[地方レース観戦記]上総の将、武蔵の戦を制す!~2021年・浦和記念~

浦和競馬場の秋の交流重賞最終戦、浦和記念がやってくるといよいよ冬の訪れを感じます。
コースを1周する1400mや1500mのレースが中心に組まれる浦和競馬では珍しい2000m戦でのレースです。
昨年は無観客での開催でしたが、今年の開催は人数上限5,000人、検温と消毒を徹底しての有観客開催で行われました。私の地元での開催とあってはいてもたってもいられず、ウマ娘から興味を持ってくれた親友を連れて現地へと赴くことにしました。


到着は13時ごろ。浦和競馬場の公式Facebookより13時時点で3163人が入場していることが発表されていたので、おそらく3000人目ぐらいの入場者だったでしょう。祝日の開催で晴天と、競馬場に出かけやすい条件が揃ったとはいえ、最終的に上限に近い4926名の方が訪れていたのは、やはり多くの競馬ファンが現地で競馬場の空気を味わいたかったのだと思います。

勿論、競馬場に来ないと味わえないのは空気だけではありません!
新2号スタンドの里見食堂で販売している通称「黄色いカレー」を食べることが出来ました。
2019年のJBC開催の日はお昼前には売り切れていたためお預けとなっていました。今回も約20分並びましたが、親友の分も無事に確保、お昼を食べながらレースを観戦しました。

浦和競馬場名物「里見食堂の黄色いカレー」
税込600円、出来立てアツアツで美味しく頂きました!

レース概況

笠松から参戦のナラがロケットスタートを決めて飛び出しますが、メイショウダジンが内からハナに立ちます。
メイショウカズサはゲート内の駐立が悪く出遅れますが、川田騎手が押してメイショウダジンをインから交わし、逃げの競馬を選択します。メイショウダジンはメイショウカズサに続いて2番手、3番手にアメリカンシード、4番手にヴェルテックス。タービランスも積極的に先行します。

スタートが良かったナラは6番手、チェスナットコートはスタートで出鞭が入り7番手を追走。
4〜5馬身離れた8番手にヒロブレイブ、追込みのウェスタールンドはその後ろで待機し、その更に3馬身ほど後ろにメイショウタイホウが殿で隊列が決まり、最初の3コーナーへ入ります。

メイショウの2頭が先頭2番手で並び、その外にアメリカンシードが、内にヴェルテックスとタービランスがポジションを決めて直線から1コーナーへ向かいます。ゴール前にいると、その後方から早くもウェスタールンドが力強くダートを踏み込む蹄音も聞こえてきました。

森泰斗騎手がアメリカンシードの位置を上げて、メイショウカズサ、メイショウダジンと横並びで向こう正面へ。ヴェルテックスも遅れないように横山武史騎手が促して追走し、タービランスの笹川騎手が残り1000mの位置で後方を確認すると、やはり前を行く馬たちに離されないように促します。

後方確認した笹川騎手の目には、ウェスタールンドがいつも通り捲りを仕掛けたのが見えていたことでしょう。
向こう正面に入るとチェスナットコート以下を楽に抜き去り、先行勢を捉えんと追撃態勢に入ります。

2度目の3コーナー手前でメイショウダジンがバテ始めると、メイショウカズサが振り切って逃げ切り体勢に。それを見てか横山武史騎手がコーナーから一気に仕掛けてヴェルテックスと共に勝負に出ます。タービランスもヴェルテックスの進路をなぞってインコースを選択、ウェスタールンドは終始外を走っていたアメリカンシードをインから交わしたものの、先にヴェルテックスとタービランスにインコースを取られていたので外からメイショウダジンを交わして直線の攻防へ。

直線では少し外に膨れながらも、メイショウカズサが後続を突き放してセーフティーリードをとり、後続を完封して1着でゴール。しぶとく伸びて来たタービランスが外からヴェルテックスを交わして2着、最後は早くしかけた分浅くなったヴェルテックスが3着、ウェスタールンドは最後方から追い上げるも4着まででした。

ゴール前2列目を確保、夕焼けの中駆け抜けてくる姿を撮影出来ました!

各馬短評

1着 メイショウカズサ

白山大賞典をレコードタイムで逃げ切った際に「良馬場でのパフォーマンスがどうか」と回顧したのですが、前日の雨の影響で馬場は重馬場、そして当日は浦和競馬場らしい逃げ馬が止まらない馬場コンディションで、絶好の条件が揃う中レースを進めることが出来ました。

しかし、パドック入場時からしばらく周回時に暴れたり、ゲート入りを嫌がったりと機嫌が良くなかったようで、川田騎手にも勝利後のインタビューで「走り出してからもやる気がない中で、何とか走ってくれたという所でした」と振り返っていました。

そのようなコンディションで強引にハナを取りに行きましたが、迫る後続場をコーナーで突き放して完封した姿はやはり強いメイショウカズサの走りでした。

重賞連勝で賞金を稼ぐことが出来たので、チャンピオンズカップに現時点で登録が無いことを見ると、次走は暮れの東京大賞典でしょうか。真面目に逃げを打ったら更に強いのか、力の要る馬場でも後続を凌ぎ切れるのか、まだまだ伸びしろを見せてくれそうなレースぶりでした。

