![[レパードS]ミッキーファイト、ミラクルレジェンド、アジアエクスプレス。レパードSを制した栗毛馬たち](https://uma-furi.com/wp-content/uploads/2026/08/2026080501.jpg)
公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルで認められているサラブレッドの毛色は全部で8種類。その中で、鹿毛に次いで多いのが栗毛である。被毛は黄褐色で、長毛は被毛より濃いものから淡く白に近い色まであり、陽の光によく映える。タイキシャトルやテイエムオペラオー、オルフェーヴルら一時代を築いた名馬も栗毛である。
一方、現役時のみならず種牡馬としても歴代トップクラスの成績を残したディープインパクトの産駒に栗毛はいない。鹿毛遺伝子は栗毛遺伝子に対して顕性で、父と母それぞれから鹿毛遺伝子を受け継いだ(ホモ鹿毛)ディープインパクトの直仔からは栗毛が誕生しなかった。
そして今週おこなわれるダートの重賞レパードSは、過去3頭の栗毛馬が勝利し、2026年は5頭の栗毛馬が登録している。今回は、レパードSを勝利した栗毛馬を振り返りたい。
■2024年 ミッキーファイト
ドレフォン産駒で、半兄にチャンピオンズCを制したジュンライトボルト、3代母に名牝エアグルーヴがいるミッキーファイトは、10月東京・ダート1600mの2歳新馬戦でデビューを果たした。
その初戦はスタートで出遅れ、道中は中団を追走したものの勝負所でなかなか差を詰められず、先頭から8馬身ほど離れた位置で直線を迎えた。それでも、徐々に末脚を伸ばして先行各馬を次々に交わしさると、最後は勝利目前だったセントラルヴァレーが大きく寄れた隙を突き、内から交わして先頭ゴールイン。チグハグな内容ながらも初陣を飾ってみせた。
続く2戦目は中山・ダート1800mの2歳1勝クラスで、ここは2着に5馬身差をつけて圧勝。初戦がフロックではないことを証明したものの、それ以来4ヶ月半ぶりの実戦となったユニコーンSは3着に敗戦。さらにそこから3ヶ月半の休養をはさんで出走したのがレパードSだった。
このレースで、単勝オッズ2.2倍とやや抜けた1番人気に推されたミッキーファイトは、最内枠から五分のスタートを決めると、難なく好位3番手を確保。向正面では、馬群の外に出すことに成功した。その後に迎えた直線では、先に抜け出したサトノフェニックスの抵抗にやや手を焼いたものの、ゴール前でこれを差し切り1着ゴールイン。着差は1馬身でも完勝といっていい内容で重賞初制覇を成し遂げ、3着に好走したミッキークレストもまた、同じ野田みづきオーナーが所有する栗毛馬だった。

ミッキーファイトは、続くジャパンダートクラシックでフォーエバーヤングに敗れたものの最後まで同馬を追い詰め、0.2秒差2着と好走。翌年の帝王賞でGⅠ級初制覇を成し遂げ、それ以来の実戦となったJBCクラシックも連勝した。
さらに、今シーズンはかしわ記念2着から臨んだ帝王賞でレース史上2頭目となる連覇を達成。この秋は、9月30日におこなわれる日本テレビ盃から始動を予定している。
■2010年 ミラクルレジェンド
フジキセキ産駒の牝馬ミラクルレジェンドは、栗東・藤原英昭厩舎からデビューを果たした。初戦は8月札幌・芝1500mの新馬戦で、6着に敗戦。さらにそこから芝のレースを2戦したものの、年内に勝利をあげることは叶わなかった。
実戦復帰は4ヶ月半後の翌年4月で、陣営はダート戦に狙いを定めた。すると、この決断がピタリとはまり、小柄な馬体をものともせずに躍動したミラクルレジェンドは一気に3連勝を達成。さらに、GⅠ級初挑戦となったジャパンダートダービーでも勝ち馬から0.1秒差4着と善戦し、中4週で臨んだのが創設2年目のレパードSだった。
このレースで、牝馬ながらソリタリーキングに次ぐ2番人気に推されたミラクルレジェンドはスタートでわずかに出遅れ、後方2番手を追走。前のペースが速いせいか、序盤はやや追走に苦労する場面も見られた。
