが鎬を削る瞬間が数多く訪れる。秋のG1戦線後半戦スタートを飾るのは牝馬による可憐な女王決定戦エリザベス女王杯だ。

去年同様、今年も舞台を阪神競馬場に移しての戦い。

宝塚記念と同じコースでパワーを擁する中で、誰が女王の座を射止めるか。

レース概況

今年のエリザベス女王杯は17頭によって行われた。

G1馬の出走が2頭と混戦模様。人気は、そのG1制覇の経験がある2頭に集まった。

今年の大阪杯の覇者レイパパレは前走オールカマーの雪辱を果たしたいところ。
この阪神コースは大阪杯で勝利を収め、宝塚記念で3着に入るなど得意な舞台と言える。鞍上にルメール騎手を迎え、2つ目のタイトル奪取を狙った。

そしてもう1頭のG1馬は3歳馬アカイトリノムスメだ。
牝馬三冠最終戦の秋華賞で初タイトルを手にしたアカイトリノムスメ。勢いそのままに古馬を撃破して新たな勲章を手にすることが出来るのか。
そして初タイトルを狙う各馬も逆転を狙う。オールカマーでワンツーを決めた「ウイン」の2頭、ウインマリリンとウインキートスやクイーンステークスを制したテルチェットなど虎視眈々とG1制覇を狙った。
まさにレース前から、混戦極まるエリザベス女王となった。

拍手が沸き上がった阪神競馬場。
そして4コーナー奥でのゲートインが進み、レーススタート。

横一線のスタートからまず前へと飛び出したのはシャムロックヒル。
連れてレイパパレとウインマリリンも前へと追走し、外枠からはロザムールとリュヌルージュの7枠2頭も前段へと取り付いた。そして中団にアカイトリノムスメとステラリアの3歳馬2頭が位置取る。

向こう正面に入るとシャムロックヒルとロザムールが後続を突き放しての先行態勢を固めた。
レイパパレは先行しているものの宥めながらの追走となった。

3コーナーで馬群が凝縮してきた。シャムロックヒルとロザムールが苦しくなるとレイパパレが早めに進出。
連れてウインマリリンやアカイトリノムスメ、さらに大外をまくり上げたアカイイトも前段に進出して直線に向いた。早めに先頭に立ったレイパパレ。後続を突き放しにかかるが外からの伸び脚も良かった。
大外から幸騎手のアクションに応えてアカイイトが並びかけて先頭に立つ。

ステラリアなど2着争いが大激戦となったがアカイイトには関係なし。

下馬評を覆し、大外からまくり上げるという豪快な勝利でG1タイトルを射止めた。

各馬短評

1着 アカイイト (幸英明騎手 10人気)

10番人気の評価を覆す強い走りでG1制覇を果たした
。道中は後方追走も3コーナー過ぎから進出を開始。そして4コーナーでは先団まで取り付いて直線へ。上がり最速で追い込み、激戦の2番手争いを2馬身突き放しての完勝であった。

アカイトリノムスメが人気だったことから、ホクトベガとベガになぞらえ、「アカはアカでもアカイイト」という言葉がSNSで飛び交った。

牝馬戦線に、新たな名牝が誕生した。

2着 ステラリア (松山弘平騎手 7人気)

3歳馬ステラリは、秋華賞のリベンジ果たしての2着であった。

終始外々を回す展開になったものの、直線では末脚をしっかり伸ばしての2着入線。
勝ち馬アカイイトと同じキズナ産駒のステラリアで、新たなステージでの次こそは先頭でのゴールを誓う。

3着 クラヴェル (横山典弘騎手 9人気)

3着には、最内を突っ込んだクラヴェルがあがった。

最後方からレースを進めたクラヴェル。1枠という枠を活かして終始内を立ち回り、直線に向くと各馬が外に向く中内を突いて伸びきった。接戦を制しての3着と安定感のある戦績は次への試金石だろう。

次は豪快な差し脚でタイトル奪取だ。

総評

エリザベス女王杯は波乱の結果となった。
制したアカイイトは10番人気の評価だったが、勝ち方は豪快そのもの。
大外からねじ伏せるような走りでG1初制覇を上げた。

今後は女王としての戦いに挑むアカイイト。

運命に導かれ、新たなステージへと歩み続ける。

写真:RINOT

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