2017年4月30日。私は妻と共に京都行きの電車に乗っていた。京都駅に着くと友人と合流し、愛知出身・在住ながら慣れた様子の彼の案内でまた電車に乗った。 京都競馬場に向かうためである。 当時の私といえば、競馬を観たり、馬券を買ったりしたことは無かった。育成シミュレーションゲームが好きで、高校の頃からウイニングポストシリー...
コラム・エッセイ
コラム・エッセイの記事一覧
声に出して噛まずに読みたい馬名といえば、元祖はこの馬のような気がする。 「ディアデラノビア」 そして、2002年生まれのディアデラノビアの名は20年以上経っても、必ずと言って良いほどPOGなどで耳にする。つまりは名牝系のひとつということだ。牝系とは奥深さが魅力。脈々とつながっていく一本のラインをたどることは歴史を旅する...
1.「型破りな逃げ馬」ダイタクヘリオス 「逃げ馬」を表現するとき、どのような言葉が使われることが多いだろうか。一頭だけ前に出てそのまま歩みを止めない姿を表現する手法には、語り手のセンスが問われるように思う。私が感銘を受けたのは、文筆家・寺山修司が1965年のダービー馬キーストンについて書いたエッセイにおける以下の一節で...
2019年4月14日、皐月賞の開催日。この日、私は友人とともに現地・中山競馬場へと足を運んでいた。レース前から熱気に包まれていたこのレースは、4頭の若駒に人気が集中していた。 1番人気は、ホープフルS勝ち馬サートゥルナーリア。父ロードカナロア、母シーザリオという血統で、ここまで無敗を貫いてきた。どれもほぼノーステッキで...
1.三冠に最も近づいた「準三冠馬」 中央競馬史上、皐月賞、東京優駿、菊花賞に優勝した三冠馬は8頭。1941年のセントライトから、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルまでの8頭を数える。また、2020年のコントレイルは史上初となる親子無敗の三冠達...
藤岡康太騎手の訃報に際し、謹んでお悔やみ申し上げます。 ウマフリ代表の緒方さんから連絡がきて、私は康太騎手が亡くなったことを知った。先日は高知の塚本雄大騎手の訃報に触れたばかり。なにもそんなに次々と若い命を現世から連れ去らなくてもいいのに。順番が違う。正直、追悼記事を書くかどうか、少し迷った。私のもとにはいくつか似たよ...
夏の初め、北東の風が軽やかに国旗をはためかせる。曇り空から薄日が差し込む中、2か月半遅れのJ・GⅠファンファーレが響き渡った。 真夏日に迫る気温の中山競馬場。この日を待ちに待ったスタンドのファンから大声援が上がる。 第13回中山グランドジャンプの幕が、切って落とされようとしていた。 2011年。3月11日に発生した東日...
2024年4月10日午後7時49分。 多くのファンに愛された藤岡康太騎手が私たちの前からいなくなってしまった。 享年35歳。 文字にするのも辛いほどの、大きくて深い喪失感と悲しみ。世代が殆ど同じで、誕生日も近い私にとって、同じ時代を生きてきた彼の訃報は耐えがたいものだった。訃報の届いたその日、私はそれが誤報であることを...
牡馬クラシック第一戦 皐月賞 サラブレッドが生涯に一度だけ、その年の選ばれし18頭のみが出走できる3歳クラシック競走。その初戦として位置づけられているのが皐月賞であり、牡馬三冠の一冠目である。そのため、三冠馬たちの『伝説』の始まりのレースとして語られることも多いレースである。 2000mで行われることから、『最も速い馬...
2023年4月10日、午後7時49分。JRAで現役G1ジョッキーとして数々の好騎乗を披露してきた藤岡康太騎手がこの世を去った。35歳、まだまだこれからというタイミングでの、無念の訃報だった。 『笑顔はじける有望な若手』 ──私の中で、彼、藤岡康太騎手はずっとそんなイメージだった。それが近年、こんなイメージに変わっていた...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]天まで届け勝利の凱歌。史上まれに見る混戦を制したのはジャスティンミラノ!~2024年・皐月賞~
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[重賞回顧]中118日の雪辱劇!『マジックマン』に導かれたステレンボッシュが、逆転で桜の女王を戴冠~2024年・桜花賞~
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[重賞回顧]躍進著しい上村厩舎の大黒柱ベラジオオペラ。ダービーの雪辱を果たし、GⅠ初制覇を達成!~2024年・大阪杯~
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[重賞回顧]雪辱vs雪辱の死闘を制したマッドクールが、待望のGⅠ初制覇~2024年・高松宮記念~
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[重賞回顧]傑出した瞬発力でライバルを圧倒!無傷3連勝を達成したシックスペンスが、堂々クラシック候補に名乗り~2024年・スプリングS~
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[重賞回顧]ミルコ・マジック炸裂! 勝負所でまくりを決めたコスモキュランダが重賞初制覇~2024年・弥生賞ディープインパクト記念~