今年も高松宮記念に直結か! 注目の短距離ハンデ重賞。
今週は中京競馬場でシルクロードSが行われます。
ハンデ戦ではありますが、3月の高松宮記念と同じ中京芝1200Mで行われることもあって、重要度の高いレースと言えます。昨年の勝ち馬は高松宮記念で2番人気だったメイケイエールで、3着馬は高松宮記念を勝ったナランフレグですから、その重要度が分かるかと思います。
加えて、今の中京の馬場はかなりダメージがあるため、高松宮記念が行われる3月末に近い状態とも言えます。今回のシルクロードSの結果は各馬の能力比較だけではなく、荒れた馬場適性という点でもG1で大いに参考になる可能性が高いと言えます。
勝ち馬に優先出走権が与えられるトライアルレースではありませんが、高松宮記念に向けて注目度の高いレースになるのは間違いないでしょう。
今年は大胆な斤量設定で難解度さが更にUP
今年のシルクロードSの注目点のひとつが、その斤量差です。
トップハンデはウインマーベルの59キロで、最軽量はカフジテトラゴンの51キロと、なんと8キロ差。先日同じ中京競馬場で行われたハンデ重賞の日経新春杯はトップハンデ59キロのヴェルトライゼンデが勝利しましたが、同レースの斤量差は最大5キロ差でした。
昨年の夏には軽ハンデのテイエムスパーダやナムラクレアが短距離重賞を制しています。シルクロードSでも同様に軽ハンデの馬の激走があるのか、トップハンデ馬との力の比較はどうなのか…といったあたりが、注目点になりそうです。
シルクロードS 出走馬紹介
ウインマーベル - 1200Mでは3着以下無し。スプリント界の中心を目指す1頭。
注目を集めるのは、ウインマーベル。
昨年春の葵Sを勝って現4歳世代トップのスプリンターになり、その後は対古馬のキーンランドカップで2着、そしてG1のスプリンターズSで2着と順調にキャリアを積んできました。明け4歳になって、今後のスプリント界をけん引する存在なのは確かですが、今回の斤量はトップハンデの59キロ。今年から全体的に1キロ増になったとはいえ、これまで一番重かった斤量が葵Sでの57キロです。前走のスプリンターズSは55キロ、キーンランドカップが54キロだったので、一気の斤量増でも他馬をねじ伏せられるか、が焦点になるでしょう。
ここで勝ち切れるなら間違いなく高松宮記念でも中心的な存在となります。真価が問われるレースになるでしょう。
ナムラクレア - 56.5キロの斤量をどう考えるか。
昨年の函館SSを勝ったナムラクレアも注目の1頭です。昨年のスプリンターズSでは2番人気に推されましたが5着。3~4コーナーの勝負ところで外を回しましたが、結果的には内を通った馬が上位を占めてしまいました。
今回は仕切り直しの一戦になりますが、56.5キロの斤量がポイントになるでしょう。
牡馬との2キロのアローワンスを考えるなら実力的には妥当な斤量ですが、函館SSは50キロ、北九州記念では53キロの斤量だったのでウインマーベル以上に斤量増がきつくなってしまう可能性もあります。
また、新馬以来の左回りで戸惑いも出るかもしれません。思った以上にハードルが高くなってしまっていますが、地力が上位なのは確かです。明け4歳ながらも重賞経験の多さでカバーしたいところではありますね。
トウシンマカオ - 本格化した、短距離王の系譜。
1200M戦で連勝中のトウシンマカオも注目の1頭です。
昨年のNHKマイルカップでは8着でしたが、その後スプリント路線に転向して一気に素質を開花させました。1200M初戦となったキーンランドカップこそ出遅れて4着に終わりましたが、続くオパールS・京阪杯では外から差し切って勝利。連勝で重賞ウィナーとなりました。
今回のレースは「G1で上位に入った強敵相手にどこまで戦えるか?」という一戦になります。前走の京阪杯では昨年の高松宮記念で3着だったキルロードを1馬身と4分の1差離して勝っていますから、地力は十分なはず。あとは58.5キロの斤量が他馬と比較してどうか、中京芝1200Mがどうか、というところでしょう。
ここを勝って飛躍し、サクラバクシンオー→ビッグアーサーと続く短距離王の系譜を継ぐ1頭になれるでしょうか?
シャインガーネット - 先行激化ならしぶとく浮上できる存在。
メンバーを見渡すと、マッドクールといった先行馬が多いメンバー構成です。直線が長く、登り坂のある中京コースであっても激しい先行争いが予想されます。加えて、今の中京芝は荒れているので各馬がどこを通るのか判断に困る一面もあります。
スピード一辺倒では押し切れない持続力と底力、荒れた馬場適性が必要になると思われますが、そういう展開で浮上しそうなのがシャインガーネットです。
昨年のシルクロードSでは2着でしたが、元々は1200Mの馬というよりも1400M~1600Mで実績を残した馬でした。それが、昨年のシルクロードSでは前半600Mが33秒6、後半600M34秒5の前半がHペースで進んだので勝ったメイケイエール以外の先行馬が伸びず、中団外からしぶとく脚を伸ばした同馬が2着に浮上しました。
今年も同様の展開になる可能性が高いです。昨年よりも各馬の斤量が重く、馬場も荒れているとなれば差し馬の同馬が台頭する可能性十分と言えます。斤量も昨年が54キロで今年は55キロなのでそれほど斤量増ではありませんし、他馬と比較すれば恵まれたと言える斤量です。地力という点では少し物足りないかもしれませんが、コースと馬場、展開が噛み合えば…というところでしょう。
マッドクール - 怒涛の4連勝でOP入り! 一気に重賞制覇なるか?
このレースの最大の惑星となりうるのが、4連勝中のマッドクールです。
未勝利勝ちが3歳5月と遅めの勝ち上がりながらも、その後は一気に4連勝と急上昇してきた同馬。先行して早めに先頭に立って押し切る形は短距離馬として豊富なスピードをいかんなく発揮した理想形とも言えます。
今回は初の重賞参戦で、実績馬に対しどのくらい戦えるか、という点が焦点になります。ただ、中京芝1200Mでは2戦2勝と相性もいいですし、斤量も56キロと実績馬と比べると有利なのは確かです。
実績馬が重い斤量を苦にしたり、先を見据えた競馬をするなら、一気に重賞制覇してもおかしくありません。一気にスプリント界のトップに躍り出る可能性十分と言えるでしょう。
ここで取り上げた以外にも、今村聖奈騎手とのコンビで再注目したいテイエムスパーダや、昨年の高松宮記念3着馬のキルロードなど、有力馬が揃いました。
スタートから激しい先行争いになる可能性が高いですし、『今の中京の馬場でもスピードで押し切れるのか?』『各騎手がどの進路を選択するのか?』『重い斤量の馬は実力を出し切れるのか?』など、興味深い点が多いレースになるのは間違いありません。
後に行われる高松宮記念への基準になるでしょうし、トライアルのオーシャンS、阪急杯組との比較においても基準になるでしょう。
メンバー的にも有力な明け4歳馬が揃って非常に楽しみです。この記事が皆さんの参考になれば幸いです。
写真:かぼす