[重賞回顧]短距離戦線制圧へ〜2020年・マイルチャンピオンシップ〜

創設以来初めて、阪神競馬場を舞台に行われたマイル王決定戦・マイルチャンピオンシップ。

春の安田記念と共に春秋マイルG1の一角を担い、過去にはタイキシャトルやデュランダルなど名マイラーを多く輩出した。

さらに天皇賞など中距離で戦ってきた猛者や短距離界を制圧した短距離王などもこぞって出走するだけあって、毎年ハイレベルなレースが展開ている。まさにマイル王者決定戦の名にふさわしい一戦だが、今年もその名に恥じない豪華なメンバーが揃った。

出走17頭のうち8頭がG1馬。どの馬もマイル戦を極めた屈強な面々だ。果たしてどの馬が今年のマイル王にたどり着くか。

レース概況

人気は、牝馬のグランアレグリアに集まった。今年のマイル〜短距離界はグランアレグリアを中心に回っていたと言っても過言ではないだろう。

マイル戦では安田記念で現役最強馬アーモンドアイに勝利。春秋マイル制圧へ向け、多くのファンの期待が集まった。

桜舞台と同じ芝1600mでの、ゲートイン。

ゲートが開くと予想通りレシステンシアが真っ先に飛び出す。続いてラウダシオンにアドマイヤマーズとG1馬が続く。さらにグランアレグリアも先行勢にとりついた。

対して2番人気のサリオスは後方追走を選択。人気馬同士で位置取りが大きく分かれた。

今開催は高速馬場の阪神競馬場。前半ペースも流れ、600mは34秒9。

レシステンシアが引っ張った中、迎えた4コーナー。粘り込みを図ったレシステンシアを目掛けてアドマイヤマーズとインディチャンプが猛追する。グランアレグリアはインディチャンプの福永祐一騎手が蓋する形となり中々進路が開かない。その間にインディチャンプが先頭に立った。

アドマイヤマーズが食い下がり、先頭2番手を固めたが瞬く間に交わしていく黒い勝負服が現れた。

外に進路を求めたグランアレグリアだった。

インディチャンプの外に馬体を出すと切味一閃。まとめて2頭を差しきってゴールイン。見事春秋マイルG1制覇となり、今年3つ目のG1タイトルを獲得した。

各馬短評

1着 グランアレグリア (C.ルメール騎手 1人気)

もはや短距離界に敵はいないと言わんばかりの圧勝劇だった。
道中が先団を追走。直線でも半ばまで進路を蓋された状態ながらも進路が開くや否や矢のような脚で差しきった。マイルCS連覇を狙うインディチャンプや香港マイル馬アドマイヤマーズをも軽く差しきった点からもこの路線では一つ抜け出した存在と言えよう。
春秋マイル王に輝いたグランアレグリアは見事短距離戦線制圧となった。

2着 インディチャンプ (福永祐一騎手 3人気)

鞍上福永騎手の作戦がさく裂するも、あと一歩及ばなかった。
道中は6,7番手辺り、ちょうどグランアレグリアを見る位置で競馬を進めた。直線では同枠のアドマイヤマーズと共に押し上げ、内のグランアレグリアをマークしながら先頭に立ったものの最後交わされて2着となった。
マイルCS連覇を目指した1戦だったが、2着には敗れたものの十分王者の風格漂う巧みなレースであった。

3着 アドマイヤマーズ (川田将雅騎手 5人気)

昨年の香港マイル以来約1年ぶりの勝利を目指したが粘り込んでの3着となった。
レースは先団を追走。直線に向くと早めにレシステンシアを捕らえ先頭に立ったがインディチャンプに交わされた。そこからは粘りの走りで迫るスカーレットカラーを抑え込んで3着を死守した。
中々3歳秋以降中々安定しなかったがここにきて連続の馬券圏内確保。香港を制した脚は日本でも堅実だ。

総評

マイルチャンピオンシップはグランアレグリアの勝利で幕を閉じた。
今年の古馬G1は、フェブラリーステークスと天皇賞春を除くと全て牝馬が制覇。

さらに秋のG1になると、全て1番人気が勝利を収めている。

怒涛の牝馬旋風が吹き荒れる中制したグランアレグリアはまさに短距離制圧。
牝馬の枠を超えた激走は今後も期待を大いに持てる走りであった。
今後は日本で王座防衛か世界進出か──来年は大歓声がこだまする中でのG1制覇を期待したい。

写真:たなかゆうき

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