「名勝負」を語る 振り返れば伝説だった。そんなこともある。 - 2011年シンザン記念・レッドデイヴィス 2023年1月9日 戦後初の三冠馬シンザンには「二足歩行で50m歩いた」「消えたシンザン」など伝説が多い。シンボリルドルフがあらわれる80年代まで「シンザンを超えろ」はホースマンたちの合言葉だった。 戦後競馬界の象徴たるシンザンの名を冠したのがシンザン記念。新春の関西圏を彩る名物重賞だ。3歳限定のマイル戦はクラシックを戦う器かどうかを試す... 勝木 淳
「名馬」を語る 世紀末を生きた人たちへ。ミッキーダンスがたどり着いた混沌の先。 2022年12月4日 20世紀最後の年である西暦2000年は、ミレニアムイヤー。遠い記憶を年表とともにたぐり寄せてみる。バブル崩壊直後の90年代は不安の時代。就職難、リストラと将来を保証されないことがデフォルトになりつつある、ライフバランスの転換期でもあった。私が大学生だったころ、自立とはなにか、これからの人生観とは。そういった新しい価値観... 勝木 淳
「名勝負」を語る 必殺技の奥に隠された「秘技」に惑う。インカンテーションのみやこSを振り返る。 2022年11月4日 ダートを主戦場に活躍する馬は実に息長く活躍し、その場所を選ばない。JRAだけではなく、NARのダートグレードでも走る。日本全国を出走するために飛び回り、稼ぐ。いわば、さすらいの賞金稼ぎ。ちょっとやそっとではできない生き方は羨ましくも感じる。 まるで巡業するプロレスラーだ。ただ、最近のプロレスはネットのライブ配信があり、... 勝木 淳
「名勝負」を語る 数センチでも負けない!グラスワンダーに宿る不思議な力に魅せられて……。 - 1999年毎日王冠 2022年10月10日 栗毛の怪物といえばグラスワンダー。1996年キーンランド・セプテンバーセールで尾形充弘調教師の目にとまり、25万ドルで落札。翌年の秋にデビュー、4連勝でGⅠ朝日杯3歳S(現フューチュリティ―ステークス)を制覇。栗毛の怪物というニックネームはその朝日杯でリンドシェーバーのレコードを塗りかえた1.33.6を象徴する。その後... 勝木 淳
「名勝負」を語る そんなステイにまた騙されて - マイネルファンロンの2021年新潟記念 2022年9月4日 オルフェーヴルやゴールドシップのやらかしに、どこか頷いた自分がいた。そして必ずステイゴールドの現役時代に記憶が飛んだ。人気が急落した途端に激走、なかなか勝たないGⅠ、7歳の暮れ、エクラールとの激闘、シャティンの歓喜。ステイゴールドの競走生活はいつも人を欺き、それでも期待を込めて信じ続けた人々を救ってきた。種牡馬になって... 勝木 淳
「名馬」を語る 負けに価値あり。2019年クラシックを戦ったヴェロックスを振り返る。 2022年7月2日 上半期を締めくくる宝塚記念から3日後の2022年6月29日、ヴェロックスの競走馬登録抹消を伝えるニュースが流れた。今後は京都のカシオペアライディングパークにて乗馬になるという。第二の馬生が決まったのはひと安心だ。一方で、なんとなくひっそりと報じられたこのニュース、知らなかった方もいるのではないか。もっといえば、ヴェロッ... 勝木 淳
「名勝負」を語る 名手の英断。ゴールまで50mでの逆転。 - 1999年日本ダービー・アドマイヤベガ 2022年5月26日 1999年6月6日、日本ダービー。 やや遅めのダービーデイはスペシャルウィークが勝ち、武豊騎手が悲願のダービージョッキーに就いた前年よりわずか1日だけ早い。96年フサイチコンコルドから続いた6月ダービーは、以後03年ネオユニヴァース、08年ディープスカイ、14年ワンアンドオンリーの3回(2022年現在)。梅雨が近いこの... 勝木 淳
競馬を学ぶ 忘れちゃいけない、藤沢和雄厩舎を彩った個性派たち 2022年2月26日 2022年2月末日、関東を代表する名伯楽・藤沢和雄調教師が引退する。2年連続最優秀短距離馬に輝いたグランアレグリア、ダービー馬レイデオロ、秋中距離GⅠ3連勝のゼンノロブロイ、有馬記念連覇のシンボリクリスエス、ジャック・ル・マロワ賞を勝ったタイキシャトル。師が管理した名馬をあげればきりがない。 馬なり調教、前哨戦を使わな... 勝木 淳
「名馬」を語る 雄大かつ豪快、だけどちょっと器用、じつはトレンド先駆者ブラストワンピース 2022年2月8日 かつて勤めていた出版社では新潟記念の日に競馬場へ行く、いわゆる旅打ちが恒例だった。私が参加したのは入社して最初の夏、2018年。その年の新潟記念は当時3歳だったブラストワンピースが1番人気に支持された。前日は朝から雨、馬場状態も新潟としては珍しい重馬場。午後も曇りがちで、大層涼しい一日だった。当日は天候一変、夏のカンカ... 勝木 淳
「名馬」を語る 英国競馬242年の歴史を変えた名牝スノーフォールがくれた希望 2022年1月23日 生きるとは死へ向かうこと。 死が訪れない生命はこの世にいない。長寿の象徴とされるカメも実際には1万年も生きるわけがなく、小型のカメで20~30年。大型のゾウガメでも100年を超える程度だという。 実家にナリタ君というカメがいた。成田にあるゴルフ場のグリーンをのんびり歩いていたところを父が見つけてきた。連れてきたっていい... 勝木 淳