![[イベントレポート]「馬体の教科書」大ヒット記念トークライブを訪れて](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/07/0713.jpg)
2026年7月24日(金)19時より「馬体の教科書」大ヒット記念トークライブが高田馬場BSホールで開催された。発売から約1カ月。早くも重版されたという。これはめでたい。かつて同じ高田馬場で競馬本を世に送る出版社でちょっとだけ編集に関わったことがある。あのころ、重版なんて滅多になかった。みんなだいたい初版売り切り。というか売り切れることもほぼなかった。だから競馬本の重版と聞くと、それだけでありがたく感じると同時にファンの競馬との関わり方の変化も伝わってくる。

私が著者の治郎丸敬之さんを知ったのは「ROUNDERS」という雑誌の創刊号だった。最近、ウマフリの縁でご本人と話する機会が増えたが、これは本人には伝えていない。当時、競馬本といえば、馬券攻略法ばかりだった時代であり、「ROUNDERS」は貴重な競馬の本質に触れられる場だった。思い返せば、当時から馬券以外の競馬本を探していた気がする。だからなのか、当時勤めた出版社ではなかなか「競馬本の企画」は通らなかった。馬券に絡んでいないとダメという評価を受けたからだ。その出版社を離れる際、実は同じ高田馬場にあるガイドワークスを紹介してくれるという話をもらった。だけど、私はそれを断ってライターの道に進んだ。「競馬本の企画」で編集者としてやっていく自信がなかったのも理由の一つだった。
「馬体の教科書」の前作にあたる「馬体は語る」も夢中になって読んだ。勤めていた出版社の先輩に貸したっきり返ってこず、手元にはないが、クビの長さや耳の形や位置によって読み解けるサラブレッドの個性があることを知った。馬体を観察するにあたり、見なくていいところはひとつもない。脚ばかり見ていた自分の浅さを教えてくれた本だ。
「馬体の教科書」のヒットを受けて開催されたトークライブには大狩部牧場の下村優樹氏も登壇された。ちょうどイベントの前日にアップされたウマフリのブログも好評だったが、とにかく下村さんが話す内容も治郎丸さんと同じく、自分の競馬観をいい意味で揺さぶってもらえる。聞くたびにアップロードできる私にとって大切な方だ。今回は牧場社長就任以来、初となる1泊出張だったという。それまではすべて日帰りというのも驚く。北海道から東京日帰りなんて忙しないにもほどがある。北海道出張の際、一泊だって足りなくて、不完全燃焼だというのに! 下村さんは牧場業務に対する責任感ゆえの日帰りで、私の一泊とはまるでニュアンスは違うが、忙しなかったにちがいない。一泊出張に踏み切ったのは十年来の友人である治郎丸さんから「そろそろいいでしょ」と言われたからだそうだ。牧場代表に就任して3年。朝、牧場に顔を出せない時間はどんな心境だったんだろうか。
治郎丸さん、下村さんに加え、イベントには声優の折原日菜さん、KEN蔵さんも登壇。折原さんは以前、別のトークイベントでお話を聞いたが、とてもとても競馬歴数年とは思えない競馬との濃厚な時間を過ごされている。積極的に海外の競馬場に足を運んでおり、私など足元に及ばない。KEN蔵さんは「競馬のPOG本」のメインライター。今年は、この方の書いた記事を参考にPOG指名馬を選ばせてもらった。幸いにもその成績は好調であり、KEN蔵さんに足を向けて寝られない。
この4名がそろい、トークイベントは90分にわたり行われた。ゴールドシップとキタサンブラックの馬体構造の違いにはじまり、理想の馬体が時代とともに変化している話など興味深いものだった。間口といわれる、両前肢の幅の違いなどは確かに見比べると明らかに違った。トップスピードに乗るまでの時間の違いは馬体構造でわかる。治郎丸さんの解説には改めて発見が多い。かつてはスペシャルウィーク、今はキタサンブラック。理想の馬体は変化していく。それは競馬の中身によるところが大きい。サラブレッドが進化していることをスペシャルウィークとキタサンブラックは教えてくれる。競馬が変われば、馬は変わる。そして、馬が変われば競馬も変わる。進化のその先を見たくなるようなお話だった。
下村さんからはトモに注目した話があった。人間も馬も同じ。アスリートであるからには、下半身の頑健さは欠かせない。お尻の容積の大きさとその出力と連動してスピードに変換する機能が重要であること。生産者としてそこをどう育てていくかといった話だった。競馬ファンの大半は馬産地にいない。たとえ北海道にいたとしても見えない部分がある。下村さんの話はそれを見せてくれる。だからこそ、もっと拝聴したくなる。それには時間が足りなかった。途中で治郎丸さんと下村さんの出会いからなれそめといった話まで飛び出し、90分はあっという間にすぎた。時間の都合で折原さんやKEN蔵さんが質問し、二人が馬体診断するといった話までたどり着けなかった。それでもエフフォーリアとサリオスの特徴など実のある話をたくさん聞くことができた。10年以上前に「ROUNDERS」で出会った治郎丸さんはあの頃のまま、馬体を極める道を進んでいる。それを改めて確認できたのも私にとって貴重な時間だった。
で、治郎丸さんからまだまだお話を聞きたいと思っていたら、最後に第二弾の告知があった。競馬王さん、さすがです。8月14日に同じ高田馬場BSホールでトークライブが開催される。今回登壇された治郎丸さん、折原さんに加え、今度はBlooming Horse Club代表の諏訪守さん、ライターの岡田ちほさんが登壇される。夏の盛りにまたまた濃厚なお話を聴けるにちがいない。もちろん、すでにポチっとした。
次回イベントはこちらから:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2629427

