「名勝負」を語る 輝きの証明。三冠馬コントレイルが見せた奇跡のような走り - 2021年・ジャパンカップ 2025年11月29日 飛行機雲がひとすじ、空に伸びていく。眩い夕陽が、影を長く引き伸ばす。秋も深まった府中の直線は、どこか哀愁と別れを予感させる。 2021年、ジャパンカップ。正直なところ、この日を迎えるにあたり、私はほんの少し、コントレイルの強さを疑っていた。 三冠馬は、特別な存在であってほしい。圧倒的な強さ。王者の風格。そんな姿を私は求... norauma
「名勝負」を語る 「負けるという選択肢のない」ラストラン! イクイノックスの2023年ジャパンカップを振り返る 2025年11月27日 イクイノックスのラストランとなった第43回ジャパンカップ。圧倒的な強さでライバルたちを退け、歴史に刻まれる完勝劇を演じた。 2023年11月26日。府中競馬場の年間最終レースとなる12レース。芝2400mに集ったのは、リバティアイランド、ドウデュース、タイトルホルダー、スターズオンアース…名だたるGⅠ馬たちである。しか... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 生涯連対率100%のダイワスカーレットが魅せたベストレース/2007年エリザベス女王杯 2025年11月15日 ■生涯連対率100%の「重み」 競馬という舞台に置いて、生涯連対率100%、つまり3着以下が無いという完璧な蹄跡は、勝利の記録以上に「重み」を持つ。昭和の高度成長期真っ只中の時期に登場したシンザンは、19戦19連対という生涯成績で五冠馬となり、競馬史にその名を残している。そして、シンザン引退から41年後、生涯連対率10... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 29年後の現在地。フォーエバーヤングの快挙 2025年11月2日 日本時間の2025年11月2日午前7時25分。 第42回ブリーダーズカップクラシックのゲートが開いた。前年の勝ち馬シエラレオーネ、2着フィアースネス、そして3着だったフォーエバーヤングの3頭がそろい、再戦ムードのなか、スタートは切られた。フォーエバーヤングは五分のスタートから先行態勢をとる。すぐ内にいるフィアースネスの... 勝木 淳
「名勝負」を語る 世界の扉を開いた日。フォーエバーヤングが刻んだ、日本競馬の夜明け 2025年11月2日 2025年11月2日。現地時間11月1日。深く澄みきった青空に西海岸の海風が吹き抜ける、カリフォルニア州・デルマー競馬場。 いくつもの国旗が翻り、世界中の競馬ファンが息を呑んで待つダートの頂上決戦、ブリーダーズカップクラシック。 10年前、いや5年前ですら夢物語に過ぎなかった。もしかしたら、この日を迎えてもなお、その瞬... norauma
「名勝負」を語る 小説家・古井由吉が目撃した、日本競馬の「変わり目」。タマモクロスとオグリキャップが激突した1988年の天皇賞(秋) 2025年10月31日 1.世紀の「芦毛対決」 2025年4月から放送されているアニメ『ウマ娘 シンデレラグレイ』。第1クールの最終話では、主人公オグリキャップと好敵手タマモクロスが初めて激突した天皇賞(秋)の決着が描かれた。カサマツから中央に移籍して破竹の重賞6連勝で天皇賞に出走したクラシック級のオグリキャップと、天皇賞(春)・宝塚記念とG... 縁記台
「名勝負」を語る 驚異の1分56秒1を刻んだ、トーセンジョーダンの天皇賞(秋) 2025年10月29日 ■2000mレコードタイムの変遷 最近、「根幹距離」という競馬用語をよく耳にするようになった。根幹距離の定義は、400mで割り切れる距離のレースのことで1200m、1600m、2000m、2400m、3200mなど、これらの距離が競馬のレース体系の「基幹」を成し、中央競馬のGⅠレースの大半は、この根幹距離で行われている... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 堅実さが武器となった日。エアスピネルが勝利した2017年富士ステークスを振り返る 2025年10月18日 ■富士山と東京競馬場 日本一高い山、富士山。日本一大きい競馬場、東京競馬場。 皆さんは、東京競馬場から富士山をゆっくり眺めたことがあるだろうか。 2007年に完成した東京競馬場のスタンドの名は”フジビュースタンド”であり、天気が良ければスタンドから右手の奥に富士山を見ることができる。そう言いながらもしっかり眺めた記憶は... ムラマシ
「名勝負」を語る 奇跡の血脈から生まれた無事是名馬 - 2019年ハヤヤッコが勝利したレパードSを振り返る 2025年8月10日 ■白毛という奇跡 当記事を書いている2025年8月現在、中央競馬における「白毛」の現役登録馬は7頭(未出走馬含む)。相変わらず珍しい存在だが、筆者が競馬を見始めた2000年前後はもっと珍しく、まさに奇跡の存在だった。 振り返ってみると、日本初の白毛競走馬のハクタイユーがデビューしたのが1982年の2月。その産駒であるハ... ムラマシ
「名勝負」を語る 「モノトーンのぬいぐみ馬?」アエロリットが輝いた、2017年クイーンステークス 2025年8月1日 夏のローカル競馬は名物重賞で綴られる! 夏のローカル競馬。関東圏では、福島の七夕賞で夏が始まり、札幌記念で夏競馬のピークを迎え、新潟最終週の新潟記念で夏が終わる。中弛み期間とも言うべき7月下旬〜8月上旬、ここに、目先を変えたスパイシーな重賞が組まれている。それがアイビスサマーダッシュとクイーンステークスである。前者は新... 夏目 伊知郎