[ダービー卿CT]難解な中山マイルのハンデ重賞。今年は豪華メンバーが集結! - 重賞プレビュー

モーリスらを輩出したマイル重賞。
トリッキーさを克服するのはどの馬か!?

4月1日土曜の中山メインはダービー卿CT。
トリッキーな中山芝1600Mのハンデ重賞という事で、非常に難解な重賞です。昨年は11番人気のタイムトゥヘヴンが勝ち、2着に12番人気のフォルコメンが入る大波乱の決着。今年も混戦間違いなしのこのレース。波乱の決着になるのでしょうか?

ダービー卿CTは6月に行われる安田記念と同じマイル戦ですが、安田記念の結果にはなかなか繋がらないという側面も持ちます。過去10年でもダービー卿CT→安田記念で続けて好走したのは、15年モーリス(1着→1着)と16年ロゴタイプ(2着→1着)だけです。この2頭に関しては歴史的な名マイラーでもあるので、コースが違ってトリッキーなレースとなっても、能力そのものが上だったという事でしょう。他の好走馬は5月の京王杯SCで結果を出した馬がいるものの、安田記念に進んだ馬は結果を出せていません。中山コースかつハンデ戦と、安田記念で求められる能力とは大きく異なっているということは覚えておきたいです。

今年は出走馬すべてが実績馬?
例年以上のハイレベルなハンデ戦に。

安田記念に直接結びつきにくいハンデ重賞ということもあって、ここに出走する馬たちはこのレースが初重賞挑戦という馬、軽ハンデで激走を期待するという馬が多かったダービー卿CTですが、今年はどうやら様子が違いそうです。

出走馬16頭中、8頭が重賞勝ち馬であり、5頭がリステッド勝ち馬。残る3頭は昨年のNHKマイルカップ5着のインダストリア、昨年の毎日王冠2着のジャスティンカフェ、そして7戦4勝2着2回のレッドモンレーヴですから、いかにハイレベルなメンバー構成かが分かります。

今年は、まさに『どの馬が勝ってもおかしくない』ハンデ重賞と言えるのではないでしょうか。

勝敗を分けるのは馬場状態か。

難解なハンデ重賞の上、さらに頭を悩ませそうなのが馬場状態です。

ここ2週の中山コースは雨の影響でかなり馬場が悪化してしまいました。
先々週の土曜が重、日曜がやや重での開催。そして先週の土日が不良馬場での開催と2週続けてかなり時計のかかる馬場でレースが行われまています。

今週はBコースに替わり、内の悪い部分がカバーされるかと思いますが、それだけに速い馬場になるのか時計のかかる馬場になるのか、先行有利か差し有利か、内と外どっちが有利になるのか──といった判断するのは難解と言えるでしょう。それゆえに、中山コース適性がより重要視されるのではないでしょうか。

ダービー卿CT 注目馬紹介

ジャスティンカフェ - 実績はメンバー中トップクラス。初の中山コースに対応できるか。

実績でいえば、ジャスティンカフェに注目が集まります。

昨年、レコード決着となった毎日王冠では、G1馬達を相手に2着と、堂々たる力を見せました。
今年初戦の東京新聞杯では直線で追い込んできたものの4着と、こちらは残念な結果に。

脚質上、展開が向かないと脆い一面があるのは事実ですが、純粋な能力ではG1でも勝ち負けできるほどでしょう。今回は叩き2走目で、ルメール騎手を迎えて万全の体勢です。初の中山、58キロでも中心視すべき存在です。

レッドモンレーヴ - 蛯名厩舎、重賞初制覇を目指して。名伯楽から受け継いだ1頭。

今年のダービー卿CTは実績馬が揃いましたが、目標がもっと先にある馬もいます。
ハンデ重賞らしく、このレースを勝ちたいキャリアの浅い馬に注目すべきでしょう。
近走の勢い含め、レッドモンレーヴは注目です。

ここまで7戦4勝2着2回と素晴らしい成績を残していますが、デビューは昨年2月に解散した藤沢和雄厩舎。2戦目で初勝利を挙げると3戦目は共同通信杯に挑戦するも6着に敗れます。自己条件に回った次走は藤沢先生の引退週。そのレースを勝って引退に花を添えました。厩舎解散後は厩舎を引きついだ蛯名厩舎の所属になり、同厩舎所属の緒戦で藤沢先生の名前を冠したレジェンドトレーナーカップを勝利しています。

その後2戦してOP入り、改めて重賞に挑みます。
クラシックを諦めて馬の成長を待ち、じっくりと力をつけてマイル重賞へ──。藤沢厩舎"らしさ"を感じさせる同馬。名伯楽にとって最後の勝ち馬が蛯名厩舎で初重賞制覇となれば、新たな競馬の名場面になるのではないでしょうか。こちらも楽しみな1頭です。

