馬主になろうとしたら、生産の世界に足を踏み入れていた。「トンネルを抜けるとそこは雪国であった」みたいな始まりですが、僕にとってはまさにそんな感じです。馬主になろうと思って地方競馬の馬主登録証を取得したものの、望みの馬を手に入れることができず、預託先の厩舎も見つからず、だったら自分で馬をつくろうと考え、繁殖牝馬セールに足...
治郎丸敬之
「ROUNDERS」編集長。単なる馬券検討ではなく、競馬の持つ様々な魅力を広く伝えていきます。好きな馬はヒシアマゾン、ブラックホーク。敬愛するジョッキーは野平祐二、安藤勝己騎手。週刊Gallopにて「超・馬券のヒント」、一口馬主DB、キャロットクラブ会報誌にて連載中。著書に「馬体は語る」、「馬券は語る」(主婦の友社)
治郎丸敬之の記事一覧
フリーリターンという制度があります。社台スタリオンステーションが今から20年近く前に始め、他のスタリオンも追従する形で今に至ります。フリーリターンとは、読んで字のごとく、無料で戻してくれる制度。つまり、今回のように種付け料を支払ったあとに流産や死産してしまった場合、翌年、同じ種牡馬を無料で種付けできることができるシステ...
2021年11月18日の朝、「014」から始まる番号からの着信履歴が僕の携帯に残っていました。日高の関係者からかなと思いつつ、忙しくて折り返しもできずにいると、今度は碧雲牧場の長谷川さんの携帯から電話がかかってきました。嫌な予感というか、良い予感はしなかったのですが、電話を受けると、「おはようございます!」と元気な声が...
キーチャンスを手に入れるチャンスを失ったことで燃え尽きたというか、もうしばらくはサラオクで馬を買おうとは思わないだろうなと感じていましたが、ある日から突然、サラオクで今どんな馬が取り引きされているのか気になり始めました。競り負けしたものの、あの時の高揚感が忘れられないのか、暇を持て余しているのか、それとも寂しさを紛らわ...
僕と全く同じことを考えていた人がいたようで、サラブレッドオークションの画面を更新してみるとrabikichi5さんが251万円で入札していました。入札金額を入力している瞬間にも入札額が上がっていくのがサラブレッドオークションの難しいところです。実際のセリ市であれば、価格が上がっていく周りの状況が分かりますので、知らない...
僕がダートムーアの花婿選びに空想を膨らませていると、サラブレッドオークション事務局から号外のメールが届きました。サラオクのアカウントをつくっていると届くみたいですね。タイトルは「岩手競馬所属の即戦力3歳牡馬キーチャンス号が出品されます!」。どこかで聞いたことのある馬名だと思い、調べてみると、何となんと永田厩舎の管理馬で...
ダートムーアの血統は、どうしても祖母のダイナカールであり、エアグルーヴの全妹に当たる母カーリーパッション、全兄のフラムドパシオンのインパクトが強く、もちろんそれが売りでもあるのですが、母の父クロフネという血統構成もまたストロングポイントのひとつです。ダートムーアを手に入れるずいぶん前から、「母父クロフネは良い」とあちこ...
繫殖牝馬セールの余韻が冷めつつある中、碧雲牧場から荷物が届きました。「治郎丸さんにとって初めての繫殖牝馬ですから、記念に無口(むくち)を送りますね」とあらかじめ長谷川さんからメールが入っていたので、封を開ける前から中身は知っていました。それでも、実際にダートムーアが着けていた無口を手に取ると、重いような軽いような。そこ...
すっかり解放感に包まれながら会場に戻ると、そろそろ未供用馬のセリが始まろうとしていました。僕が候補に挙げていた、アメリカンウェイクやエトワールがどのような評価を受けるのか、今後のためにも知っておきたいと思いました。50番のアメリカンウェイクが登場するとすぐに声が掛かり始めましたが、意外にも上がるペースが遅く、裏側から1...
ここから先の展開は、僕自身が僕を超えた瞬間でもあります。何秒間考えたのか覚えていませんが、「もうありませんか?」と振り下ろされようとしているハンマーを見つめながら、僕は「700万円」の手を挙げたのです。 700万円であれば何とか用意できるという計算や見栄もあったと思います。せっかく下村獣医や長谷川さんたちに付き合っても...
アーカイブ
カテゴリー
語り継がれし「名馬」たち
レース回顧
-
[重賞回顧]天性のセンスがまたも爆発! ジャンタルマンタルが隙のない完璧な競馬で3歳ベストマイラーの座を獲得~2024年・NHKマイルC~
-
[重賞回顧]師弟で掴んだ王者の称号。長期休養を乗り越えたテーオーロイヤルが古馬最高の栄誉を獲得!~2024年・天皇賞(春)~
-
[重賞回顧]美しいレース運びで惜敗続きにピリオドを打ったアドマイヤベルが、オークスの優先出走権を権得!~2024年・フローラS~
-
[重賞回顧]天まで届け勝利の凱歌。史上まれに見る混戦を制したのはジャスティンミラノ!~2024年・皐月賞~
-
[重賞回顧]中118日の雪辱劇!『マジックマン』に導かれたステレンボッシュが、逆転で桜の女王を戴冠~2024年・桜花賞~
-
[重賞回顧]躍進著しい上村厩舎の大黒柱ベラジオオペラ。ダービーの雪辱を果たし、GⅠ初制覇を達成!~2024年・大阪杯~
-
[重賞回顧]雪辱vs雪辱の死闘を制したマッドクールが、待望のGⅠ初制覇~2024年・高松宮記念~