[インタビュー]引退馬を絵で救う! “ウマデザイナー”ショーゴさんに直撃取材

こんにちは!
ウマフリライターの齋藤翔人です。
皆様はTwitterやInstagramで『ウマデザイナー』として活躍されているショーゴさんをご存知でしょうか?

Twitterでは多くのリツイートやイイねを集めるショーゴさんの作品たち。ショーゴさんのイラストを見ると、ピンとくる方も多いかもしれません。

それぞれの馬が個性的で、“魂”が感じられる──それでいて、チャーミング。
今回は、不思議な魅力を持つイラストの作り手として注目の『ウマデザイナー』ショーゴさんを直撃取材。

ウマデザイナーになろうと思ったきっかけや、仕事へのこだわり、今後やっていきたいことなど、様々なお話を伺ってきました!(※本インタビューはリモートにて開催致しました)

きっかけは「引退馬を救いたい」想い。

馬のイラストが描かれた絵葉書。そしてマスクやマグカップといった日用品。さらにはTシャツやトートバッグといったグッズまで──。ショーゴさんの作品は多岐に渡ります。
そんなショーゴさんが競馬愛・サラブレッド愛に目覚めたのは2017年ごろ。きっかけは、なんと競馬ゲームなのだとか。

「もともと博打が好きではないタイプなので、競馬にはそれほど興味がありませんでした。だだ、F1など『レース』そのものが好きで、さらには動物好きということがあって、競馬ゲームなら面白いかもしれないと『ダービーオーナーズクラブ-ネクストハロン』という競馬ゲームを始めたんです。そこで競馬の面白さに気がつきました」

そうして競馬と出会い、さらにはホンモノの競馬も見るようになっていったショーゴさん。
しかし、はじめからウマデザイナーとして活動を開始したわけではありませんでした。

「色々な活動をしていこうと思ったキッカケは、引退馬の存在を知ったからです。競馬をやるようになってすぐに引退馬活動を知ったのですが『自分も何か出来ないかな……』と考えるようになりました」

データ分析が好きなショーゴさんは、まず手始めにブログで競馬予想を開始。しかしオリジナリティという面では少し弱いと感じ、違う方向性を模索するようになったのだとか。
写真は得意だが、オリジナリティという面ではやはり違う。もっと、オリジナリティのあるものを──そう考えた末、イラストやデザインによる活動に辿り着きます。

「イラストは特に専門的な勉強をしたわけではありませんが、父が美大を出て絵本の出版社に勤めていたので、小さい頃から親しんできました。あえてウマ“デザイナー”と表現しているのは、イラストだけにとどまらず、いろいろとチャレンジしてみたかったからです」

反響は公開してみるまでわからない。
デザイン・イラストの難しさ。

幼い頃からデザイン・イラストに親しんできたショーゴさんですが、その難しさに頭を悩ませる事も多いそうです。

「たまに、ポンと生まれる作品もありますが、なかなか上手くはいかないものが多いです。思い通りにいくことなんてほとんどありませんね……。自分では『めちゃくちゃ良くできた!』『気合い入れた!』って作品の方が、イイねの数は少なかったりしますし、その逆もありますし(笑)もちろん、イイねやリツイートがすべてではありませんが、思ったよりも反応が良くないと『あれ?』となります」

ショーゴさんが「安産だったわりに人気でしたね」と話すのは、『うまびえ』。

たまたま隙間の時間でさらっと描いた作品が、SNSなどで話題に。展示会や乗馬クラブ「クレイン」でグッズを販売したところ、大好評・大反響がありました。ショーゴさんはその反響を「タイミングとかもあるんでしょうね」と分析。『うまびえ』はグッズ化もしやすい素材なので、大活躍してくれたのだとか。

一方で、少し肩透かしをくらった形になったのが、この『春の訪れ』。

ショーゴさんも「長い時間をかけて描いた作品なので、もっと好評かなと思ったら、割と普通の反応でした……」と苦笑い。そこに、デザインの難しさが、垣間見えます。

「まあ、『普通』以下の作品はない、というか、反応が悪かったものは記憶の中から抹消されているので、覚えていませんね(笑)」

その前向きな姿勢こそが、作品の原動力なのかもしれませんね!

1頭1頭の個性を大切に。
イラストへのこだわり。

ショーゴさんがデザインをしている時のこだわりは、「塗り絵のようなイラストにしないこと」。馬のイラストを描く際に、枠線は同じで、色だけ変えるという手法は、なるべくやらないようにしているそうです。

「それぞれのイラストで、違うのは色や柄だけ……というのは、技法としては否定しませんが、避けています。実際の馬も、ぱっと見は同じように見えるかもしれませんが、1頭1頭命がありますし、特徴があります。できる限り、その馬の特徴をイラストに反映させていきたいですから」

そんなショーゴさんのこだわりは、イラストの依頼があった際にはその馬のさまざまな角度からの写真を提供してもらうこと。そしてその馬の性格やエピソードなどをヒアリングしてから着手します。

さらに、『ウマデザイナー』としての活躍の場は、イラスト作成のみに留まりません。その後のグッズ化も、もちろん大切な作業です。

「グッズに関しては、普段遣いできることをテーマにしています。ファンシーすぎず、ラグジュアリーすぎない。いつも使えて、いつもそばに馬がある──そんな生活を送れるグッズを企画しています」

