「名馬」を語る 諦めの悪さにこそ力は宿る。ソウルラッシュの現役生活を振り返る 2026年1月2日 2019年の終わりから毎週末の重賞を回顧する記事を書くようになった。振り返る記事は基本的に当然ながら勝ち馬を主役に展開する。なぜなら、競馬は勝つことが第一であり、勝ち馬こそがそのレースの最高だからだ。そうでなければ競馬の価値がおかしくなる。一頭の馬に関わる人々はみな、ただ1着でゴールすることにすべてを注いでいる。その情... 勝木 淳
「名馬」を語る 誇り高き岩手の皇帝 - 漆黒の雄・トーホウエンペラー 2025年12月29日 漆黒の馬体が凍てついた地面を力強く蹴る。砂塵が舞いあがり、蹄音が響く。 厳冬を乗り越えた四肢は、しなやかで逞しく、美しい。ひとつ、またひとつと確かな軌跡を刻んでいく。 東北の雄、トーホウエンペラー。 幾度の冬を超え、皇帝としての才を開花させた。そして地方に在りながら、中央の強豪と渡り合い、その名が示すように、砂の頂へと... norauma
「名馬」を語る グランプリこそ彼女の舞台 - 芦毛のヒロイン・クロノジェネシス 2025年12月28日 ぼくは、アスリートと呼ばれる人たちとは無縁の生活を送ってきた。幼稚園児のころから運動は不得意だったし、小学生になると体育の時間は苦痛以外の何物でもなかった。クラスの中で一握りの「運動が得意な児童たち」の華やかな活躍を冷ややかに眺めている、ノリの悪いその他大勢。そんなクラスのスターたちに対して憧れの気持ちを持っていなかっ... 高橋薫
「名馬」を語る 兄よ、弟よ - ニュービギニングが放ったひとつの輝き 2025年12月27日 私には、6つ年上の兄がいる。 兄は幼少期からずっと賢くて、私とは違う速度で物事を理解していた。 兄の背を追って地元の中学、高校に進学した私に、先生方は決まって兄の話をした。 兄は博士号を取得し、文筆の道に進んだ。 毎日大量の本を読み、思索に沈みながら紡いだ言葉は、やがて賞や書籍という形になった。兄は今、自らの名でキャリ... norauma
「名馬」を語る [有馬記念]イクイノックスという「天才」が教えてくれたこと 2025年12月26日 1.撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり 撰ばれてあることの恍惚と不安と二つわれにあり ヴェルレエヌ 死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目が織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていよう... 縁記台
「名馬」を語る 異国からやってきた、スピード自慢の可憐な少女 - ヤマニンパラダイス 2025年12月14日 まだ私が小さい頃、土日は父に連れられて祖父母のところへ遊びに行っていた。 競馬好きの祖父のために父が場外馬券場へ馬券を買いに行き、その間に彼らの家で私は帰りを待つというのが毎週末のルーティン。その最中、よく私は一口馬主をやっていた祖父の出資馬のビデオテープを手に取って眺めていた。 当時社台レースホースの会員であった祖父... 小早川 涼風
「名馬」を語る 二階級制覇の名馬、モーリス〜グラスワンダー、スクリーンヒーローから受け継ぐ、その血の運命〜 2025年12月13日 1.「クレオパトラの鼻」 「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史も変わっていたであろう」とは、哲学者ブレーズ・パスカルの言。歴史の転換は些細な事象によって起こるものだ、という警句だが、小説家の芥川龍之介はこの説に対して次のような反論を行っている。 クレオパトラの鼻が曲っていたとすれば、世界の歴史はその為に... 縁記台
「名馬」を語る 日本代表「富士山」、三度目の正直。海外挑戦の嚆矢、フジヤマケンザンの香港国際カップ優勝を振り返る 2025年12月12日 ■『2025年・香港国際競走』目前。熱戦への期待に、胸が膨らむ。 毎年12月に施行される香港国際競走は、日本の競馬ファンにとって最も馴染み深い海外競走のひとつと言っていいだろう。 今年の日本からの遠征メンバーも、非常に充実している。 ドバイターフで香港の名馬ロマンチックウォリアーを破ったソウルラッシュを始め、大阪杯二連... 稲庭うどん
「名馬」を語る 小倉の空の下 - アサクサゲンキの長い旅路の終わりに寄せて 2025年12月3日 スタンドの呼吸が、ハッと詰まる。無事に飛越を終えると、溜めていた息がふうとほどけていく。 障害競走を前にするとき、スタンドにはいつもよりも少しだけ、「祈り」の成分が多く満ちるように思う。ただ走るだけでも大変なのに、幾つものハードルを飛び越えなければならない。平地以上に危険を伴うその舞台に身を投じる馬たちへ──ファンはど... norauma
「名馬」を語る 大魔神の愛が生み出した偉大な馬。シュヴァルグランが勝利した2017年のジャパンカップを振り返る 2025年11月30日 ■馬主という大きな存在 競馬を予想する際に、馬主を予想の根拠とする手法はあまり聞いたことがない。筆者も馬柱で馬主の名前には目を通すが、それを予想にまで絡めるかというと、そうでもない。しかし、馬主といえば競馬において非常に重要な存在である。 馬主は競走馬のオーナーであり、馬の購入、育成、調教師や厩舎への預託、レースの出走... ムラマシ