それぞれの競馬愛 [追悼・ワグネリアン]忘れない。 私の心に情熱の炎を灯してくれた、あのダービーを。 2022年1月7日 どのような生命も、肉体の終わりからは逃れられない。 けれども、生命の輝きは時間の長さにではなく、ある瞬間に宿る。忘れさえしなければ、その瞬間は輝きを放ち続ける。 あなたとともに生きたあの瞬間を、その情熱を、忘れないでいようと思う。 サラブレッドが最も美しく輝く瞬間のひとつが、日本ダービーにはある。かつて競馬に触れ始めた... 大嵜 直人
それぞれの競馬愛 キセキに、最後のお願いを。 2022年1月2日 逃げるか。控えるか。そもそもゲートを出られるか。 なるべく心に波風立てることなく、上機嫌で走ってほしい。仮にゲートを出られずとも、どうか鼻歌でも歌いながら、最後の力を存分に貯めておいてほしい。そんな人間たちのささやかなお願いを容赦なく薙ぎ倒し、勢いそのままに突き抜ける竜巻のようなレースをするのがキセキだった。 2020... 手塚 瞳
それぞれの競馬愛 「今日のこのレースを現地で観た、ということはこの先、きっと自慢できるよ」。二度、そう言わしめた無敗の三冠馬コントレイル。 2021年12月31日 「今日のこのレースを現地で観た、ということはこの先、きっと自慢できるよ」 競馬を始めたばかりの細君に、東京競馬場でそう告げたのは、2019年11月16日のことだった。 メインレースの東京スポーツ杯2歳ステークスをコントレイルが勝利し、レースが確定した直後のことだった。この2か月前の新馬戦でデビュー勝ちして、1戦1勝で臨... 並木 ポラオ
それぞれの競馬愛 若きスタッフと共に……。マイネルパイオニアの大冒険。 2021年12月31日 ダートグレードの最高峰の一つ、JBCクラシック。毎年この舞台には中央や地方の重賞ウイナー、幾重にも勝ち星を重ねてきた猛者など抜群の実績を重ねてきた者が名を連ねる。そんなJBCクラシックだが今年、金沢で行われた当レースに出走した12頭の中に1頭、変わった戦績の馬がいた。その馬はマイネルパイオニア。この時点の戦績は中央地方... 『遊駿+』編集部
それぞれの競馬愛 [対談]石神騎手に京友禅の競馬グッズを贈呈。中山大障害への自信はいかに!? 2021年12月24日 明治30年の創業以来、たくさんの方に着物のある人生を提供してきた老舗の呉服屋「いわきや」から、新たな競馬グッズ『名馬全史京友禅』が発売。その発起人でもある専務取締役・我妻専務取締役は大のオジュウチョウサン好きとしても知られている。今回はそんな我妻さんと、オジュウチョウサンの主戦騎手・石神騎手の対談をお届けする。 「こん... 緒方きしん
それぞれの競馬愛 マルシュロレーヌがMarche Lorraineになった日 2021年11月8日 日本時間2021年11月7日午前7時55分。 日本の朝がラヴズオンリーユーと川田将雅騎手が成し遂げた壮挙の余韻に浸る中、私は一人焦っていた。 それまで快適に視聴できていたブリーダーズカップ公式サイト上のライブ動画が、急にカクつき始めたのだ。 マルシュロレーヌの勇気ある挑戦を、追いかけ続けたステイゴールドの血が見せてくれ... 枝林 応一
それぞれの競馬愛 2021年ブリーダーズカップデー、25年越しの奇跡。 2021年11月8日 立冬を迎えた日曜日の朝は、まだ日の出前の薄闇に包まれていた。 窓を開け、闇の中の東の空を見上げた。あの闇の向こう、はるか数千キロの彼方で、「その時」を待つ彼らを想った。ぼんやりとした思考のままに、グリーンチャンネルに合わせる。やわらかな11月の陽光に照らされた、デルマー競馬場が映し出された。 北米最大の競馬の祭典、ブリ... 大嵜 直人
それぞれの競馬愛 穏やかな名牝ラインクラフトへ -夭逝した彼女と、対照的な2頭のライバルたち 2021年9月20日 「さくら舞い散る中に忘れた記憶と、君の声がもどってくる」思い起こせばケツメイシのさくらという歌が流行ったとき、君は現役時代の最盛期を迎えようとしていたね。桜の舞台の残り300mで、君のギアがトップに入った。スケートリンクを滑るように抜け出した君の原動力は、天与のスピードだ。勝負が決まるゴール前でも、馬体からにじみ出るオ... へんてこでそーな
それぞれの競馬愛 京成杯AHでマイルの世界レコードを叩き出した快速馬、レオアクティブ。その故郷を訪れて感じた競走馬の愛し方。 2021年9月10日 「あの子が賞金を持って帰ってきてくれたらね、小さなゲストハウスでも作ってこいつのファンの方とコーヒーでも飲みながらゆっくりお話ししたいな……って」 おじいさんはそう言葉にすると、温かく優しい笑顔を見せた。“あの子”とは当時はまだ競走馬としてのデビューを迎える前だった2歳の牝馬、そして“こいつ”とはその牝馬の半兄で201... ひでまさねちか
それぞれの競馬愛 トウショウオリオンへ - 虹の橋の向こうへの手紙 2021年8月21日 可愛い目をした馬だった。くりくりの真ん丸な目をした大きな馬体で、私と目が合うとズンズン歩いて迫ってくる。「はい、下がろうね~」と、後ろに下げられても、またズンズン。「下がるよ~」と、もう一度。真ん丸の琥珀色したオリオンの瞳。オリオンは私を見つめたまま、三度目のズンズンをした。 夏の名残りの9月上旬。私がオリオンとNPO... オラシオン