[今週の注目]漆黒の新星、アイビーSへ! - ラガリーガが描く未来の輪郭

秋の府中、そして京都の開催が始まって3週目。京都では秋華賞が行われ、秋のGⅠシリーズは早くも佳境を迎える。今年の秋華賞には「令和のファインモーション」と噂される無敗のモンローウォークが登場し、どんな走りを見せるのか注目が集まっている。そして来週には、ロブチェンが三冠に挑む菊花賞が控える。

今年の3歳クラシックロードが完結へ向かう一方で、競馬ファンの視線は自然と来年へ向かう。開催が進むにつれ、2歳の有力馬たちが続々とデビューし、評判馬が圧勝したり、まったく噂になっていなかった馬が鮮烈な走りを見せたり——毎週の新馬戦がもっとも面白くなる季節になってきた。

普段はメインレースを目当てに昼前後に競馬場へ向かうことが多いが、この時期ばかりは午前中からパドックに足を運び、2歳未勝利戦や新馬戦の注目馬を見に行ってしまう。毎週のPOG界隈も盛り上がり、来年のクラシック戦線を彩る素質馬を探す楽しさが増していく。

2歳馬のレースが面白いのは、新馬戦だけではない。午後に組まれる2歳の特別戦や重賞も、メンバーが揃い見逃せないレースが多い。俗に「2歳の登竜門」と呼ばれるレースが、秋の府中・京都には数多く存在する。

その中で、私が特に注目している府中の特別レースが3つある。

まず一つ目は、11月後半のGⅡ・東京スポーツ杯2歳S。暮れのホープフルS、そして翌年のクラシックに直結するレースとして、2歳馬の「真打」が姿を見せるレース。昨年の覇者パントルナイーフは脚部不安で調整に苦しみながらも、日本ダービーであわやの2着に健闘。一昨年はクロワデュノールが強烈な勝ち方を見せ、そのままダービー馬となった。さらに遡れば、イクイノックス、コントレイル、ワグネリアン——競馬史に名を刻む名馬たちが優勝馬欄に並ぶ。

二つ目は、11月初旬の府中2000m・百日草特別。この時期の東京2000mは価値が高く、将来の府中のGⅠを狙う馬にとっては必須とも言える経験だ。古くはアドマイヤミヤビやルージュバックといった牝馬の大物が勝ち、近年ではエフフォーリア(2020年)、アーバンシック(2023年)が制しており、中長距離GⅠへのステップレースとして存在感を増している。

そして三つ目が、今週土曜の1800mリステッド競走・アイビーSである。百日草特別が1勝クラスであるのに対し、アイビーSは勝てば収得賞金加算でオープンクラスへ昇格できる重要な一戦だ。過去の優勝馬も豪華で、一昨年のマスカレードボールは皐月賞2着、日本ダービー3着を経て、夏を挟んで天皇賞(秋)を制覇。さらに遡ればドウデュース、クロノジェネシス、ソウルスターリングなど、歴代優勝馬欄にはGⅠ馬の名が連なる。

■今年のアイビーSの注目馬は?

今年のアイビーSには13頭が登録。リステッド昇格後の2019年以降、出走頭数は8頭以下で推移しており、有力馬が集まるため回避も出やすい。今年も同程度の頭数になるだろう。

その登録馬の中で、私がもっとも注目したいのがラガリーガである。

父キズナ、母ラサルダン。美浦・手塚貴久厩舎に所属する青鹿毛の牡馬で、デビュー前からPOG界隈で争奪戦になった評判馬だ。500キロを超える雄大な馬格、漆黒の青鹿毛の馬体は目を引く。

デビューは6月の府中マイル戦。パドックでは堂々とした周回で人気を集め、鞍上がC.ルメール騎手ということもあり1.9倍の支持を受けた。

ややゆったりとしたスタートから中団外を追走し、直線での末脚に期待がかかったが、外目に進路を取ったラガリーガは伸びを欠き8着。まだ仕上がり途上だったのだろう。ここから再調整に入った。

再び姿を見せたのは8月の新潟・内回り2000m未勝利戦。鞍上に坂井瑠星騎手を迎え、前走大敗にもかかわらず「こんな馬ではない」との期待を背負い1番人気に推された。

淡々としたペースの中、逃げるマハロハをシアルナーレとともに追走。3頭の先頭集団のまま直線へ向かうと、内から仕掛けたシアルナーレをラガリーガが力強く捕らえ、残り200mで交わして押し切った。着差は3/4馬身ながら、3着には5馬身差。走破タイム2分0秒0は、新潟芝内回り2000mの2歳レコード。順当に良化を示し、2戦目で堂々の初勝利を飾った。

■「ラ・ガリーガ」?

そして迎える3戦目がアイビーSである。

デビュー前からPOG誌がこぞって「来年の期待馬」として名を挙げたラガリーガが、ここをステップにクラシック戦線へ乗ることができるのか。夏を越えて研ぎ澄まされた漆黒の馬体が、秋の府中でどんな一歩を踏み出すのかを確かめたい。

普通に馬名を読むと「ラガリーガ」と流れるように口にしてしまうが、実況では前半を強く置く独特のイントネーション──「ラ・ガリーガ」。

まだ耳に馴染みきらないその響きが、むしろ新しい才能の誕生を予感させるようなトーンである。今週末のゴール前の実況でも、「ラ・ガリーガ」を是非連呼してもらいたい。

ラガリーガは、2歳戦線の風向きを変える一頭となれるのか──その答えは、今週末のアイビーSが教えてくれる。

「来年のダービー馬は、この馬だ!」

土曜日の午後、東京競馬場のスタンドでそう叫びたいものである。

Photo by I.Natsume

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