その馬に対するショーゴさんの思い、そしてイラストの依頼主さまの気持ちを一筆一筆にのせていくことが、ショーゴさんの考える「良いイラストの条件」のひとつ。そのためにも、十分なヒアリングは欠かせません。

「特に、依頼されたイラストでは、イラストを依頼主さまに替わって代筆しているようなものです。その馬に対する思いを汲み取ることが大事だなと思っています!」

ホーススペース紡に預託されている、
ジョージ号のオーナー様からのご依頼により作成
ときがわホースケアガーデンに預託されていたマキシムオージャ号が亡くなった際、
オーナー様からのご依頼により作成

そして、SNSなどで人気になるにつれ、様々な依頼が舞い込むようになったショーゴさん。どの依頼もやりがいがあるものの、その中でも特別な気持ちになるというのが「亡くなった愛馬を描いてほしい」という依頼です。

「遺影みたいなもので、最後の1枚ですから。この場合、依頼主さまの代筆というよりは、その馬の気持ちになって依頼主さま(馬主さま)へ気持ちを届けるところが、難しくもあり、やり甲斐も感じます。……もちろん、あくまでも想像でしかありませんけれど」

縁により広がる、引退馬支援の輪。

上述の通り、ショーゴさんの活動の原点は「引退馬支援との出会い」です。もちろん今でも、引退馬支援への想いは変わりません。

「TCCFANSの設立当初から会員をしていて、今はホースシェルターのサポーターをしています。TCCFANSさんとは、私の活動当初からイラストを依頼していただいているご縁もありますね」

また、実際の引退馬に会いに行くことも。

埼玉県にある養老馬牧場『ときがわホースケアガーデン』には、時間を見つけて足を運んでいるそうです。その牧場との出会いにも、人と人との縁がありました。

「写真家の、故・太田宏昭先生に紹介していただいたのがキッカケなんです。山間にある小さな牧場ですが、ゆったりとした空気が流れていて。大好きな場所です」

仕事仲間のフォトグラファーの方と、一緒に遊びに行ったこともあるそうです。

そのときに撮影した、おばあちゃんポニーの『カエデ』の写真が、日本最大級のカメラと写真の展示会『CP+』が主催する、ZOOM JAPANという写真コンテストで賞を受賞。

なんと、パリでもその写真が公開されることに。

「写真という形ではありますが、おばあちゃんポニーがパリに行ったことになります。『ときがわホースケアガーデン』の鈴木代表も、『こんな形で、自分の馬が凱旋門に行けるとは!』と、喜んでいらっしゃいました」

人と人との繋がりが、やがて海を飛び越える活動に──。ひとつひとつの活動の『可能性』を再確認できるエピソードです。

金銭だけではない!
引退馬支援の形は人それぞれ。

そうした経験を通じて、ショーゴさんにとっての「引退馬支援」の捉え方が、それまでより幅が出るように。

「支援というと、パッと思い浮かぶのが、金銭面の支援。それは私だけではなく、多くの人にとっても同じなのではないでしょうか。しかし、広報的な支援、働いている方々のココロの支援など、いろんなカタチの支援があるんだなと気がつきました」

確かに、今ではSNSでもたくさんの引退馬写真・動画が公開されるようになりました。
様々な個人・団体によって「引退馬」そして「引退馬支援」を広く知ってもらうという動きがあります。

ショーゴさんは、これら全ての取り組みが引退馬支援であり、それを受け取る人にも支援は可能だと考えます。

「金銭面の支援が難しい方は、SNSのシェアや、イイネを押すだけでも引退馬の支援になると思います。時間も、お金もかかりませんが、大切な支援のひとつではないでしょうか」

そんなショーゴさんは今、新しい引退馬支援の形を模索中です。その中でも、ひとつ大きな夢が。
それは『ブライダルの写真撮影で、馬との前撮り』という試みです。

「私は普段、アリアコーポレーションという、ブライダルの写真撮影の会社スタッフでもあります。そこのノウハウを活用して『馬との前撮り』ができたら、需要があるのでは、と考えています。仮に、人を乗せることができなくなった馬でも、立てていれば問題ありませんし、その売上の一部を、馬へ回すことができたら良いなと考えています」

引退馬の雇用創出、さらには支援金の創出。
なんとも、明るい未来が見えてきそうな発想です。

また、『馬との前撮り』に関しては、TCCFANSさんのご縁で、成田にある緑の馬牧場に協力をいただけることが決まったそう。しかも、一緒に撮影してくれるのは、2011年の若駒スーテクスを勝ち、ローエングリンの弟としても有名なリベルタスだそうです。

「馬は、私にとって他人とは思えない存在なんですよ。私自身が、馬面だけに(笑) だからこそ、しっかりと支援していけたらな、と……(笑) 冗談はさておき、みなさまの温かい声援を追い風に、ここまで続けることができました。これからも声援、RT、イイねなど、どうぞよろしくおねがいいたします!」

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ホーススペース紡 https://horsespacetsumugi.jimdofree.com/
ときがわホースケアガーデン https://www.hcg-tokigawa.com
TCC https://www.tcc-japan.com/

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