![[今週の注目馬]白馬の王子様アマンテビアンコに、もう一度「府中の歓声」を!](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/05/0O9A9596-scaled.jpg)
イタリア語で「白い恋人」という名を持つ白毛牡馬のアマンテビアンコ。白毛という視線を集める存在でありながら、彼は「色」ではなく「強さ」で歴史に名を刻んだ。2024年のJpnⅠ・羽田杯。白毛牡馬として史上初のJpnⅠ制覇──その瞬間、彼はロマンの象徴から、実力で頂点を奪う本物のオープン馬へと変貌した。

しかし、サラブレッドの競走生活は決して平坦ではない。羽田杯制覇後、東京ダービーで二冠を狙っていた矢先、アマンテビアンコは長い休養を余儀なくされた。調整中に左前脚の骨瘤を発症してしまい、無念の回避となる。症状は当初思っていたよりも重く、東京ダービー断念後は、三冠目のジャパンダートクラッシックに照準を合わせていたのだが間に合わず。年内復帰に目標を先送りしたが、その調整中に今度は左前脚の浅屈腱炎を発症させる。全治は未定、引退はせず治療して復帰を目指すこととなったが、ここからアマンテビアンコは長いトンネルに入ってしまう。
結局4歳時は治療に専念し、復帰の目途が立ったのは2025年の暮れ。宮田厩舎に帰厩しゲート試験を受けるというニュースが流れた。アマンテビアンコの消息が途絶え、復帰を心待ちにしていたファンたちは沸き立つ。羽田杯でアマンテビアンコを見てから20ヶ月という時間は、馬にとっても、人にとっても、あまりに長い。成長期を含むその空白は、才能を持つ馬ほど重くのしかかる。復帰を信じて待ち続けた陣営の思いも、ファンの祈りも、時に揺らぐほどの年月だった。
■1年11か月ぶりの復帰!
アマンテビアンコの復帰戦は2026年3月のオープン特別・総武ステークスに決定する。
羽田杯から1年11か月。長い長いトンネルを抜け、アマンテビアンコが競馬場に帰って来た。結果だけを見れば、3番人気の7着(15頭立て)で華々しい復活にはならなかった。しかし、スタートから先頭集団に加わり、直線でも一瞬、白い馬体がグッと前へ伸びたあの場面を見た人であれば、胸の奥が熱くなったはずだ。長期休養明けの馬が、あれだけ動ける──その事実こそが、復活の兆しだった。あの「見せ場」は、ただの瞬間ではない。「まだ終わっていない」「この馬は、もう一度輝ける」と、そう確信させるだけの力が、確かにそこにあった。

そして迎える復帰2戦目。今週土曜日の5月30日、オープン特別・アハルテケSに出走する。舞台は東京ダート1600m。スピードと持久力、そして勝負根性が問われる条件で、羽田杯で見せたあの粘り、あの勝負強さが最も活きる距離でもある。長期休養明けから叩き2戦目となり、勝負勘も戻っているはずだ。前走よりさらに前進が見込める状態で臨める今回、中央競馬での2勝は左回りの府中競馬場だったことも考えれば、充分に復活勝利のチャンスはある。
出走メンバーでライバルとなるのがテーオーパスワード。3歳時にはケンタッキーダービーに出走し、5着に入っている。近走は足踏み状態が続いたが、前走のオアシスS(府中・ダート1600m)で2着に入り調子を上げてきた。もう1頭のライバルがジェイパームス。2001年の武蔵野Sでクロフネが樹立した「ダート1600m1分33秒3」のレコードを24年ぶりに更新した。昨年秋のペルセウスSで、重馬場ながら(クロフネは良馬場で樹立)1分32秒9のタイムで優勝している。もしも週の後半で雨が降って馬場が湿れば、スピードを活かすレースをしてくる可能性もある。
いずれにせよ、まずはアマンテビアンコが無事出走し、完走して帰って来ることを願うばかりである。
■アマンテビアンコ物語、第二章
白毛の馬体は、砂を浴びてもなお存在感を失わない。むしろ、泥にまみれた白は、戦っている証としてより美しく映る。アマンテビアンコが直線で抜け出す姿を想像すると、胸が高鳴る。白い閃光が、再び東京の直線を駆け抜ける——そんな光景を望まずにはいられない。
アマンテビアンコのキャリアは、決して順風満帆ではなかった。だが、だからこそ応援したくなる。白毛のスターは、いつだって「夢」を背負って走る。母系を遡れば、シラユキヒメ一族。母ユキチャンは、関東オークス他、南関東で3つの重賞を制覇している。白毛一族が積み重ねてきたロマンを、彼は牡馬として初めてJpnⅠの頂点に立つことで新たな章へと導いた。その「白馬の王子様」が、怪我を乗り越え再び勝利へ向かう姿を、日本ダービー前日に見ることができるのは嬉しい限り。長い休養を経て、再び競馬場に戻ってきたアマンテビアンコが、どんな走りを見せるのか。その一歩一歩には、陣営の努力とアマンテビアンコ自身の闘志が宿っていることだろう。彼が再び輝く瞬間を見届けたいという思いは、ファンの願いであり、競馬という文化そのものが抱く希望でもある。

アハルテケSは復活の物語として、アマンテビアンコの「第二章」が始まる舞台だ。勝利を願うのはもちろんだが、それ以上に、彼が再び自分の走りを取り戻し、白い馬体を躍動させる姿を見たい。直線で白い閃光が力強く抜け出し、東京競馬場に歓声が響く瞬間を、心から待ち望んでいる。
アマンテビアンコの物語は、ここからまた始まっていく。
Photo by I.Natsume

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