「やっぱり強いグラスワンダー!これが新しい栗毛の怪物!」。1997年暮れの中山競馬場で開催された朝日杯3歳ステークスのゴール直後、私の耳に飛び込んできたこのフレーズは、四半世紀たった今なお、私の心に深く刻み込まれている。 これが新しい栗毛の怪物 グラスワンダーは1995年2月15日生まれ、栗毛のアメリカ産馬である。新馬...
コラム・エッセイ
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直線の入り口で、まだ先頭までは10馬身以上あっただろうか。それでも、鞍上はその「差」さえも楽しんでいるように映った。そして、満を持してゴーサインが出された瞬間、府中のターフに一陣の風が吹き抜けた──。 2010年のNHKマイルCを制したダノンシャンティ。 最後方からの大外一気を決めた豪快な末脚と、当時の日本レコードであ...
1990年代後半は、日本育成馬が世界を相手に通用し始めてきた時代であった。 1998年8月9日、シーキングザパールがフランスのモーリス・ド・ゲスト(G1)を優勝したのを皮切りに、翌週の8月16日にはタイキシャトルが同じくフランスのジャック・ル・マロワ(G1)を勝利。さらには翌1999年10月にはアグネスワールドがこれま...
GⅡ京都新聞杯。ダービー出走へ向けた賞金加算の最後のチャンスとして、東上を狙う3歳馬がしのぎを削るレースである。 2021年現在は5月に施行されているが、1999年以前は10月に施行されていた。9月のGⅡセントライト記念とGⅡ神戸新聞杯に続く、3番目の菊花賞トライアルとしての位置づけとなっていた。 秋に施行されていたそ...
2002年、夏。北海道の牧場で、ある大物馬主と開業前の調教師が出会った。そしてその場で「開業してから俺が面倒を見てやる」と調教師と口約束を交わしたというその馬主は、約束通り自分の多くの馬達を師へ預託した。 ──そんな話から6年後の2008年、5月の京都競馬場。 その馬主、近藤利一氏が所有するアドマイヤジュピタが天皇賞春...
今回は、園田競馬場で撮影した思い出の誘導馬写真から、マコーリーを紹介したいと思います。 園田のアイドル的存在だったマコーリー。『園田競馬場の誘導馬=マコーリー』と言う方は、多くおられると思います。 マコーリーは2001年、京都競馬場から園田競馬場にやってきました。2015年誘導馬引退まで15年間頑張ってくれた功労馬です...
「ロードバクシン小牧太! 一気に先頭に立った! ロ〜〜〜ドバクシン、ゴールイン! ロードバクシンです。(中略)あっぱれ兵庫の馬!!!」──2001年兵庫チャンピオンシップ 吉田勝彦アナウンサー実況より サクラバクシンオーの産駒で後に兵庫三冠馬(園田ダービー、兵庫CS、菊水賞)となったロードバクシンが兵庫CSを制してから...
──昔の競馬は良かった。誰が言うもんかと思っていた言葉を、結局自分も使うようになった。これが歳を重ねるということなのだろうか。私が競馬に出会ったのは1995年。メジロマックイーンは2年前に引退していた。今どきの競馬ファンはどうかわからないが、競馬にハマると過去の名馬に思いを馳せる時期が来る。今のようにインターネットで何...
2021年の年明け、フィエールマンの引退と種牡馬入りが発表された。 勝利したGⅠは、菊花賞と2度の天皇賞春。3レースとも3000m以上のレースだった。 3000m以上のレースは、年に数回しか施行されていない。そのため“スペシャリスト”が出やすく、天皇賞春を二度勝った馬は、天皇賞秋に比べて多い。──とはいえ、それらの馬達...
間違いなく、彼はその場に帰ってきた。 2013年の有馬記念。クラシック三冠馬であり、凱旋門賞でも二度の2着を経験した稀代の名馬オルフェーヴルの引退レースとして今も語り継がれる一戦で、その8馬身後ろの2着に入ったのがウインバリアシオンだった。影を踏むことすらできない、ぐうの音も出ない完敗。それでも彼にとっては大きな価値が...
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