べレヌス - 展開と馬場を味方に押し切りを狙う。

人気を背負うジャスティンカフェを中心に、有力馬はやや差し馬が多いメンバー構成。
Bコース替わり初日ということを考えれば逃げ・先行馬に展開利があるかもしれません。

このレースでも逃げる可能性が高いべレヌスの動向には注目でしょう。
逃げ馬としてはウイングレイテストもいますが、同馬は前走の小倉大賞典で逃げて8着だったので、時計のかかる馬場が向かない可能性もあります。また、他にもファルコニアという有力馬がいますし、有力馬の多くが差し、追い込み馬という点、べレヌス自身が58キロを背負うという点を考えれば、逃げてもマークされない可能性もありそうです。ファルコニアは58.5キロと先行争いをするのは厳しい斤量なので、スタートを決めれば逃げ切り勝ちも、十分あるのではないでしょうか。

近2走が9着、16着と残念な結果ですが、逆にマークが薄くなるという点ではプラスでしょう。『逃げる穴馬は忘れたころに好走する』とよく言われますが、そろそろべレヌスが好走する番かもしれません。

ゾンニッヒ - ここ2戦は同コースで上がり最速。好位置からの競馬で初重賞でも互角以上に。

メンバーを見渡すと逃げや追い込みなど極端な脚質を持つ馬が多いメンバー構成なので、道中は縦長の馬群で進む可能性もあるでしょう。そんな展開を経験してこのレースに挑むのがゾンニッヒです。

3歳時は1勝クラスの身でしたが、昨年の4歳時になって一気に成長。圧巻だったのは2走前の若潮Sです。
馬体重がプラス16キロ、ハンデ戦でトップハンデの57キロを背負いながら上り3ハロン33秒8という素晴らしい切れを見せて快勝。しかもこの時の勝ちタイム1分32秒7は持ちタイム2位ですから非常に価値ある勝利でした。

前走の東風Sでは逃げたノルカソルカが2番手以降を離していく大逃げ展開。そんな展開でも上り3ハロン最速の33秒4の脚を見せますが2着に食い込んでいます。どんな展開になっても切れる脚を使えますし、今回も同コースで上がり最速を出せる可能性十分でしょう。

今回は56キロと斤量が軽くなりますので十分上積みもあります。
騎乗するのは菅原明騎手。同期の団野騎手が先週高松宮記念を勝っているので今週は思うところもあるでしょう。他馬の動向に合わせられる立ち回りができるので、あとは菅原騎手のエスコート次第で重賞制覇も十分あるのではないでしょうか。

スカーフェイス - 中距離路線からマイル路線へ。転厩で新たな可能性を引き出せるか。

ハンデ戦は前走で敗れた馬が、軽ハンデをもらって巻き返すというのが狙いの一つではあります。
そうした意味では、前走の大阪城Sを勝って挑むスカーフェイスには注目が必要です。

今年の2月末までは橋田厩舎に所属していましたが、解散後は中竹厩舎に所属。
その緒戦の大阪城Sを快勝しています。

これまでは2000Mを中心に使われてきましたが、今回マイルに短縮したのは好印象です。前走の大阪城Sでは大外枠からうまく立ち回って勝ち。うまい立ち回りができる馬なので、今回の舞台設定はピッタリと言えます。

3歳馬で、これまで中距離路線で差の無い競馬をしていた馬が、マイル路線に入って結果を出すというのはよくある話ですが、古馬でも同じことが言えるかもしれません。転厩、路線変更で一気に重賞制覇してもおかしくはないでしょう。

ミスニューヨーク - 中山芝マイルは得意の舞台。牡馬相手でも豪快に差し切れるか?

馬場状態が読めないですし、その中でどう展開していくのか不明なレースになりそうですので、コース実績はより重視されるのではないでしょうか。

コース実績という点ならターコイズS連覇のミスニューヨークに注目です。

直線がやや短めの中山芝1600Mで追い込んで買った実績は、コース適性の高さを証明しています。
対牡馬という点では昨年秋の京成杯AHで4着という結果でしたが、秋の開催の開幕週でのレースだったので高速馬場となり、しかも前半がスローという展開は完全にこの馬には不向きな展開でした。

重、やや重馬場で結果を出しているように時計がかかる馬場向きの馬ですので、今回は馬場を味方につけたいところです。コース適性を存分に発揮すれば良い走りができるはずです。

重賞勝ち馬が8頭と例年以上に多い上に、馬場状態が不明、脚質もバラバラとなった今年のダービー卿CT。
縦長の馬群になって、先が全く読めないレースになるのではないでしょうか。非常に難解なこのレースですが、この記事が皆さんの参考になれば幸いです。

写真:かぼす

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