それでも、向正面から徐々に盛り返しを図り、中団8番手で迎えた直線。もう一段ギアを上げると、残り100mで先に抜け出していたグリッターウイングとの差を一気に詰め、最後は馬体を併せてゴールイン。写真判定の結果、ミラクルレジェンドがハナ差先着しており、ダート転向からわずか4ヶ月で重賞初制覇を成し遂げたのだった。
このときミラクルレジェンドの馬体重は428キロで、これはレパードS史上最小馬体重での優勝。また、牝馬のレパードS制覇は他に2023年のライオットガールしか成し遂げていない偉業で、栗毛馬によるワンツーが実現したのもこの年が唯一である(いずれも2025年時点)。
その後、牝馬限定のダートグレード競走を中心に出走を重ねたミラクルレジェンドは、翌11年に創設された第1回JBCレディスクラシックを優勝。翌年も連覇を達成した。
また、小柄な馬体を感じさせない走りで一線級の牡馬とも熱戦を繰り広げ、6歳のエンプレス杯(1着)で引退するまで通算成績は25戦12勝。うち重賞8勝。7着以下なしという素晴らしい成績を残し、とりわけ牝馬限定のダート戦では[7-1-2-0]と、無類の強さを誇った。
■2014年 アジアエクスプレス
2021年と22年に、ダート総合(中央+地方)のリーディングサイアーとなった大種牡馬ヘニーヒューズ。アジアエクスプレスは同馬が米国で繋養されていたときの産駒で、美浦・手塚貴久厩舎からデビューを果たした。

初戦は11月東京・ダート1400mの2歳新馬戦で、2着に5馬身差をつけて勝利すると、2戦目のオキザリス賞は7馬身差で圧勝。デビューからわずか3週間、ダートでは世代トップクラスの地位に上り詰めた。
ところが、出走していれば上位人気ほぼ間違いなしだった全日本2歳優駿の抽選に漏れ、アジアエクスプレスは除外となってしまった。そこで陣営は芝の世代ナンバーワン決定戦、朝日杯フューチュリティSに目標を切り替えた。するとこの決断が功を奏し、英国の名手R.ムーア騎手に導かれるように直線でパワフルな末脚を繰り出し完勝。グレード制導入以降、前走ダート戦出走馬がJRAの2歳GⅠを勝利した例はこれが唯一で、見事、芝の2歳王者に輝いたのだった。
しかし、一転して翌春は勝ち切れないレースが続いた。シーズン初戦のスプリングSで2着に敗れ初黒星を喫すると、皐月賞は6着に敗戦。さらに、ダート戦に戻って確勝を期したはずのユニコーンSではよもやの12着と大敗し、名誉挽回を図って臨んだのがレパードSだった。
前走に続き、このレースでも1番人気に推されたアジアエクスプレスは五分のスタートを決めると、序盤から積極的な競馬で好位3番手を確保。前2頭にプレッシャーをかけるような格好でレースを進め、なおかつ絶好の手応えで4コーナーを回った。
直線に入ると、逃げ込みを図ったクライスマイルとしばらくは併走状態が続いたものの、残り200m地点でこれを競り落とすと、そこからは独壇場。後続を一気に突き放し、最後はクライスマイルに3.1/2馬身差をつけ先頭でゴール板を駆け抜けた。また、クビ差3着でアジアエクスプレスと同じく上がり最速をマークしたランウェイワルツも栗毛だった。
その後、骨折や脚部不安に見舞われたこともあり、結果的にこれが最後の勝利となったものの、父を一躍人気種牡馬へと押し上げたアジアエクスプレスは16年12月に引退、種牡馬入りを果たした。産駒からまだGⅠ馬は誕生していないものの、牝馬ピューロマジックは芝の重賞を5勝。とりわけ、先日おこなわれたアイビスサマーダッシュは、コースレコードを24年ぶりに更新しての圧勝と出色の内容だった。また、ドンインザムードは25年のレパードSでレース史上初となる父仔制覇を成し遂げ、26年もオープンを2勝するなど活躍。他にも地方重賞勝ち馬を数多く送り出している。
写真:すばる、Horse Memorys
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