札幌競馬場で行われる牝馬限定重賞「クイーンステークス」。過去の勝ち馬を見るとアエロリットやディアドラなどG1馬や海外の強豪を相手に戦う女傑がこの舞台で勝利を収めている。

今年は東京オリンピックに対応した日程編成で従来の開幕週から1週遅れて開催されたクイーンステークス。レース前の構図としてはG1で活躍した馬に重賞を連勝した上り馬が挑むという夏競馬らしい一戦となった。

レース前に1番人気に支持されたのはスカーレットカラー。昨年府中牝馬ステークスを勝利し、暮れの有馬記念にも出走を果たした実力馬だ。今年はヴィクトリアマイルの大敗から巻き返すためにこの札幌を仕切り直しの場とした。昨年のこのレースは2着に入っていて、切れ味溢れる末脚に期待が集まった。

続く2番人気はフェアリーポルカ。この馬は、今年全体を通じて、牝馬戦線における最大の上り馬と言って良いだろう。春に行われた中山、福島の両牝馬ステークスを制し重賞2連勝を達成。この札幌も制し、意気揚々とG1戦線に臨むためにもここは勝利しておきたい舞台だ。オッズ自体は混戦ムードであったが、この2頭が若干抜け出しているという評価となっていた。

レース概況

2場開催の日曜日は札幌、新潟の順にレースが行われるため、札幌のメインレースは15時35分に発走する。スタンド前でのゲート入りが終わり、レーススタート。各馬大きな出遅れはなく、1コーナーを目指す。

先頭に立ったのはナルハヤ。そして同じ赤い帽子のタガノアズワドが2番手につける形となった。スカーレットカラーは後方2番手、フェアリーポルカは中団待機と並びについては予想通りの形となった。

そして3コーナー。先頭2番手のナルハヤとタガノアズワド、さらに3番手に浮上した3番人気コントラチェックが後続を引き離す。

ペースは前半1000mが58秒1と、かなり速いペースで流れた。

後続はどのタイミングで前の3頭を捕まえるかという探り合いになる。4コーナーを迎えるころには、各馬が一気に先頭集団へと殺到。馬群が固まりながら、直線に向いた。

先頭は粘るナルハヤ。そこにコントラチェックが迫るも、後続が押し寄せ横一線の形となる。そして残り100mで、6頭の横並びから抜け出したのは白い帽子──人気を落としていたレッドアネモスだった。馬群から一気に抜け出すとそのまま勢いよくゴールイン。見事重賞初制覇を果たした。

ゴール後には鞍上の吉田隼人騎手が大きくガッツポーズ。鞍上にとっても会心の勝利だろう。北の大地で悲願の重賞制覇を成し遂げ、秋に最強牝馬軍団へと挑む新星が登場した。

各馬短評

1着 レッドアネモス

内をすくう、会心の勝利。道中は7番手辺りを追走し、直線に向いても進路をじっと見極め、そして見事に突き抜けた。G1で好走経験のある馬を撃破したのは馬にとっても好材料だろう。クロノジェネシスやグランアレグリアと同世代の4歳勢から、また1頭楽しみな馬が現れた。

2着 ビーチサンバ

最後の豪脚は見事であった。課題であったゲートはこなしたものの、行き脚がつかずに後方追走を余儀なくされたのが響いた。しかし直線では大外を回し追い込んでいて、惜敗続きの馬とは思えないポテンシャルを見せた。新馬戦以来の勝利とはならなかったものの、今後がさらに楽しみになる1戦だった。

3着 スカーレットカラー

1番人気に支持されたスカーレットカラーは3着となった。内枠で出走していたこの馬は終始位置取りを内にこだわり、直線でも内から抜け出しを図っていた。中々進路は見いだせなかったが、それでも直線ラストの強襲は流石の切れ味。直線の長い競馬場でもっと末脚を見てみたい1頭だ。

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