[連載・クワイトファインプロジェクト]第55回 初勝利と、これからのこと

クワイエットエニフの初勝利からちょうど1カ月がたちました。エニフはその後2度レースに出走しています。さすがに相手が一気に強化されましたので苦戦しておりますが、いずれ賞金カットでまた下のクラスで戦えるので、今は強い相手に揉まれる時期だと思っています。7/14のレースもブービー負けでしたが、先行グループには付いていけたので現状での自分のレースは出来たのではないかと。

さて、初勝利について少しだけ振り返ります。

レース前の土日は「エレガントラウル2026」の取材も兼ねて九州にいたのですが、出馬登録のメンバーと920mという条件を見て「勝つならこの条件しかない。というよりも、この条件で勝てなければもう名古屋では勝てないだろう」と思い、ものすごいプレッシャーを感じました。強力なライバルは前回コラムでも触れたテルケンレンダー号でしたが、920mならエニフの方が距離適性で有利だろうし、2度先着を許しているヴィヴィアンワン号もいましたが充実度ではこちらも負けていない、今度こそ先着できるのではとの期待もしつつ。

そして、土日の時点では6/16の仕事の調整がつくかわからなかったのですが、何とか現地に行ける見込みが立ったのですぐに新幹線を手配しました。

今回は枠順も味方しました。エニフが4番枠、ヴィヴィアンワン(5番)は後ろからの馬なのでいいとして、先行組のライバルであるヤマサークルが大外10番、テルケンレンダーが9番、願ってもない枠順になりました。

結果が出た今だからこうして振り返ることが出来ますが、これだけ好条件が揃って負けたらどうしようかと、本当に胃が痛かったです。

レース後、井手上調教師や木之前騎手と少しだけ話しました。木之前騎手は次の騎乗もあったので本当にあいさつ程度でしたが、「やっと勝てました!」と満面の笑顔でした。父クワイトファインに騎乗していたことも覚えていました。ちなみに父子ともに騎乗経験あるのは本稿執筆時点では木之前騎手だけです。調教師からは「今回は時計が早かったね」とのことでした(勝ち時計57秒7)。作戦までは聞けませんでしたが、テルケンレンダーやヴィヴィアンワンに追走で脚を使わせて末脚を封じるべく、「肉を切らせて骨を断つ」作戦を取ったのかなと推察します。もちろん、ハイペースで飛ばせばエニフ自身が直線失速のリスクもあったわけですが、今回はそれだけ状態が良かったのでしょう。

距離、相手関係、馬の状態、枠順、すべてが揃い、絶好の条件で勝つべくして勝ったという意味では、次にこういうタイミングが来るのは果たしていつになるだろうと思います。ここまで揃うことは滅多にありません。そのチャンスを馬がしっかりものにしたのですから、まずはエニフを褒めたいと思いますし、井手上調教師、厩舎スタッフの皆様、木之前騎手、そしてこれまで関わってくれたすべての皆様に感謝申し上げます。

さて、思い出に浸れるのもここまで。産駒たちには日々の戦いが待っています。そして、期待の1歳牡馬「ライジングテイオー」号は馬名登録も済み、生まれ育った柏木牧場を離れ育成牧場に移動しています。

入厩先については、かなり悩みに悩んで、今のところ門別競馬(厩舎名は今のところは伏せておきます)に入る予定ですが、「クワイトファイン×バトルクウ」の3姉弟がそこまで早熟というタイプではないので、門別のハード調教がうまくフィットしてくればいいですが不安も大きいです。とは言え、注目も高いうえに結果もある程度求められる馬ですから、私自身も調教師に任せきりにせずにこまめに門別に脚を運んで、馬の状態を共有しながら進めていきたいと考えています。

そして、当歳馬の牡馬「エレガントラウル2026(幼名シロー)」も元気に育っています。この仔については、もちろん牧場さんの所有馬なので部外者の私がどうこう言えるわけではありませんが、出来れば庭先取引で早めにオーナーが決まって欲しいなと個人的には思います。その辺りはいずれ動画でご報告したいと思います。

貴重なバイアリーターク系という関連で言えば、パールシークレットの当歳馬も何頭か誕生しています。そのうちの1頭を見る機会に恵まれましたが、欧州のスプリンターっぽい雰囲気のある仔たちが産まれてきています。オーナー所有なのかマーケットに出るのかは馬それぞれでしょうが、どの仔も順調に育ってほしいなと思います。

最後にいくつかご報告。クワイトファイン号について、データベースではまだ生きていることになっているというご指摘がありました。私の方でジャパン・スタッドブック・インターナショナルに異動届を提出しました。また、母バトルクウについて、データベースでは「転売不明」となっていましたがこちらも「用途変更」に標記を変えるべく異動届を提出しております。繁殖引退後は「ホーストラスト北海道」に移動しいまはのんびりと余生を送っています。繁殖牝馬は乗馬への転向が難しいため、こちらもかなり悩みましたが、功労馬としての余生を選択しました。限られた経営資源をどう配分するか、悩みは尽きませんが、引き続きプロジェクトの本懐を遂げるべく最大限努力してい参りますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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