小柄でパワー型で粘り強いといえば、ステイゴールド産駒の特徴の一つであろうか。三冠馬のオルフェーヴルや破天荒で予測不能なゆえにファンが多かったゴールドシップ、障害の絶対王者と称されるオジュウチョウサンなど、個性的で強い産駒たちも父同様に愛されている。今回はそんなステイゴールド産駒の一頭・レッドリヴェールについて語ろうと思...
コラム・エッセイ
コラム・エッセイの記事一覧
1.寺山修司との出逢い 「言葉の錬金術師」と評された文筆家・寺山修司のことを、私が競馬評論家として認識したのはいつだっただろうか。はっきりとは覚えていないのだが、そのきっかけとなった言葉は覚えている。 レースはただ、馬の群走にすぎないがその勝敗を決めるナンバーは、思想に匹敵する──寺山修司『ポケットに名言を』(角川書店...
21世紀の在来牝系 2023年は競馬法制定から100年目にあたる。日本の洋式競馬のはじまりはもっと早く、江戸時代末期、薩摩藩士がイギリス人を殺傷した生麦事件の賠償の一環として、幕府は横浜の根岸にある高台に西洋式競馬場を建設した。これがのちの横浜競馬場だ。日本初の洋式競馬主催団体は大隈重信らが発起人となった日本レース倶楽...
2021年からは晩夏に行われるようになった佐賀の名物重賞・サマーチャンピオン。文字通り「夏の王者」を決める戦いであり、暑さを忘れるような熱戦が毎年繰り広げられる。本稿で取り上げるのは2011年の当レースで復活の勝利を挙げたスーニ。現在も佐賀のレコード一覧に燦然と名が輝いている。 4歳時までの同馬を表す言葉は「天才」だろ...
2023年7月5日。川崎競馬場で行われたスパーキングレディーCは5歳牝馬レディバグが2番手から抜け出し、南関東代表スピーディキックの猛追をしのぎ、重賞初制覇を達成した。レースが終わった約20分後、X(旧ツイッター)にこんな投稿がされ、競馬ファンをざわつかせた。 https://twitter.com/miraculou...
馬の気持ちがくみとれるわけではないが、勝手に想像してみたりすることはある。ようは妄想に近い。パドックに出てイレ込むのは大勢の人間に囲まれてしまい、緊張して舞い上がっているのではないか。レースが始まる直前、ゲート裏で尿をたすのは、プレッシャーからの一種の逃避だったり、出すものは出して、すっきりした気分で本番に向かおうとい...
温和な笑みを携えて颯爽と馬に跨ると、「怖くないかい」「がんばろうね」と語り掛けるように何度も優しく優しく愛撫する。パドックを周回し、本馬場入場を終え、ゲートに向かい、レースを駆け抜け、そして引き上げる…その一連の中で、彼の周りには暖かく穏やかな光が射しているように思える──。 それが、酒井学騎手だ。 彼が競馬場で見せる...
競馬界の「二刀流」とは? 世間の「二刀流」といえば、誰もが認める大谷翔平ではないだろうか。では、誰もが認める逸材だが、競馬界の「二刀流」といえば誰だろうか。 競馬の世界では芝とダートのG1を制した馬が、それに該当するのではないか。JRAでのダートのG1レースといえば、フェブラリーステークスとチャンピオンズカップ(201...
岩手競馬、お盆の名物重賞といえばクラスターCだ。東京盃やJBCに繋がるダートグレード競走。毎年、地方や中央の快速馬が一堂に会し、競馬場も大変多くのファンで賑わいを見せる。過去の勝ち馬を見れば、サウスヴィグラス、サマーウインド、ラブミーチャン、マテラスカイ……。ダート競馬を知っているファンならば「おお!」と声が出るような...
8月8日、菊花賞馬アスクビクターモアが熱中症による多臓器不全で亡くなりました。宝塚記念を走り終え外厩先で秋に備えていた矢先の出来事でした。 数少くなったディープインパクト産駒。母カルティカ、母父レインボウクエストの鹿毛馬であるアスクビクターモアは、2020年セレクトセールで1億8,700万円で取引されました。馬名の意味...
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語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
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[重賞回顧]天性のセンスがまたも爆発! ジャンタルマンタルが隙のない完璧な競馬で3歳ベストマイラーの座を獲得~2024年・NHKマイルC~
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[重賞回顧]師弟で掴んだ王者の称号。長期休養を乗り越えたテーオーロイヤルが古馬最高の栄誉を獲得!~2024年・天皇賞(春)~
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[重賞回顧]美しいレース運びで惜敗続きにピリオドを打ったアドマイヤベルが、オークスの優先出走権を権得!~2024年・フローラS~
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[重賞回顧]天まで届け勝利の凱歌。史上まれに見る混戦を制したのはジャスティンミラノ!~2024年・皐月賞~
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[重賞回顧]中118日の雪辱劇!『マジックマン』に導かれたステレンボッシュが、逆転で桜の女王を戴冠~2024年・桜花賞~
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[重賞回顧]躍進著しい上村厩舎の大黒柱ベラジオオペラ。ダービーの雪辱を果たし、GⅠ初制覇を達成!~2024年・大阪杯~
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[重賞回顧]雪辱vs雪辱の死闘を制したマッドクールが、待望のGⅠ初制覇~2024年・高松宮記念~