少し冷静になって考えてみると、優駿スタリオンステーションが連絡すると言ったのは、明日の枠に空きがあるからではないでしょうか。3枠とも埋まっていればその場で断られたでしょうが、断られなかったということは、おそらく1枠ぐらいは空きがあって、そこに優先したい株主や関係者が入ってこないかギリギリまで待って、もし誰も来ないようで...
治郎丸敬之
「ROUNDERS」編集長。単なる馬券検討ではなく、競馬の持つ様々な魅力を広く伝えていきます。好きな馬はヒシアマゾン、ブラックホーク。敬愛するジョッキーは野平祐二、安藤勝己騎手。週刊Gallopにて「超・馬券のヒント」、一口馬主DB、キャロットクラブ会報誌にて連載中。著書に「馬体は語る」、「馬券は語る」(主婦の友社)
治郎丸敬之の記事一覧
配合相手が難しかったのは、つい先日、ルーラーシップ産駒を無事に出産したばかりのスパツィアーレの方です。スパツィアーレは500kg近い馬格を誇り、馬体という観点でいうと種牡馬を選ばない繁殖牝馬です。ステラマドリッドにハーツクライ、シンボリクリスエスと重ね合わせ、これ以上ないほどの重厚な馬体に仕上がっています。広大なキャン...
無事に出産が終わると、次は種付けのことを考え始めなければいけません。考え始めると言っても、前年の種付けが終わってからおよそ1年間、次はどの種牡馬を配合しようかと延々と考え続けてきたことに決断を下さなければならないというのが実際のところです。この繁殖牝馬にどの種牡馬を配合するのか、たったそれだけの問題ですが、1年間通して...
2日目の夜、叩き起こされることを期待しつつ寝ましたが、朝起きてみると、窓の外ではスパツィアーレが相変わらずのんびりと草を食べています。残された時間はあと半日です。今日の15時30分のチケットを取りましたので、牧場にはお昼ぐらいまでしかいられません。 ドラマや映画であれば、タイムリミットのギリギリになって、「生まれそう!...
「そちらに行く準備ができたのですが、スパツィアーレはまだですかね?」 「もう生まれそうな予兆はかなり出ているのですが、まだみたいですね」 僕が行くまで待ってくれたのだと胸を撫でおろしつつ、新千歳行きのチケットを取りました。今回はスケジュール的に2泊3日滞在することができそうです。すでに予定日を3日すぎて、漏乳するほど濃...
次に向かったのは、もちろんスパツィアーレのところです。寒天の中、放牧中のスパツィアーレの姿を見つけるのは簡単でした。もう馬房に帰る準備をしているのか、牧柵の入り口のすぐそばで微動だにせず立っています。そのまま地面に落ちてしまいそうなぐらいの大きなお腹を抱えています。「かなり大きな子が生まれてきそうですよ」と慈さんは言い...
ラーメン店・寳龍(ほうりゅう)を後にして、僕たちはダートムーア親子のもとへと向かいました。この時期の日高地方は一面銀世界で、どこまでが道路でどこからが牧場なのか分からないようなところを通って、自分たちの牧場を目指します。ようやく碧雲牧場の紺碧(こんぺき)の看板が見えてきました。実を言うと、僕にとって真冬の牧場は初めての...
翌日、札幌からバスに乗って牧場に向かいました。近くのバス停に到着すると、慈さんが車で迎えに来てくれていました。そのまま車に乗り込み、鵡川(むかわ)の寳龍(ほうりゅう)というラーメン店に向かいました。今日のような寒い日は、何としても寳龍(ほうりゅう)の味噌ラーメンが食べたいと思っていたのです。もしかすると、東京都内で食べ...
「治郎丸さん、お知らせがあります。産まれました!母子ともに無事です!」と滋さんの声がスマホ越しに新千歳空港の到着ターミナルに響きました。 「早くない?」と聞くと、「スピード出産でしたね!」と返ってきました。そんなことってあるのかと思いましたが、滋さんにとってもこれほど早かったのは初めてだそうです。朝、薄い乳ヤニがついた...
「もうソロソロかもしれません」と滋さんから電話がかかってきました。乳房が硬くなりつつあり、この後、乳首の周りに乳ヤニと呼ばれる液体がつくと、出産間近のサインです。予定日まであと4日ですから、たしかにソロソロです。 「乳ヤニがついたらすぐに連絡しますから、準備しておいてくださいね」 「分かりました」 と言葉を交わして、電...
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