「名馬」を語る ブロードアピール~砂を切り裂く鬼の末脚~ 2020年2月2日 2000年11月12日、エリザベス女王杯開催日。 私は京都競馬場にいた。20世紀最後の競馬界はテイエムオペラオーが無尽の強さを見せつけ、破竹の連勝を飾っていた。古馬の王道路線をひた走るテイエムオペラオーを尻目に、牝馬戦線は少々盛り上がりにかけていた印象もあるが、それでもGⅠともなれば競馬場は人で溢れていた。 そのエリザ... 例の元上司
「名馬」を語る オールブラッシュ~二冠馬の血を繋ぐその日まで~ 2020年1月28日 2017年2月1日、川崎競馬場。 その日行われた交流GI「川崎記念」は、前年の最優秀ダート馬・サウンドトゥルーに、交流重賞3連勝と勢いに乗るケイティブレイブ、大逃げと後方一気でオープン特別を連勝したミツバによる三つ巴の争いが予想され、中央で開催されるGIフェブラリーステークスの陰に隠れることもあるこのレースにも、中央・... Shin
「名馬」を語る 万能こそ、最大の武器〜落語でふりかえる、種牡馬・シンボリクリスエス〜 2020年1月19日 とあるところで、八兵衛さんと五郎兵衛さんが立ち話。 五「よお、はっつあん、この前はあんたのかかぁには世話になったな。よろしく言っておいてくれよ。ところでよ、POGの指名、なににすんのよ」 八「おお、ごろちゃん、それなんだけどよ、これにしようかと思ってさ」 五「おっ、どれどれ。あーそいつはいけねぇや」 八「なんでだよ」 ... 勝木 淳
「名馬」を語る 「その名はスリーコース」 2020年1月12日 1997年2月1日、京都競馬場。 曇天の寒空だった。その日のメインレース、すばるステークスのファンファーレが高らかに鳴り響く。 このレースを最後に引退する、中央競馬では速いスタートで誰にもハナを譲ったことがない、快速韋駄天で鳴らしたスリーコースもゲートインした。 発走態勢が整った、その直後だった。どうやらゲート内で激し... 日刊こうマロネ
「名馬」を語る 1月のライオン~新春の京都で吼えた、とある栗毛馬との思い出~ 2020年1月11日 ある馬を好きになってずっと追い掛けるということは、競馬が好きな人の多くが一度はやったことがある行為ではないだろうか? そして、特定の馬を好きになるキッカケは、人それぞれだろう。 例えば、馬券で高額な払戻金を手にすることが出来たから。例えば、パドックで自分のことをじっと見つめていたから。例えば、名前がカッコ良いと思ったか... 並木 ポラオ
「名馬」を語る シンボリクリスエス〜21世紀に継ぐ伝統の『シンボリ』〜 2019年12月21日 緑・白襷・袖赤一本輪。 多くのオールドファンは、この勝負服を目にすると、ちょっとだけ背筋が伸びる思いを抱く。 登録者はシンボリ牧場。 野平祐二騎手とともに日本馬としてはじめて凱旋門賞に出走したスピードシンボリ、その野平調教師が手がけた気高き皇帝シンボリルドルフは岡部幸雄騎手を背に、日本競馬史上はじめて無敗でクラシック三... 勝木 淳
「名馬」を語る 追い込み競馬の醍醐味~ローズムーン・1994年中山大障害(秋)〜 2019年12月20日 「好きなおかずは、最初に食べる?それとも、残しておいて最後に食べる?」 私に競馬を教えてくれた母親方の伯父さんと、競馬場のレストランでお昼ごはんを食べながらこんな質問をされた。 「楽しみは後に取っておきたいから、最後に食べるかな」「じゃあ、追い込み馬が好きでしょ?」「どうして?」「追い込み馬がやって来るのを待つのと、好... 並木 ポラオ
「名馬」を語る 私を変えた1頭~サトノダイヤモンドとの出会い~ 2019年12月19日 たった1頭との出会いで人は変わる。 1頭の名馬との出会いが、私を競馬に夢中にさせた。 2018年に引退したとあるサラブレッドの存在が、私を競馬にのめり込むきっかけをくれたのだ。 1、出会い 友人に勧められ、始めた『競馬』。 しばらくの間、私にとって競馬はいわゆる"ギャンブル"の1つでしかなく、自分の趣味とはいえるもので... ウマフリライター
「名馬」を語る 『if』の中の帝王 2019年12月13日 競馬に限らず、勝負の世界では「もしも」や「たら」「れば」といった言葉は禁句とされている。 それでもなお、見ている者からすればそれらの言葉を使ってしまいそうになる瞬間がある。 もしも、あの馬が無事でいたならば……未来はどんなふうに変わっていただろう? 今回はそんな思いに僕を駆り立てる馬、2000年の朝日杯3歳ステークスで... ウマフリライター
「名馬」を語る エスポワールシチー~相棒とともに歩んだ希望~ 2019年11月29日 「エスポくん」 佐藤哲三騎手(当時)が勝利騎手インタビューでエスポワールシチーをあだ名で表現したことから、この名前は競馬ファンの間に広まった。幾多の名馬のなかでも愛称が『クンづけ』だった馬はあまり記憶にない。 ステキシンスケクン、ヨシカワクン、最近ではハヤブサナンデクン、船橋のグランプリクンなど馬名にクンがつく、いわゆ... 勝木 淳