パドック入り後に興奮していたので、パドック中央に誘導されたメイショウカズサ。ご機嫌ナナメの様子でした。
2着 タービランス

前走の埼玉新聞栄冠賞ではエルムS勝馬ハイランドピークとの末脚比べを制して連覇達成、今回は浦和競馬の大将格としての参戦でした。大井記念→埼玉新聞栄冠賞→浦和記念のローテーションは昨年と同じで、川崎記念でも4着入線とJRA勢が相手でも互角に戦える実力の持ち主です。

昨年は後方からのレースでウェスタールンドに捲られての4着でしたが、今年は笹川騎手が最序盤から促して中段5番手でのレースを選択し、逃げるメイショウカズサや先行するJRA勢に食らいつくレースを見せます。

2コーナーの出口付近で笹川騎手が股越しに後方を確認していましたが、おそらくウェスタールンドが上がってくるタイミングを見ていたのでしょう。最後の直線までロスなくインコースに入れながら逃げるメイショウカズサを追いかけ、地方馬最先着の2着、昨年敗れたウェスタールンドへのリベンジも果たしました。

例年ですと秋シーズンはこのレースで終わり、翌年の報知オールスターカップに参戦するのですが、8歳でも実力健在なので、体調に余裕があれば東京大賞典に出てきて欲しい馬です。グレードレース以外では大敗しないので、このまま無事なら来年の9歳シーズンも南関重賞を盛り上げてくれるでしょう。

3着 ヴェルテックス

昨年の今頃は未勝利で2着を重ねながらなかなか勝ち上がれず、園田競馬で2勝して中央に戻ってきた「出戻り」の馬です。半兄トウショウピストやブレイブメジャーは短距離路線を中心に走っていますが、ヴェルテックスはダート1700m以上の中長距離路線で安定して走っています。

横山武史騎手が終始メイショウカズサを負かしに行く積極的な競馬で攻めた騎乗を見せましたが、最後はタービランスに交わされての3着敗戦でした。それでも後方から上り最速タイで追い込んでいたウェスタールンドは凌ぎましたから、この1年間で重賞クラスのメンバーとも十分戦える実力をつけたと言えるでしょう。

父がハーツクライ系のジャスタウェイの4歳牡馬ですから、本格化は来シーズンかもしれません。
メイショウカズサとはまだ力差がありそうですが、差し有利の展開に嵌れば重賞制覇の可能性も十分あります。

4着 ウェスタールンド

戦術は「最後方一気の追込」一択。捲り上げる走りのかっこよさが、個人的にも大好きな馬です。
昨年も最後方から捲りを見せて上り最速の末脚を繰り出して3着入線、9歳になった今年も前走のシリウスSで秋初戦を2着でスタートし、元気に走り続けています。

今年も終始パワフルな走りを披露し、上り最速タイの末脚で追い込みましたが、昨年以上に前が止まらない馬場コンディションに加え、コーナーで外を回した分の4着敗戦でした。

タービランスの鞍上笹川騎手がメイショウダジンの内にいち早く入ることで、ロングスパートの捲りを身上とするウェスタールンドを減速させないためには、藤岡佑介騎手は外を選ぶしかありませんでした。進路取りでのロスが悔やまれますが、末脚に衰えはなく、今回の敗因は展開が向かなかったことに尽きます。

チャンピオンズカップに登録していますので、中1週ですが参戦するかもしれません。ローテーションが詰まっていますが、リピーターの好走が目立つレースですから、インを突いて差せれば再度の好走も十分狙えます。
チャンピオンズカップ回避の場合は東京大賞典に向かうでしょう。こちらも昨年3着、オメガパフュームの4連覇を阻む刺客として挑む1戦、どちらの場合もこの馬らしい追込に期待しましょう。

レース総評

有観客開催でのレースを久しぶりに観戦し、間近で馬たちの様子を見てのレース回顧になりました。

馬たちにとってもファンが間近にいるのが久しぶりで、メイショウカズサのように驚いて暴れる馬もいれば、歴戦の猛者であるタービランスやウェスタールンドは落ち着いていたりと、これまでの競馬観戦では見ることの無かった馬たちの動きを見ることが出来たのも勉強になりました。

レースはいかにも浦和競馬場らしく逃げ、先行馬の進路取りがモノを言う展開になりましたので、ハナを取りに行った川田騎手、それを追いかけて最適な進路を選んだ笹川騎手、強気に攻めるレースをした横山武史騎手の腕前がレースの結果にもつながりました。

今回Twitterを通じてお声かけ下さった方、現地で撮影していた写真にいいね!をつけて下さった皆様、ありがとうございました! またどこかで、お会いしましょう。

浦和記念終了後、太田窪4丁目公園で黄昏る競馬場を眺めるZakkey、親友が撮影してくれました。
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