「名勝負」を語る 「猛暑の初秋」に咲いた可憐な花・パッシングスルー/2021年紫苑ステークス 2024年9月8日 暑ければ、どこまでも夏競馬? ──どこまでが夏競馬で、どこからが秋競馬だろう?ここ数年、そんな疑問を抱くようになった。 地球温暖化による、異常な猛暑と長く続く夏。秋の中山開幕週、昔の開門待ちは半袖では寒いくらいだったという長老たち。今は開門と同時にダッシュして、ゴール前のポールポジションを確保したらTシャツが汗まみれに... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 「順調さ」こそ名馬の必須条件!/2021年新潟2歳ステークス2着馬・アライバル 2024年8月25日 「無事是名馬」と2歳重賞の重要性 毎年、クラッシック戦線に向かう過程で、有力馬の怪我による断念のニュースを耳にする度、「無事是名馬」の格言を思い浮かべる。日本ダービーを制覇することは凄いことだ。しかし、日本ダービーの出走表に名を刻むことも、無事に当日までのハードルを越えて行かなくては到達しないのである。順調に駒を進めて... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 「ドトウの執念!」を生み出した原点/メイショウドトウの中京記念制覇 2024年7月21日 中京記念の変遷を紐解く 現在の中京記念は「灼熱のマイル戦」。35℃を超える猛暑の中、馬も騎手もスタンドの観客も、汗まみれになって熱戦を繰り広げるレースである。しかし、遥か昔は「春を告げる、尾張名古屋の名物重賞」のポジションだった。 1990年代から2000年代前半の頃。大阪杯も高松宮記念も無く、春の関西古馬G1は天皇... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る ディープインパクトのための、ディープインパクトによる、ディープインパクトの宝塚記念。2006年、京都開催の宝塚記念を振り返る 2024年6月21日 宝塚記念の歴史を紐解く 春のG1シリーズの余韻が薄まり始めたころに実施される、宝塚記念。春競馬のフィナーレであり、夏競馬のスタートラインでもあり、出走するメンバーも年ごとに大きく変化する。従って「宝塚記念の固定イメージ」というのは、なかなか湧いてこない。共通して言えることは、「現地観戦は毎回地獄の暑さ」ということ。ビー... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る エアグルーヴのターニングポイント/「名馬への道」を確立させた1997年マーメイドステークス 2024年6月15日 6月の府中競馬場は「祭りのあと」 毎年、安田記念が終わると私は腑抜け状態になる。5週連続のG1に酔いしれ、3歳馬たちの1年がオークス、日本ダービーで一区切りがつくと、「終わった感」満載になってしまうのだ。翌週から函館開催が始まることもあって、気分は既に夏競馬。府中、阪神の開催がまだ3週間残り、阪神の最終週に宝塚記念が控... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る ミホノブルボン「最後の400m」/1992年東京優駿 2024年5月24日 「努力なくして成功無し、努力に勝る天才無し」 出来るだけ楽に生きていこうとする怠け者の私には、耳の痛い言葉である。 1992年の私は、本社の広告宣伝部へ異動になって3年目。担当する業務の難易度がどんどん高まり、1週間8時間×5日勤務では追いつかない位になっていた頃だった。当然、定時を過ぎても残業が当たり前の状態で、と... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 『クビ差』届かなかった東京優駿出走の夢/2013年青葉賞3着ラストインパクト 2024年4月26日 「東京優駿出走」の重さ 生涯ただ一度だけ出走することができる東京優駿の出走枠は「18」。 前年6月にスタートしたクラッシックロードを戦い抜き、ようやくスタートラインに立つことが出来るのが、18頭である。そこまでの過程には、『能力』だけでなく『運』も伴わないと辿り着くことができない。 「ダービーでビリの18着といっても、... 夏目 伊知郎
「名馬」を語る 三冠に一番近い「準三冠馬」エアシャカールの皐月賞/2000年春のクラッシック戦線を振り返る 2024年4月13日 1.三冠に最も近づいた「準三冠馬」 中央競馬史上、皐月賞、東京優駿、菊花賞に優勝した三冠馬は8頭。1941年のセントライトから、シンザン、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルまでの8頭を数える。また、2020年のコントレイルは史上初となる親子無敗の三冠達... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 破天荒なオルフェーヴルのパフォーマンス炸裂!/2012年阪神大賞典 2024年3月16日 春を告げる伝統の阪神大賞典 3月半ばに組まれているG2阪神大賞典。毎年楽しみにしている春の一戦だ。 3月に入ると、3歳馬たちのクラッシック出走権を懸けた熾烈な戦いが毎週東西で行われる。まだ素質だけで走っているような若駒が、駆け引きもできずにハイペースに巻き込まれて直線で沈んでいく姿、トライアルレースの非情ともいうべき3... 夏目 伊知郎
「名勝負」を語る 無観客開催の中、ダノンザキッドに雪辱を果たしたタイトルホルダー/2021年・弥生賞 2024年3月1日 ステイヤーの逃げ馬 私は、長距離の逃げ・先行馬が好きだ。 最近は「先行力」を武器に勝ち星を積み上げ、G1レースでもハナを主張するオープン馬が少なくなったように思う。キタサンブラック、エイシンヒカリ、タップダンスシチー…。 遡っていけば、何年かに一度は強烈なキャラクターの逃げ・先行馬が登場している。しかし、90年代には個... 夏目 伊知郎