「名馬」を語る [追悼・エモシオン]最後の夢を託した、小林稔調教師とエモシオンの「絆」 2025年7月11日 ■エモシオンの訃報 エモシオンが亡くなったニュースを見た時、真っ先に思い出したのが小林稔調教師である。エモシオンは1998年のクラッシック三冠を皆勤した。1998年は、翌年に引退が決まっていた小林稔調教師のラストイヤーで、厩舎の柱として最後のクラッシック制覇を目指した。 エモシオンは享年30歳。彼がターフで輝いていた時... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る アグネスタキオン - 「たられば」が際立つ、異次元の強さ 2025年7月10日 競馬の面白さとは何か。レースでの走りや、血統が紡いだドラマが見せる感動ももちろん素晴らしいものだ。 だが、「もしも」の話を競馬仲間と語り合う瞬間こそ、ひょっとすると一番面白い瞬間かもしれない。 ■「ダービー馬より上」 時は2000年5月28日。河内洋騎手がデビュー27年目にして、遂にダービージョッキーの称号を手にした。... 小早川 涼風
コラム・エッセイ オフサイドトラップの「七夕物語」/1998年七夕賞 2025年7月7日 ■七夕といえば、七夕賞? 子どもの頃の「七夕」は、ワクワクした。七夕の日には願い事を書いた短冊を笹に取りつけて、夏がやって来たことを実感する。そして夏休みが近づき、近所のあちらこちらで夏まつりや花火大会も始まる。七夕の頃には夏休みを楽しむ計画で埋め尽くされて、一年で一番楽しい時期だった。 大人になってからの「七夕」はど... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る テーオーケインズ - 静かなる灰かぶりの帝王 2025年7月4日 七月の初めに大井競馬場で開催される帝王賞。全国からダート路線の駿馬が集う、砂のグランプリだ。サマーシーズンはG1級レースが秋まで組まれないため、この賞こそが上半期の競馬を締めくくるビッグレースになる。 ナイターのカクテル光線を浴びて、地方中央問わず集結した優駿が、500mもの長いロングストレートを駆け抜けてゆく。このス... 大守アロイ
「名馬」を語る 砂塵に消えた黄金の稲妻。短くも輝いた名馬・ゴルトブリッツ 2025年7月2日 ひとすじの光が駆け抜けた。砂塵を巻き上げ、夜明けを告げるように。 遅れてきた才気。ひとたび弾ければ、並ぶものなく、ただ前へ、ただ先へ。 ──その旅路は、長くはなかった。 されど、深く刻んだその蹄跡は、今も、砂の中に息づいている。いまはもう届かぬ夢。 胸に宿した黄金の稲妻。その光を抱き、君はいまも駆けている。 スマホ画面... norauma
「名勝負」を語る 魂は今も海峡を渡る風のなかに。トーセンスーリヤの函館記念 2025年6月27日 東京から北海道へ向かう交通手段はいくつかある。羽田から新千歳まで空路なら約90分、東京駅から北海道新幹線だと約4時間で新函館北斗へ到着する。馬産地は新千歳、札幌も新千歳、だが、函館なら新函館北斗。これが私の北海道旅。ちなみに函館~札幌間は函館本線の特急北斗号で約3時間50分。北海道は広い。訪れる目的によってそのアプロー... 勝木 淳
競馬場を楽しむ [グルメ]地方競馬のギャンブル飯を訪ねて〜浦和競馬場編〜 2025年6月25日 ギャンブル飯ライターのプーオウがお送りする、地方競馬のギャンブル飯を紹介するシリーズ。前回は船橋競馬場グルメだったが、多くの方にお読みいただき、多くのご好評の声も届いた。今回は同じく南関の浦和競馬場を取り上げ、名物グルメたちをご紹介していく。 近年、南関東4競馬場は、古くなった施設を新しくすべく、改修工事が行われていた... プーオウ
「名勝負」を語る 末脚魅惑のディアデラマドレ - 2014年のマーメイドS・府中牝馬Sを振り返る 2025年6月20日 番組改編で迎える夏が、胸を刺激する 2025年、中央競馬の番組表が大きく変更。特にベテラン競馬ファンからは、その変化に戸惑う声もあがった。筆者もまた、その一人である。その中でも10月中旬にエリザベス女王杯の前哨戦として東京競馬場で行われていた「府中牝馬ステークス」が、開催時期を6月末へと移すことになったのは胸を刺激する... ムラマシ
「名勝負」を語る 白き衝動、仁川に還る - ゴールドシップとメイショウタバル。宝塚記念、親子制覇を振り返る 2025年6月20日 阪急電車の窓越しに、暮れかけた空がゆっくりと流れていく。 レースが終わっても人の熱は冷めず、湿った梅雨の空気がべたりと肌にまとわりつく。いつもなら少し不快に感じるこの空気も、今日はどこか心地いい。車内には満足げな余韻が漂っている。 「タバル、強かったな」 「ユタカは千両役者やな」 「石橋さんも報われてよかった」 「松本... norauma
「名馬」を語る [追悼]ありがとうマイネルウィルトス。心に刻んでおきたい彼の蹄跡 2025年6月18日 いぶし銀の9歳オープン馬たちが、次々とターフを去って行く…。 ダービーデーの最終レース、目黒記念で9歳馬ハヤヤッコが故障発生で引退したのは、記憶に新しいところ。その前々日の金曜、同じく9歳馬のボッケリーニが引退し種牡馬になることが発表されていた。長い間重賞戦線に顔を出し、「今度こそ!」の夢と希望を乗せた1票で楽しませて... 夏目 伊知郎