「名馬」を語る わたしの場所はアイビスサマーダッシュ。快速馬カノヤザクラの生涯を振り返る 2025年8月2日 とある夏の、小倉メインレース。自分の推している馬が惨敗した。最後の直線では、誰がみてもバテており、騎手も無理に追わなかったくらいである。その後、彼は暑さが苦手で、ひどい夏負けをしていたことがわかった。 このことがきっかけで、夏競馬は過酷だということに気づいた。たしかに、自分だったら走りたくない。個人的には1週間くらい競... ゆもと さとこ
「名馬」を語る パドトロワ~夏の王者に輝いた、「バレエ一族」3代目の息子~ 2025年7月27日 競馬の勢力図は、目まぐるしく変わる。 が、たとえその絶対的な主役が入れ替わろうとも、その脇を固める有力馬たちの顔ぶれは、意外にも変わらないケースも多い。2010年代の前半、カレンチャンからロードカナロアの2頭がその王座を取り合っていた短距離路線において、パドトロワはまさにそんな存在だった。 ■バレエの血、短距離界で咲く... 小早川 涼風
「名馬」を語る 父から翼を授かって…。大型馬ミッキーグローリーが制した2018年・関屋記念を振り返る 2025年7月26日 ■夏の風物詩 関屋記念 炎天下の中、長い直線を惜しみなく使った激しい攻防が繰り広げられる関屋記念。夏の新潟開催を代表するマイル重賞と言える。筆者が実際に競馬を見始めたのは1999年の秋からなので、関屋記念をテレビで初めて観たのは福島芝1700mで開催された2000年の関屋記念(勝ち馬:ダイワテキサス)だった。新潟競馬場... ムラマシ
「名馬」を語る 松柏之寿 - 若き日のワンダーアキュート 2025年7月25日 1.「松柏之寿」 「松柏之寿」という四字熟語がある。長命であること、節度を守って変わらないことを言う。松や柏といった樹齢が長い常緑樹に、変わらない若々しさを見る語である。この四字熟語の出典は唐の詩人・白楽天の漢詩なので「柏」というのは中国の「コノテガシワ」という品種を指し、日本の落葉樹の「カシワ」とは異なるようだ。 と... 縁記台
「名馬」を語る ターフに笑顔を咲かせて…。スマイルジャック、その歩みと記憶 2025年7月23日 走り続けた一頭の馬がいた。 あとわずか届かずとも、悔しさを噛みしめて、またターフへと向かう。 晴れの日も雨の日も、酷暑も極寒も、陽を浴び風を受けながら、彼は歩みを止めずに挑み続けた。 勝利だけがすべてではない。新たな潮流が吹き抜ける中でも走り続けること、それもまた誇りだった。幾度の戦いを重ね、その名が刻んだ歳月はひとき... norauma
「名馬」を語る 父パイロへ、そして自身の名へ、果たした「義」。ケンシンコウの現役時代を振り返る 2025年7月21日 ケンシンコウは2025年7月6日、約1年ぶりの出走になったジュライSで右前肢跛行のため競走中止となる。さらにそのまま引退し、種牡馬入りするという一報が飛び込んできた。8歳まで25戦し、4勝をあげ、重賞1勝という戦歴だった。 ケンシンコウの馬名の由来は、越後の龍と謳われた上杉謙信にある。謙信といえば、毘沙門天の化身ともい... 勝木 淳
「名馬」を語る 「切れないディープ」が残してくれた夏の思い出 - クランモンタナが制した2016年小倉記念を振り返る 2025年7月20日 ■『切れないディープ』の素質馬 小倉記念と言えばサマー2000シリーズに組み込まれた夏のハンデキャップ競走ということで、これから出世するような若い素質馬が勝つパターンもあれば、ベテラン古馬の復活もあり、斤量の重い実績馬の貫禄勝利もあれば、軽ハンデ馬の激走もある。馬券購入者泣かせの夏の風物詩的なレースである。筆者が小倉記... ムラマシ
「名馬」を語る 凡走か、激走か。唯一無二の重賞ハンター、クラレント 2025年7月19日 長年競馬をやっていると、どこかもどかしく、愛さずにはいられない馬に出会うことがある。 このレースでは盤石と思って応援すれば惨敗、逆に見切りをつければ激走……そんな非常に心をかき乱す、しかしそれでも応援せずにいられないような馬。 デビューから41戦を戦い抜き、重賞は6勝。しかし1番人気に支持されたことは競走生涯で一度もな... 小早川 涼風
「名馬」を語る 諦めなかった者の頭上に、星は瞬く。不屈のファイター、ステラヴェローチェ 2025年7月13日 「頑張ること」 それがどれだけ難しいことか、嫌というほど思い知らされてきた。 諦めずに続ければ、ここでもうひと踏ん張りできれば…。わかっていても、進めない時がある。もう限界だと、辞めてしまう時がある。外的要因で、これまで自分が積み上げてきたものを崩さなければならない時だってある。頑張り続けることは簡単じゃない。 だが、... 小早川 涼風
「名馬」を語る 季節のはざまを駆け抜けて。遅咲きの名馬・カラテの引退によせて 2025年7月12日 2025年7月10日。馬主である小田切光氏のX(旧Twitter)ポストにて、カラテの現役引退が発表された。 49戦8勝。5歳から9歳まで重賞戦線を走り抜けた、遅咲きの名馬であった。 彼は、季節のはざまが似合う馬だった。木々の緑が色を深める5月、夏の熱が落ち着きはじめる9月──。そのどちらでも、彼は重賞ウィナーとしてタ... 鳥野 紗々実